18-1 ドラゴン登場!
18ー1 ドラゴン登場!
第8階層に入った俺たちは、廃墟の中をさ迷っていた。
かつては、人が住んでいたのだろう煉瓦造りの町並みには、蔦が絡まり人影もない。
まるで、迷宮のようだ。
もう、半日は歩き回っていた。
「少し休もう」
アル兄が言って、俺たちは、崩れかけた壁のそばにあった広まった場所に腰を下ろした。
アル兄がストレージから取り出した鍋からスープをカップに注いで全員に配ると、俺たちは、干し肉と固い黒パンを分けあって食べ始めた。
「しかし、この廃墟、広いな」
ラクアスが呟く。
「いったい誰が住んでいたんだ?」
「さあな」
アレイアスが答えた。
「たぶん、古代エルフか、竜神族じゃないか」
「こんなでかい町を造った連中が、今は、1人も残ってないなんて、な」
クロが言うので、俺は、スープをすすりながら応じた。
「街は、生き物だ。成長もすれば、衰退もする。今ごろは、どこか別の場所に街を造っているのかもしれないな」
「しかし、魔物の姿もないし」
アル兄が辺りを見回した。
「まあ、魔物がいないのは助かるんだが」
「確か、クロイツの奴がここの責任者に連絡しとくとか言ってなかったっけ?」
俺は、アル兄に言った。アル兄は、うん、と頷いた。
「そんなこと言ってたな」
と、そのとき、何かの雄叫びが聞こえた。
「魔物、か?」
俺たちは急いで立ち上がった。
遠くから何かが迫ってくる地響きがきこえた。
俺たちが身構えてそれを待ち受けていると、それは、一直線に俺たちの方へと突っ込んできた。
「あれは」
ラクアスが息を飲んだ。
「ドラゴン、だ!」
その青いドラゴンは、何か叫びながら地上を走ってきた。
「な、なんだ?」
俺たちは、耳をすませた。
「クロイ・・んの・・おとも・・いらっしゃ・・」
はい?
凄まじい地鳴りと共にそれは駆け寄ってきた。
「クロイツさん、の、お友だち、の方?」
ドラゴンは、俺たちの直前でブレーキをかけた。
地面がめくれ上がる。
凄い風圧に飛ばされそうになる。
「いらっしゃいませ。私は、この第8階層の責任者ラビーネです」
「あ、ああ」
俺たちは、呆気にとられていた。