14-8 見られちゃいました?
14ー8 見られちゃいました?
俺は、衝立の奥でドレスを脱ぐと湯気のたつ湯船へと体を沈めていった。
ほわぁ。
俺は、お湯の暖かさで体の強ばりが緩められていくのを感じていた。
お湯は、すぐに冷めていくので、俺は、魔法でお湯を温めながら体を解していった。
「で?そいつは君の知り合いだったのか?」
ラクアスに聞かれて、俺は、無言で顎まで湯に沈み込んだ。
しばらくたってから、俺は、答えた。
「シュナイツは、俺の昔の婚約者、だ」
「婚約者?」
俺は、2人に俺とシュナイツの間にあったことをかい摘まんで話した。
すると、2人は、静かに低く笑い始めた。
「私の未来の花嫁を傷物にして捨てるとは、許しがたいな」
「いや、別に傷物にはなってないし!」
俺は、ラクアスの言葉に突っ込んだ。
アレイアスもすごく怖い唸るような声を出した。
「私の未来の妃に傷をつけて、ただですむとは思ってないだろうな」
「だから!」
俺は、苦笑した。
「傷は、つけられてないからね!」
なにやら不穏な雰囲気の2人に、俺は、呼び掛けた。
「ちょっと、2人とも!」
俺は、風呂に入ったまま衝立越しに2人に話した。
「もう、シュナイツのことなんてなんとも思ってないから、ね。それより、奴の企みのことだ。シュナイツは、単純なバカだけど、悪い奴じゃない。誰か、黒幕がいる筈だ。それを探らないと」
「ああ?」
アレイアスが怒りのこもった声を発した。
「もちろんだとも。そいつをぶちのめして、それから、全部丸っと吐かせてやる!」
「はい?」
俺は、2人を止めようとした。
「ちょ、ちょっと待って!2人とも!」
だが、2人は、俺が止める間もなく部屋から出ていってしまった。
「マジかよ?」
俺は、急いで風呂から出ると体を拭きドレスを身にまとった。
そこへ、誰かが入ってきた。俺は、メイドさんだと思ってドレスの後ろのリボンを結ぶのを手伝ってもらおうと頼んだ。
「ちょっと、手伝ってくれる?」
「いいけど」
はい?
それは、メイドさんではなかった。
アル兄が呆れた様子で俺の半裸の後ろ姿を見つめていた。
マジですか?




