ガンの、ここが地味に辛い
「耳の裏側、過密地帯」
かつら+メガネのつる+マスク。
三密です。
痛いです。
行き場がありません。
何か減らすとしたらかつらなので、なるべくかつらはつけたくない。
パート、接客もあるのでかつら+メガネ+マスク。
外出、かつらの代わりに帽子。髪がないのでブカブカだが暑いからそれでいい。+メガネ+マスク。
家 メガネのみ。同居家族以外がいるときは+マスク。家族が風邪の時も+マスク。しんどい。
父には頭を見せるのに抵抗があったけど、7月、暑さが勝ちました。
オリンピック連休帰省中、父方の祖母96歳の前でも、母方の祖母100歳の前でも、帽子はかぶらなかった。
妹宅でももちろん脱帽。涼しさ最優先です。
「シミが増えているのかわからない」
毛が抜ける前の私は、抗がん剤治療中の人が帽子を深々とかぶっているのを見て、そんなに隠したくなるのかな、と疑問でした。
悪いことしてるわけじゃないんだから、ただ病気なだけだから、別に出してもえーやんと生意気にも思っていた。
そして真実を知りました。
「抗がん剤の副作用の一つで、皮膚が日光を吸収しやすくなっている。紫外線対策必至!!! 日焼け止めはもちろん、帽子は当然深々とかぶって紫外線を避けるべし!」
すべてに意味はあるんです。誤解してすみません。
私もすっぽり深々とかぶっています。
しかし、完璧ではない。
シミが増えているような気がするが、そいつが前からあったやつなのか、最近できたやつなのか、わからない問題……。
赤いシミは薬で消せるが黒くなったら消せない、と、看護士さんに言われるも、赤いシミ?
よくわからない。
私は外見をさほど気にしないタイプなので、わからないと言っているうちに増えていく予感がしています。
「下痢」
これは抗がん剤の種類によって副作用として出やすい場合とそうでない場合があるので一概には言えません(どんな症状もですが)。
最初の抗がん剤(3本)のうちの1本パージェタが下痢しやすいそうです。
快便人生を送ってきたので、下痢が続くのは堪えました。方言でいうと、ホンマにえらかった。
次女を保育園に送っていく途中、もよおして、出ちゃった時は尊厳という言葉を噛みしめました。
紆余曲折あり、ひどくない下痢の時点で下痢止めを飲んでしまう技を習得しました。ひどくなるまで待ったらあかん。
夫によると、酒をたくさん飲む人は基本下痢だそうですが本当ですか? 酒をやめれば下痢にならないのに、それでも酒? 夫はいつも下痢です。呆れを通り越してすごい。私には堪えられない世界観です。
「日常生活を送っていると、元気な人だと思われる」
これ!
見た目が元気だと、病人と見なされないんですよね、特に夫に。根深い問題です。夫への愚痴が尽きそうにないので、見方を変えます。
元気に楽しそうにしている人も、実は病気かもしれない。
親子3世代で買い物している人たちを見ると、実家が近くていいよなっと妬むのが習慣になっていた私は、反省しました。この人たちは久しぶりに帰省して、久しぶりに買い物している人たちかもしれない。
どんな人も、病気の苦しみや、色んな困難を抱えて、その上で楽しみを見つけているのかもしれない。人を(あまり)妬まなくなりました。
地味に辛いことは、ガンになってよかったことにもつながるのでした。
入院中です。
長女がLINEやテレビ電話をしたいというのでタブレットを渡したけど、連絡がない。さすがに夜10時すぎたので寝ているだろう。楽しくやれたようでよかった。