12-8 雌雄を決しようじゃないか!
12ー8 雌雄を決しようじゃないか!
はい?
俺は、小首を傾げた。
なんで?
「どうして?」
俺がリューイ先生にきくと、先生は、笑顔で答えた。
「そこに『特別クラス』のルル・レイジアのゴーレムがいるだろう?」
ええっ?
俺は、犬型ゴーレムの鼻先を見た。
すると。
ぴょん、とノミのような小さなものが飛び出した。
「ふっふっふっ、この私の策にはまったな、ネイジア・ガーランド!」
小柄な赤毛が俺の背後から現れた。
「見たか!隠密の術で気配を消した私の特製ノミ型ゴーレムの威力!」
はい?
ノミ、ですと?
マジですか?
「これがお前のゴーレムの鼻先についていたのだ!」
ルルは、何か小さなものを指先で摘まんで持ち上げた。
「ざまあみろ!このブス!」
「でも、俺たちのクラスが独走状態だったのに?」
「かかったな、ガーランド!」
プジョンがどや顔で高笑いしている。
「私は、徹夜してルールブックを研究したのだ!その結果、1人の走者が全工程を走ることはルール違反ではないのだ!しかも、参加人数は、5名以上とあるだけだ。どうだ!参ったか!」
マジですか?
俺は、愕然としていた。
「このルルのゴーレムは、お前たちのゴーレムに気配を消してずっと引っ付いていたのだ!」
「くっ!」
俺は、グゥの音もでなかった。
でも、このルルの造ったゴーレムも、彼女の隠密の術もすごいな。
俺は、あきらめて負けを認めた。
「大丈夫、ですわ!メリッサ」
クリスが俺を励ますように言った。
「本当の勝負は、明日のコンテストなんですから」
そうだった。
俺は、はっとした。
明日の『愛と美の女神コンテスト』で1位になれば、というか、もう、俺たち5番勝負の内、3試合勝ってるし優勝は決まりなんじゃ?
「いいか!ガーランド!」
プジョンが俺を指差して叫んだ。
「明日の勝負で雌雄を決するぞ!明日の勝負で勝った方がクロノの、じゃなくって、真の勝者だ!」
クロノの、ってなんだよ?
俺は、頷いた。
「いいだろう。雌雄を決しようじゃないか、プジョン」
「勝った方がクロノの恋人になる権利がある!それでいいな!忘れるなよ、ガーランド!」
はい?
俺は、去っていくプジョンの背を見送っていた。
なんですか?
それは?




