17-5 古代エルフの遺跡
17ー5 古代エルフの遺跡
俺たちは、扉を開いた。
一筋の光が差し込んできた。
「これは・・」
そこは、光溢れる廃墟だった。
苔むしたその廃墟へと俺たちは、足を踏み出した。
苔でフカフカとした足元 に気を配りながら、俺たちがライナスと別れて歩いていくと、広場に出た。
そこには、巨大な石碑がたっていた。
「これは・・」
俺は、苔に覆われたその石碑に刻まれた文字へと指を伸ばした。
「古代エルフ語?」
「ほう。若いのに物知りだな、お前」
背後から声がして俺たちが振り向くと、そこにはなぜか、ライナスの姿があった。
ライナスは、俺たちに何やら呟いてから話した。
「これは、かつてこの地に栄えた古代エルフ族の残したものだ」
うん。
いろいろ聞きたいことはあったんだが、まず、なんで、ここにあなたがいるんですか?
俺たちの問いたげな表情に気付いたのか、ライナスは、答えた。
「この階層には、責任者も魔物もいない。見ての通りの廃墟だ。ここは、古代エルフの失われし聖地だ」
マジですか?
ライナスは、石碑に歩み寄るとそれにそっと触れた。
ぶぅん、と低い振動音が聞こえて石碑が輝く。
なにやら、低くハミングのような音が聞こえてきた。
「ああ、懐かしいな」
ライナスは、そっと大切なものに触れるように指先で石碑の文字をたどっていた。
「『異世界より来たりし者たち、世界を席巻する』」
ライナスが呟いた。
「『そのとき、古き血は蘇らん』」
俺たちは、ライナスの横顔をじっと見つめた。
ライナスは、ふっと笑った。
「ただの古い言い伝えだよ」
「言い伝え?」
俺がきくとライナスは、頷いた。
「ああ。かつてこの世界を統べていた古代エルフ族の言い伝えだ。いつか、異世界より来た者たちが古代エルフの力を受け継ぎ、そして、世界を解放するという予言だ」
「予言?」
俺は、きいた。
「もしかしてライナスさんは、古代エルフ族の人?」
「ああ」
ライナスは、肯定した。
「それ故に、私は、この地に囚われたのだ」
マジかよ?
俺は、石碑に手を触れ目を閉じた。
ラニが俺の体に重なるのを感じていた。
石碑が一段と強く輝きを示す。
「これは?」
ライナスさんが驚愕の声を漏らした。
「お前は、いったい、何者だ?」




