11-2 クラス対抗試合ですか?
11ー2 クラス対抗試合ですか?
まあ、大人たちの事情は置いておいてだ。
俺たちが魔法学園に戻ってしばらくたったある日のこと。
「クラス対抗試合だって?」
俺は、放課後にアンナ先生に呼び出しを受けていた。
アンナ先生の教官室は、足の踏み場もないほどの汚部屋だった。
俺は、床の上に投げ出された本やらゴミやらを避けながら部屋の中へと入ると、先生の座っている机の前まで進んだ。
アンナ先生は、にっこりと微笑んだ。
「そうよ。クラス対抗試合よ。ちなみに、この試合の結果が二学期の成績の指標となるわ。あんたたちにとっては、天の助けみたいな話でしょ?」
なんでも学園祭である対抗試合で優勝すると二学期は、学科、実技ともに試験の結果に関わらず及第となるらしい。
確かに、キティとクロがいる俺たちにとっては、うまい話だった。
だけど。
「そんなうまい話があるわけないし。何を隠しているんだ?アンナ先生」
俺は、直球でアンナ先生にきいた。
アンナ先生は、最初、とぼけていたが誤魔化せないとわかると開き直って、俺にそっと耳打ちした。
「実は、このクラス対抗試合の結果で、来年の研究旅行のプランが決まるのよ」
はい?
研究旅行、ですと?
つまり、こういうことだった。
クラス対抗試合で好成績を出したクラスは、誰もが羨むようなセレブリティ感漂う旅ができるが、成績が悪かったクラスは、どうでもいいような旅が待っているのだという。
「ほら、今まで、私の受け持ちのクラスは、『花嫁クラス』とか言われてて、いつもクラス対抗試合では最下位だったのよ。でも、今年は違うわよ!」
アンナ先生が、かっと目を見開いて俺を見つめた。
「今年こそは、やれる!というか、やれそうな気がする!好成績をおさめて夢のセレブ旅行を目指すのよ!」
ああ。
俺は、納得した。
それが、目的か。
だが、これは確かにうまくやれば、俺たちにとっても美味しい話だといえる。
キティとクロは、もう、試験は絶望的だった。
2人とも授業中は、居眠ってるか、集中できずに内職に精を出していた。
なんというか。
この2人は、学校とかそういうものに向いてない。
頭が悪いわけではないが、根っからの問題児タイプなのだ。
おそらく、この2人が進級できる可能性は低かった。
だが、このクラス対抗試合で優勝すれば、俺たち全員が進級できる。
こうして俺の『クラス対抗試合優勝計画』は、始まった。




