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婚約破棄から始まるとんでも異世界冒険譚~黒猫の騎士とポンコツ姫~  作者: トモモト ヨシユキ
17 ダンジョンと奴隷と支配者の関係
200/216

17-11 奇襲ですか?

17ー11 奇襲ですか?


馬車は、城へと続く坂道を上ると城の入り口に横付けした。

テオに促されて、俺とアル兄は、馬車から降りた。

すると、入り口にずらっと並んだ少年たちが俺たちを迎えた。

「ようこそ、クロイツ・ヴァン・シュタイン城へ」

テオが微笑んだ。

俺たちは、テオに案内されて城の客間へと通された。

「では、ゆっくりとお休みください」

その白い壁に囲まれた、乙女チックな豪華な部屋を見回して、俺とアル兄は、居心地の悪さを感じていた。

テオが去ると、俺は、アンティーク調の椅子に腰を下ろして考え込んだ。

クロイツがここの階層の責任者なのか?

だとしても今のこの状況は、まったく奇妙なものだった。

「とにかく、クロたちを助け出さないと」

俺は、イラついていた。

こうしている間にも、クロたちが何かされているんじゃないかと思うと、いてもたってもいられない。

「落ち着きなさいな、メリッサ」

扉が開いてクロイツが現れた。

クロイツは。

深紅のフリフリドレスに身を包み立っていた。

その顔には、一分の隙もなく美しい化粧が施されている。

マジですか?

俺とアル兄は、遠浅の浜辺のように引いていたが、クロイツは、そんなこと気にも止めずに歩み寄ってくると艶然と微笑んだ。

「あなたの仲間たちの身は、まだ、汚されてはいないわ」

ええっ?

俺は、クロイツのことをじっと見つめた。

クロイツは、続けた。

「あの連中は、やることはえげつないけど、プライドは高いから、捕らえたその日のうちに床入りなんてことはしやしないわ。今ごろ、相手を選んで婚儀の用意をしているでしょうね。だから、助けるなら明日の夜」

クロイツは、手に持っていた扇をぱっと開いて口許を隠した。

「床入りの義の頃を狙って村に奇襲をかけるのよ!」

「あの」

俺は、クロイツに訊ねた。

「なんで、あんたは、俺たちを助けてくれるの?」

「そんなの当然よ」

クロイツは、微笑んだ。

「男同士ですもの、助け合わないとね」

はい?

俺は、なおもきいた。

「俺、女だけど」

「いいえ。あなたの心、魂は、男のものよ」

クロイツが答えた。

「あたしたち、まるで、魂の双生児のよう」

そうなんですか?

俺は、アルカイックスマイルを浮かべていた。

何かな?

この感じ。

もう、怒りとか、戸惑いとかを超越した気分。

そう。

悟りかな?

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