17-10 クロイツ
17ー10 クロイツ
俺とアル兄は、数人の少年たちの手によって村長宅から救い出されて馬車でどこかに連れ去られた。
馬車の中で俺たちを助けてくれた緑の髪に緑の目をしたエルフらしき少年がヒールをかけてくれて体の自由は、取り戻せた。
「ありがとう。えっと・・」
「テオです」
そのエルフの少年は、優しげに微笑んだ。
うっ。
目に眩しいぐらいに美しいその笑み。
「テオは、なんで俺たちを助けてくれたの?」
「えっ、それは・・」
テオは、少し躊躇してから答えた。
「実は、これは、クロイツ様の命令なのです」
「クロイツ?」
あれ?
俺は、小首を傾げた。
確か、クロイツって、あの、俺たちが最初にぼこぼこにした スキンヘッドの全裸の不審者だったんじゃ?
なんで、奴が俺たちを助けてくれるの?
「大丈夫ですよ」
テオは、俺に頷いてから、アル兄にもヒールをかけた。
アル兄がすぐに、動けることを確認してから、テオに訊ねた。
「なんで領主様が僕たちを?」
「クロイツ様は、お心の広い方です。あなた方を助けてご自分の館にお招きするようにとの仰せです」
俺とアル兄は、顔を見合わせた。
「一応、きくんだけど、クロイツ様って、昨日、俺たちにフルボッコにされたあの人だよね?」
「はい」
テオは、肯定した。
ええっ?
俺は、一瞬、顔が強ばるのを感じた。
俺たちを助けてくれたのは、ほんとにあの人なの?
「ご安心くださいね」
テオが半笑いで俺とアル兄に言った。
「クロイツ様は、まったくそのことについては、遺恨を持たれていませんから」
マジでか?
しかし、例え、クロイツが遺憾に思ていなくても、俺たちがいろいろ思っちゃっているんだけどな。
俺とアル兄が複雑な気持ちでいると、しばらくしてテオが窓から外を指差した。
「ほら。見えてきましたよ。あれが、クロイツ様の城です」
俺たちがテオの指す方を見ると、そこには、光輝く美しい城の姿が夜空に浮かび上がっていた。
城は、まるで物語の中に出てくる王子様の住むという城のように美しかった。
俺は、今生でも、前世でも王子様など夢見たことなどなかったけれどもな。




