14-7 王子様、降臨?
14ー7 王子様、降臨?
「メ、メリッサ?」
俺は、慌ててテーブルの下から屋敷の中庭へと転移した。
なんで、あいつが来てるわけ?
俺は、慌てて転移したために中庭の噴水に落ちてずぶ濡れになりながら1人考えていた。
まあ、あいつも王族だしな。
招かれていてもおかしくはないか。
でも。
「はっくしゅっ!」
俺がくしゃみをしたところへ、誰かが声をかけてきた。
「メリッサ?」
顔をあげるとそこには、ラクアスとアレイアスの姿があった。
はい?
俺は、噴水の中から2人を見上げた。
「なんで、お前たちがここにいるわけ?」
「それは、こっちが聞きたい」
ラクアスが俺に手を伸ばしてきて俺の腕を掴んで立たそうとした。
「なぜ、君がここに?」
「俺は・・」
カクカクシカジカ。
俺は、2人にこれまでのいきさつを説明した。
「マジか?」
アレイアスが真顔で俺を見つめた。
「お前のことを弄ぶなんて、辺境伯は酷い奴だな」
「いや、弄ばれたわけでは」
俺は、噴水の中から2人に引き上げられながらきいた。
「お前たちは、なんで、ここに?」
「サイナス辺境伯は、魔族の理解者で多くの傭兵を雇い入れてくれているからな」
アレイアスが答えた。
「そういう関係で我々も招かれたんだが」
2人は、びしょ濡れになった俺を救い出すとラクアスが俺の濡れた体に上着をかけてくれた。
「今夜は、泳ぐにはあまりいい夜だとは思えないんだが」
「わかってるよ!」
俺は、ブルブル震えながら、生活魔法で濡れた服や体を乾かした。
「そうやって体を乾かすのか」
アレイアスが感心した様子で俺の頬に触れた。
「もう、すっかり乾いている。でも氷のように冷たいぞ」
「早く部屋に戻って風呂に入った方がいい」
「ああ」
俺は、はっとして叫んだ。
「そうだ!」
俺は、部屋に2人を連れていくとメイドさんに風呂を用意してもらう間に2人にさっきのシュナイツの話をした。
「興奮剤を?」
アレイアスがふん、と鼻で笑った。
「そんなもので我々、魔族を陥れようとは。何を企んでいる?」
「たぶん、ろくでもないことだとおもうんだけど」




