11-1 ことの顛末は
11ー1 ことの顛末は
あっという間に夏休みは過ぎて、俺たちは、王都へと帰ってきた。
いろんなことがあったせいで、ほとんど一緒に過ごせなかったばあちゃんは、
「冬休みには、待ってるわよ、メリッサ」
と、今から確約を取り付けていた。
ほんとにこの夏は、いろんなことがあった。
キャンプに行く筈が、アラクシア王国の侵略事件に巻き込まれ、ほとんど夏休みらしいこともできなかった。
だけど、俺たちみんなにとって、それ以上の価値のある夏休みだったといえる。
あの後、アレイアスたちは、関係者たちによる簡易裁判で隷属の魔法による奴隷堕ちが決定した。
本来は、死刑どころの騒ぎじゃなかったのだが、彼らの手にかかったほとんどの人々が奇跡の花の力で蘇ったため罪一等を減じられたのだ。
だが、その侵略行為に対する罰として彼らは、5年間、アラクシア王国に奴隷として仕えることになった。
そして、亜大陸、いや、グラナダ大陸への食料支援は、アル兄の『アルとメル商会』が窓口となって行われることが決まった。
というのも、天魔王連盟の手前、国からの支援を行うことは難しいためだった。
そのために、アル兄は、空船を1隻商会で所有することを許された。
もちろん中古の安物だったけど、個人の商会が空船を所有することは珍しいのだ。
さっそく、アル兄は、アレイスタたちと共に食料支援の第一便をイロイリア王国の港 テンプトンへと届けた。
その際、イロイリア王国の国王でありアレイスタの父親でもあるアウメネス国王との会見が行われ、その結果、『アルとメル商会』は、グラナダ大陸への食料支援と引き換えに交易を一手に扱うこととなった。
「今、グラナダには、アルゴス大陸へ売れるものは何もない」
アウメネス王は、アル兄に言った。
「だが、我々の国には、誇れるものが1つだけある。それは、兵士の力だ」
そういうわけで、アル兄は、急遽傭兵ギルドを創立し、亜人の傭兵たちを商品として扱うことになった。
これは、戦乱に明け暮れるアルゴス大陸にとって、画期的なこととなった。
各国から傭兵ギルドは、注目され、重視されていた。
すぐさま、各国は、亜人の傭兵部隊を設立した。
それは、もちろんガーランド公国も例外ではなかった。




