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婚約破棄から始まるとんでも異世界冒険譚~黒猫の騎士とポンコツ姫~  作者: トモモト ヨシユキ
17 ダンジョンと奴隷と支配者の関係
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17-8 村娘たちの婿ですと?

17ー8 村娘たちの婿ですと?


「実は、我々は、古よりこの地に住まっていた古いエルフの一族なのですが、ずっと、ここに閉じ込められてからというもの、あの変態・・でなくて、領主であるクロイツ様に手を焼いていたのでございます」

俺たちは、村長のイワノフさんの家に招かれてもてなされていた。

エルフというからか、肉類は提供されてはいなかったが、心ばかりなのであろう料理の数々がテーブルに並べられていた。

俺たちは、イワノフさんに進められるままにそれらを口にした。

うん。

俺は、口をモグモグしながら、回りを見た。

彼らは、どうやら昔、この辺に住んでいたエルフの子孫らしかった。

次から次に現れて皿をテーブルに置いていく娘たちは、みな、美しくて艶やかに着飾っていた。

「クロイツ様は、我々に年頃の美しい少年たちを差し出すようにと命じられて」

イワノフが溜め息をついた。

「エルフはもともと長命で、繁殖能力の劣る部族でございますから、数少ない少年たちを奪われて村には、もう娘たちしか残されてはおらんのです」

マジですか?

俺は、壁際にずらりと並んでいるエルフの村娘たちをちらっを見つめた。

少女たちは、心なしか浮き足だった様子で俺たちを見て、何か、耳元で囁きあっては、くすくすという笑いを漏らしていた。

すごくかわいいし、きれいだし。

何も、問題ないはずだったけど、なぜか、俺は、胸騒ぎがしていた。

「これで、やっと、この子たちにも夫を与えてやれるというものです」

はい?

俺は、なんのことやらわからなかった。

「夫?」

「はい」

イワノフさんが満面の笑みを浮かべた。

「この日が来るのを千年近く待っておりましたが、そのかいがあったというものです。この様な立派な青年たちが集い、現れてくれたのですから」

はい?

俺は、何か違和感を感じてイワノフさんに訊ねた。

「俺たちを歓迎してくれるのはうれしいけど、そういうのは、領主に拐われた村の少年たちに任せたいんだけど。彼らも戻ってくるんだろう?」

俺の問いに、イワノフさんは、頭を振った。

「いえ、あの者たちのことは、すでに我々は、諦めております。おそらく、彼らももう、村には戻って参りますまい」

「なんで?」

俺がなおも訊ねると、イワノフさんが寂しげに笑った。

「領主様のもとへと行った者たちは、すでに領主様によって精神の奥深くから汚染されておりますから。もとの村の生活には戻れますまい」

ええっ?

俺は、無言でクロたちの方を見つめた。


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