15-12 ダンジョンで金を稼ごう!
15ー12 ダンジョンで金を稼ごう!
イヌの体をお湯で流してから、俺は、自分の体を洗った。
イヌは、当然のように俺の背を流してくれた。
「ありがとうな」
俺が礼を言うと、イヌは、奇妙な表情をした。
俺たちは、2人揃って湯船を使った。
暖かいお湯に身を浸して、俺はイヌを見た。
イヌは、戸惑うように俺を見つめていた。
「どうかしたのか?」
俺がきくと、イヌは、答えた。
「あったかいお風呂なんで初めて」
マジか?
俺は、一瞬言葉を失ったが、イヌには、そんなことなんでもないことのように頷いて見せた。
「そうか、よく暖まれよ」
「はい!」
俺たちがホコホコになって風呂から上がって部屋へと戻るとアル兄たちが食事に誘いに来てくれた。
俺たちは、1階の食堂へと行き、夕食をとった。
夕食は、シチューと固いパンと焼いた肉だった。
クロとアレイアスは、エールも頼んでいた。
「これから、どうする?」
アレイアスがきいたのに対して、俺は答えた。
「亜大陸へと行こうと思うんだ」
このダリオンの町から少し行けば空船の港のある街フェンナがあると女将にきいていた。
だが、今でも亜大陸との交易をしているのはアル兄の『アルとメル商会』だけだった。
「ライがフェンナに降りていればいいんだが」
アル兄が疑わしげな表情を浮かべていた。
「ライは、実直な男だ。僕たちが生きているのかどうかわからなくっても救助を呼ぶために最初の目的地であるダニンへと向かうだろうな」
ダニンまで行けば、きっとルーラにも知られてしまうことだろう。
「他の空船を探すか?」
アレイアスがきくとアル兄は頭を振った。
「いや、おそらくは亜大陸まで行ってくれるような船は、いないだろう」
「なら、海路で行くか?」
ラクアスが提案したが、アル兄は、渋い顔をした。
「海か・・・」
このダリオンの街から海辺までは、かなりの距離があった。
少なくとも陸路で1週間はかかることだろう。
「そうなれば装備を整える必要があるな」
アル兄は、溜め息をついた。
「この辺で少し、金を稼ぐ必要があるな」
「任せておけって!」
クロが自信満々に応じた。
「ここは、ダンジョンシティだぞ、アル」
「だが、ダンジョンで金を稼ぐには冒険者登録をしなくてはいけねいだろう?」
ラクアスがアル兄にきいた。
「確か、ギルドに冒険者登録するには登録料がいるんじゃなかったか?」
「ああ」
アル兄が頷いた。
「今、僕が持っている金が金貨1000枚ほどあるんだが、船を雇うならかなりの金額が必要になる。できれば、この金には手をつけたくはない」
「なんだよ、貧乏くせぇな」
クロがアル兄をバカにするように笑った。
アル兄は、クロを無視して俺たちの方へ向いた。
「1つ、いい方法がある」




