18-10 ダンジョン崩落
18ー10 ダンジョン崩落
「いや、もうすでにダンジョンは、攻略されている」
男は、満足げに呟いた。
「メリッサ、お前がここに来た時点でこのダンジョンの呪いは、解かれたのだ」
ええっ?
「お前をここに導いた者は、言わなかったのか?このダンジョンを攻略するための鍵について」
「確か・・」
ラクアスが小声で呟くのがきこえた。
「1つは、愛する者。そして、水よりも濃く薄いもの、とか言ってたな」
「そう」
男は、頷いた。
「それが、お前だったんだよ、メリッサ」
どういうことですか?
俺はキョトンとして男のことを見つめていた。
男は、俺の頬に手を触れて愛しげに話した。
「メリッサ、お前は、愛で死を乗り越えた。そして、お前は、私と同じ竜神族の血をひく者でもある」
はい?
男は、微笑んだ。
「驚くのも無理はないが」
「どういうことなんだよ!説明してくれよ!」
「その説明は」
俺たちの背後から聞き覚えのある声がきこえた。
「ルーラ?」
そこには、ルーラの姿があった。
俺は、もう、何がなんだかわからなくなっていた。
「なんで?ルーラがここに?」
「あなたがここに、こんなに早くたどり着いてしまうとは予想外だったわ、メリッサ」
「ルーラ?」
「このダンジョンからは、誰も、生きて出ることは許されない」
ルーラがゆっくりと竜の姿に変化していく。
それと共にダンジョンが崩れ落ちていく。
「我々、竜神族による・・天魔王によって統べられたこの世界を守るために、メリッサ、あなたは、死ななければならない」
竜と化したルーラの金色の瞳が輝く。
ドラゴンブレスが俺たちを襲った。
俺は、思わず反撃の竜をいる炎の槍『テンペスト』を放った。
「ぐあぁああっ!」
ルーラの体を炎の槍が貫いた。
俺は、倒れるルーラを見つめていた。
「なぜ、だ?」
俺は、ルーラに訊ねた。
「なぜ、こんなことに?なぁ、答えてくれよ、師匠!」
ルーラは、テンペストの威力を受け止めて牙の折れた口許を歪めた。
「私は、長く生きすぎた。もう、そろそろ全てを終わりにしてもいい頃だ。それも、最初で最後の弟子であるお前の手で逝けるのだ。こんな嬉しいことはない」
「そんな・・無茶苦茶だ、ルーラ!」
「メリッサ!」
アル兄が叫んだ。
「ダンジョンが崩れる!早く、逃げないと!」




