16-12 ダンジョン攻略?
16ー12 ダンジョン攻略?
俺たちは、顔を見合わせた。
「要するに」
アル兄がシャルに訊ねた。
「僕たちにダンジョンを攻略することで、その、ルドラーさんとかいう人を殺してほしいということですか?」
「そうです」
シャルは、きっぱりと頷いた。
「お願いします」
「しかし」
アレイアスが言葉を挟んだ。
「我々になんの利がある?」
「その子、イヌさん、ですか?」
シャルは、俺たちに問いかけた。
「見たところその方には強い、非常に強い呪いがかけられている様ですね。それも、竜神族の血を使った呪いが」
「わかるのか?」
ラクアスがシャルの方へと身を乗り出した。シャルは、にっこりと微笑みを浮かべた。
「よければその子にかけられた呪いを、私が解いて差し上げましょうか?」
「そんなことが」
「できます」
シャルが言い切った。
「私は、これでも竜神族の者ですから。わけはありませんわ」
マジですか?
俺たちは、1も2もなくシャルの申し出を受けることにした。
つまり。
『嘆きのダンジョン』を攻略してルドリーを殺すことと引き換えに、イヌの呪いを解いてもらうことになったのだった。
俺たちは、明日に備えてそれぞれ部屋で休むことにして解散した。
イヌは、俺のベッドに潜り込んでくると俺の隣に横たわって小声で呟いた。
「イヌのために、みんな、危険なことをしないでほしい」
「イヌ?」
俺は、イヌを見つめて笑いかけた。
「心配しなくっても大丈夫だ。俺たち、こう見えても強いから」
「でも」
イヌが微かに震えていることに俺は、気づいた。
「全部知ったら、みんな、イヌのこと、嫌いになるかも」
ああ。
こいつは、不安なんだ。
いつも、1人だったから、急に、仲間ができてそれを失うことが怖くなっちまってるんだな。
俺は、イヌをそっと抱き寄せてその背を優しく撫でてやった。
「大丈夫。イヌが何者であろうとも、俺たちは、変わらないよ」
「うん」
イヌは、こくんと頷くと、目を閉じた。
「ありがと」
そして、俺たちは、そのまま眠りに落ちていった。




