16-3 能力測定ですか?
16ー3 能力測定ですか?
「じゃ、遠慮なく」
俺たちは、身構えた。
数秒後。
中庭に爆音が轟き、炎が燃え上がった。
「ギヤァアァアア!」
叫び声に気づいたさっきのスタッフのお姉さんが慌ててやってきた。
「だから、言ったじゃないですか!カザフさん!いつも、やり過ぎなん・・・」
お姉さんは、言い掛けて言葉を飲んだ。
「カザフ、さん?」
カザフさんは、返事をしなかった。
というか、できなかった。
カザフさんは、黒こげになってその場に倒れて動かなかった。
驚愕のあまり声も出ないお姉さんに、俺は、慌てて言い訳した。
「あの!ちょっとやり過ぎちゃったけど、大丈夫ですから!」
「ええっ?」
恐怖に立ちすくんでいるお姉さんに、俺は、微笑みかけた。
「ちゃんと急所は外しているし、それにすぐにヒールで治すから」
「はぁ・・」
俺は、絶句しているお姉さんの前でカザフさんにヒールを施した。
「っっ!!」
息を吹き替えしたカザフさんは、ガバッと起き上がると、俺たちを怯えた子犬のような目で見つめていた。
「ほら、ね。大丈夫でしょ?」
俺が微笑むと、カザフさんは、震える声を絞り出した。
「ば、化け物・・」
「はい?」
俺は、カザフさんに問うた。
「あの、俺たち、合格?それとも不合格?」
「ご・・合格ですぅ!」
カザフさんは、生まれたての小鹿の様にプルプル震えながらその場から駆け去って行った。
こうして俺たちは、無事に無料で冒険者登録をすることができることになった。
「えっと、ラクアスさんが剣士で、アレイアスさんが・・暗殺者?で、クロさんが」
「騎士、だ」
クロが言ったので、俺は、突っ込んだ。
「嘘つくな!」
「いや、俺は、ジョブチェンジを希望する。誰がなんといっても俺は、騎士、だ!」
マジかよ?
戸惑いながらもお姉さんが俺に訊ねた。
「クロさんが、騎士、で、メリッサさんが」
「あ、俺は、魔法使いで」
俺たちは、登録するにあたってそれぞれの力を測定されることになった。
お姉さんは、カウンターに置いた水晶の上に順番に手を置くように俺たちに促した。




