13-13 このデブ猫が、聖獣ですか?
13ー13 このデブ猫が聖獣ですか?
そうこうするうちに他の令嬢たちの種も芽を出してきた。
俺のものほどではないにしても大きく成長してきたルーチェ嬢のものは、小さな花も咲いていた。
白くて、可憐な花だ。
俺のとは全く違う。
なんなんだろう?
この俺のものの禍々しさは。
俺たちが悪口で育てたからか?
その次の日には、花は、実を結んでいた。
「卵?」
卵のような光沢のある殻に包まれた青紫色の実は、フルフルと揺れている。
何かが、生まれるのか?
母様は、呑気に喜んでいたが、俺は、なんか怖かった。
だってこいつは、俺たちが悪口を聞かせて育った卵なんだぞ!
期限の1週間が過ぎるまであと1日だ。
俺は、天に祈っていた。
何も変なものが生まれませんように!
ルーチェ嬢の花にも実がついていた。
それは、小さくって可愛い真っ白な卵だった。
きっと、かわいらしい何かが生まれてくるのに違いない。
1週間が過ぎても俺たちの卵は、孵らなかった。
そのため、俺たちは、滞在期間を何日か延ばされることになった。
俺の願いは虚しく、8日目には、俺の卵は、ひび割れていた。
「な、何かが生まれますわ!」
見物に来ていたルーチェ嬢が俺の卵のひび割れを発見して騒ぎ出した。
まずいぞ!
俺と母様は、お互いをうかがいながらそわそわしていた。
これは、俺たちが悪口やら不満を吹き掛けながら育てたものだ。
それから何かが生まれようとしている。
どんな化け物が生まれるかもわからなかった。
俺は、とりあえず何が生まれても、すぐに対処できるように身構えていた。
ぱりん
卵が割れて何かが生まれ落ちた。
「・・猫?」
「みゃあ」
それは、思いがけなく可愛らしい灰色の子猫だった。
「何、これ、かわいい!」
母様が歓声をあげた。
子猫は、俺の手の中でみゃうみゃう哭いていた。
どうすればいいわけ?
「その子にあなたの魔力を注いであげて、メリッサ」
ラートリアさんに促されて俺は、すぐに魔力を注いだ。
すると、子猫は、どんどんと成長して丸々肥えた豚猫サイズにまで成長した。
「にゃあぉう!」
「メリッサ、おめでとう。これは、あなたの生み出した聖獣よ」
はい?
俺は、戸惑いを隠せなかった。
聖獣なら、もう、間に合ってるんですけど!




