パンドラの亡国
パンドラ大陸では、歴史や宗教を発端に戦乱が続き、ある地域はそれを儲けや政略に利用する。
そんな世界ただ1つ、不変の国があった。
皇国アマテラス。
その国は他国と一切の関わりを持たず、大海に構える大陸に君臨する。
大陸を独占こそしているものの、それをとやかく言う者はいない。現在繁栄していて物流や交通の中心となる国々の集うパンドラ大陸からかなり離れているのが原因の一つだ。
しかしそれらの理由がなくともアマテラスに手を出す国はいない。
だれも勝てるなどとは思わないからだ。
ある国は平和の国と呼び、ある国は抑止力そのものと呼び、ある国は最強の国と呼んだ。
今から数百年前、パンドラ大陸海沿いの新興国はそれを嘘だ、ハッタリだと言い張り、大陸を侵略しようと兵を送った。
歴史ある周辺国家はそれを止めようとした。戦乱の時代にあっても人々は道徳心を忘れず、優しさでその新興国に警告したのだ。
しかしその新興国は自分が大陸を手に入れて利益を得る事を周辺国家が妬んでいる、などと思い込み、作戦を強行した。
その結果は残酷であった。
一晩経つとその新興国は消え去っていた。
文字通り消え去った。大陸からその領土を抉る様に国そのものが消えていたのだ。
しかし200万程いた国民は周辺国家にいつの間にか移動しており、夜明けと共に目覚め、周辺国家でしばらく混乱が起こった。
周辺国家は難民受け入れを進めつつ、抉られてできた広大な領海を分け合った。