12-2 友だち始めますか?
12ー2 友だち始めますか?
「今日も、すごい盛況だね、メリッサ」
アル兄がひょこっと顔を出したのを見て、俺は、はっと気づいた。
「もう、そんな時間か!みんな、行くぞ!」
「はい!」
キティとクロノが返事をする。クリスは、うんざりというように頷いた。
「いってらっしゃい!」
俺とクロとキティ、クロノ、クリスの5人は、『花嫁クラス』の他のみんなの声援を受けながら、カフェから執事とメイドの姿のままで出陣した。
「君たち、すごい話題になってるよ」
アル兄がクリスとキティに話しかけた。
「今度、僕もこういうコンセプトの店を王都に作ろうかと思ってるぐらいに」
マジか?
アル兄、やはり侮れないな。
俺たちが闘技場へと入っていくと観客が一斉に歓声をあげた。
「ネイジア様~!」
はい?
誰かの呼び掛ける声が聞こえたので、俺は、しぶしぶ観客に向かって笑顔で手を振った。
魔法の部団体戦は、個人戦と同じトーナメント方式だ。俺たち参加者は、2つの会場にわかれて試合をしていく。
俺たちが会場へと入った頃には、もうすでに一回戦は始まっていた。
「お前たち!」
はい?
振り向くとそこには、すでに一回戦を終えていたらしい特別クラスのプジョンたちがいた。
「まさか、またラッキーが続くとは思ってないだろうな」
見たことのない特別クラスのメンバーらしき灰色の髪の少年が俺たちに言い放った。
「今度は、そううまくは、いかないからな!」
「そうなんだ」
俺は、せせら笑いながら、その少年に言った。
「メリッサ、怖い!」
「可愛い子ぶってんな、気色悪い!」
小柄な赤毛の、確か、入学試験の時、一緒になった女の子が俺を睨み付けた。
「お前の本性はわかってるんだぞ!」
マジですか?
「とにかく、勝つのは、我々だ!」
プジョンが言い切る。
「そして、勝ったあかつきには、クロノ、君と、お、お、お、お付き合いしてもらうからな!」
はい?
俺たちは、みんな、目が点になっていた。
なんですか、それは?
「いいな!約束したぞ!」
プジョンは、言いたいことだけ言うと頬を赤らめて去っていった。他の連中もプジョンの後について去っていく中、ライザ1人だけが残って立ち尽くしていた。
「あ、あの」
ライザは、頬をうっすらと朱に染めて俺に言った。
「お父様のこと、すまなかったな」
「いや、別に」
俺が答えると、ライザは、さらに赤くなってうつ向いた。
「その、あの・・」
「ライザ」
ライザの背後から1人の美しい銀髪の女の人とあの魔導師団長が現れた。
「初めまして、ネイジアちゃん、でいいのかしら?」
その女の人は、俺に微笑みかけた。
「私は、ウルグ・ショーレッドと申します。うちの娘と夫が大変迷惑をお掛けしたみたいでごめんなさいね」
「はい?」
俺は、突然現れたライザの両親に驚いていた。ウルグは、ライザを促すと言った。
「ライザ」
「あ、あの・・ネイジア・・その、お、お友だちになって欲しいんです」
ええっ?
俺は、ライザの言葉に驚いていたけど、嬉しくもあった。
「いいよ」
俺が頷くと、ライザは、ふわっと柔らかく微笑んだ。
「ありがとう。その・・ネイジア」
恥ずかしげに俺の名を呼んだライザのことをライザの両親は、微笑ましげに見つめていた。
「あっ・・でも、手加減はしないから!」
「当たり前だ!」
俺たちは、にっこりと微笑みあった。




