3-13 ピンチですよ!
3ー13 ピンチですよ!
空船に乗り込んだ俺を兵士たちは、船倉へと連れていった。
そこは、なんか、空気の澱んだ、はっきりいったら臭くて、薄汚い穴蔵みたいなところだった。
薄暗い中には、何人かの先客がいるようだった。
先客たちは、みな、鎖で手足を繋がれていたが、まともな人間なら近寄りたがらないような連中だ。
一応、女は、俺1人。
マジかよ。
男たちは、にやにやと薄笑いを浮かべて俺を舐めるような視線で見つめていた。
俺の背筋を冷たいものが流れる。
ここで、行き残れってか?
ちょっと、これは、無理っぽいんじゃね?
兵士たちは、俺を1人残して船倉から去っていった。俺は、その背を見送りながら、心の中で叫んでいた。
ちょっと、待ってくれよ!!
ばたん。
重い扉が閉じられる。
船倉を沈黙が支配していた。
俺も、そいつらも、誰も、動くものはなかった。
俺は、恐る恐る後ろを振り向いた。
暗闇の中に、男たちの荒い呼吸音と、鎖の擦れる金属音が聞こえる。
目が。
闇の中に、ギラギラと光る目が感じられる。
獣、だ。
ここにいるのは、みな、獣だ。
男たちは、ニヤニヤと気味悪い笑いを浮かべて俺を取り囲んでゆっくりと近づいてくる。
「こいつは、驚きだな」
低い、唸り声のような音が聞こえて俺は、身動ぎした。
声の主は、言った。
「まさか、こんな楽しみが用意されてたとはな」
くっくっ、と下卑た笑い声が聞こえ、舌舐めずりしているのがわかる。
俺は、後ろずさる。
だが、背後にも、男たちの気配があった。
俺は、ごくり、と息を飲んだ。
その男たちのリーダーらしき、大柄なモヒカン頭の男がニヤリと笑うのがわかった。
「覚悟はいいか?貴族のお嬢ちゃん」
「覚悟、って?」
俺は、半笑いできいた。
闇に慣れてきたら俺の回りに、何人もの、大柄な男たちの姿があるのが見えてきた。
マジかよ!
俺は、もう、泣きそうだった。
こんなの、勘弁してくれよ!
俺は、なんとか、時間を稼ごうとして、話続けた。
「あんたたちも、イクサールに?」
「ああ」
男が呻くように言った。
「安心しな。島に着いても当分は、かわいがってやるからな」
男の荒い呼吸が伝わってくる。
「お前が生きてる間はな」
はいぃっ?
俺は、目尻に涙が溢れてくるのを感じていた。
ヤバすぎだろうが!