3-11 反逆罪ですと?
3ー11 反逆罪ですと?
シュナイツが手を差し伸べたのは、俺の側にいた黒髪の美少女だった。
あれ?
俺は、呆然として2人が人々の輪の中心へと進み出ていくのを見つめていた。
周囲の人々がざわつき始める。
最後のワルツは、シュナイツと俺が踊るんじゃなかったの?
「メリッサ!」
「母様?」
母様が俺の側に身を寄せてきて、ぎゅっと俺の手を握りしめた。
「どういうことだ?これは」
母様の側に立っていた父様が青ざめた表情で俺を見ていた。
人々のざわめきの中、シュナイツとその黒髪の美姫は、ワルツを美しいステップで完璧に踊ると、手を取り合い、見つめあったまま国王の前に進み出た。
シュナイツの父であるイーゼル王国国王 クロイツ2世は、笑顔で2人の横に立つと高らかに宣言した。
「我が息子である第3王子 シュナイツ・アンドレア・クルセムは、隣国 プレゼリア王国の姫、アビゲイル・イゼリア・プレゼリア姫と近く結婚の儀を執り行うこととなった」
ええっ?
俺は、母様父様を見上げた。
2人とも、真っ青だった。
マジでか?
っていうか、俺、あいつの婚約者じゃなかったの?
「メリッサ・コンラッド!」
名を呼ばれて、俺は、顔をあげた。
黒髪に髭もじゃのシュナイツの父 クロイツ2世は、言った。
「お前を断罪する!」
はい?
俺は、ハトマメ状態でイーゼル王国国王を見ていた。
奴は、言った。
「メリッサ・コンラッド、お前は、亜大陸からこの国を調査に来た亜人族のスパイであることが判明した。よって、国家反逆罪により投獄されることとなった」
なんですと?
俺は、何かの冗談かと思って、父様と母様を見た。
2人は、真っ青を通り越して、血の気のひいた表情を浮かべて、呆然としていた。
その間にも、白の警備兵たちが俺のことを取り囲み引き立てていこうと近づいてきた。
父様は、叫んだ。
「お待ちください!これは、何かの間違いです。この子は、まだ、10才です。とても、そんなことはあり得ない!」
「これは、イーゼル王国の国王である私の決定だ。それに逆らうというのならコンラッドよ、お前たち一族も同罪とする」
「なっ!」
「父様」
俺は、父様たちに言った。
「こんなの、何かの間違えでしかない。心配しないで。きっと、すぐにじいちゃんが何とかしてくれるし」
「メリッサ・・」
「大丈夫」
俺は、にっこりと父様、母様たちに向かって微笑みかけると、おとなしく、兵士たちに囲まれて部屋を出ていった。