夢を叶えることについて
はい、前回同様、私が書かなくてもいい案件、何千何万の先人の素晴らしい教えがあるよ、の時間です。
先に結論を書いておくと「叶えたいことは具体的に考えろ、そして記せ、できれば周知せよ」という、当たり前のことです。
今回はスウェーデンとBL小説の過去の現場からです。
スウェーデンのことは「乳ガンがわかって1ヶ月ですが、里山歴は13年です」に少々書きました。
夢を叶えるという観点から、もう少々書きます。
叶えてきました。
スウェーデンを知りたい。
スウェーデン語を学びたい。
スウェーデン語を学べるO大学に合格者を出している高校に受かりたい。
O大学に入りたい。
スウェーデンに行きたい。
ニルスの足跡をたどる、今でいう巡礼の旅をしたい。
ニルスを原書で読みたい。
北欧5カ国ぜんぶ行きたい。
短期留学したい。
住んでみるために、長期留学したい。
こうやって並べてみると、順を追って具体的に夢というか目標を立てている様子がうかがえます。
目標のためにする努力はさして苦痛でない。
私は大学に入るまで一人旅をしたことがなく、電車も飛行機も一人で乗ったことはなく、もちろん海外旅行の経験もありませんでしたが、できたよね。
受験勉強については、放課後や休日に友達と遊ぶなんて私にはありえない話で(誘えないし誘われないし、仮に誘われたとしても困った)、ありあまった時間を読書と絵描き小説書きと勉強に費やしていました。一人でできることがあるって素晴らしい。
そう、私は夢を叶えたのです。
その先のビションは持っていなかったので、今、スウェーデン関係の仕事をしていないのは当たり前のことなのです。
スウェーデンに住んでみた感想は、私は日本人だ、ということ。スウェーデンでクロサワを初めて見て、北野武を初めて見て、純文学を初めて読んで、その素晴らしさを知りました。スウェーデンに日本のよさを教えてもらったのです。
私はスウェーデンを諦めて、ニートになったんじゃない。叶え終わってすることがなくなっただけ。あの熱量を注げる目標を掲げられなくなっただけです。
BL小説に関しても今のところ同じかなあ。
大阪梅田地下ホワイティにある本屋BookFirstのBL本新刊コーナーに自分の本を平積みされたい!
という強烈な夢がありました。
BookFirstは10代の頃から通っていた本屋で(今はもうない)、BLの品揃えが最高で、滋賀の田舎から出てきた私には夢の国でした。めちゃくちゃ通いつめていました。
この本屋の、この新刊コーナーに! 自分の本を!
当時は自分のウェブサイトに小説を掲載するだけで、投稿するでもなく、野心とは程遠いところにいたのですが、心の一番奥の方ではずっとそう思っていました。
たぶん、その奥にある野心のおかげで、ウェブ小説だけど、本になるのを前提とした書き方をしていたんだと思います。出版が決まってから、仲良くしてもらっていた同じウェブ作家さんにズバリ言い当てられました。
で、平積みされました。
ヤッター!
最高!
一冊目執筆中に「こめ王子」というキャラを思いついて、絶対世に出したい! と思いました。
で、「こめ王子」も出版にこぎつけました。
平積みとこめ王子が頂点で、その先の明確なビションはなかったのです。
もちろん、今でも書きたいものはあるし、書いているし、たくさんの人に好評価されたいし、収入のある小説を書きたいし、挿し絵を描いてもらいたい漫画家さんはいるし、したいことはあっても、あの強烈な太陽みたいな目標には達していないのです。
なんなんでしょうね、あの熱量。
あそこに達した夢は叶うんだと体感しています。
今、私はガン患者です。
二月半ばから二週間かけて、ステージ3か4かを診断する検査が続きました。ステージ3は治るんですよ。ステージ4は治りません。
自分でも驚くくらい祈りました。スウェーデンやBL小説と違って、自分の努力でステージを決めることはできません。
「絶対ステージ3!」とノートに書いて、風呂では唱え、家族には宣言しまくりました。
ありがたいことにステージ3と診断されました。
次は薬の問題です。
私はお酒がダメで、アルコールの入った抗がん剤は使えない、副作用がきつい抗がん剤になるかもしれないと言われました。
チョコパイってご存知ですか? チョコにコーティングされた固めのスポンジにクリームが入っている昔からあるお菓子です。あれを食べると息が苦しくなって、頭が痛くなります。洋酒入りなのです。洋酒入り洋菓子はクッキーでもチョコでもぜんぶダメです。
大学生活に酒は欠かせませんから、がんばって飲んではいましたが、カルーアミルクなら少々飲めるどまりでした。職場では時代的に酒を強制されることはなく、ソフトドリンクで楽しくやっていました。
美味しいと思えるのは日本酒だけで、一合の半分を五時間くらいかけて飲みきったという輝かしい成績があります。
酒から距離を置いた生活を約20年。
しかしやるしかない。アルコールチャレンジです。
唯一美味しいと思える日本酒を、夕食とともにグビリ。香りと一口目は美味しいけど、好んで飲むものじゃない。習慣がないので飲み忘れる日もありました。しかし必死です。がんばりました。
結果、アルコールチャレンジ成功です。使ってみよか、と先生からGOが出ました。
次の問題はガンの種類です。
地元の病院で診断されたものと、今の病院での結果が違った、という寝耳に水でした。
アルコール入り抗がん剤は使えますが、それと併用する抗がん剤が、新しい検査結果次第で使えなくなるのです。
私のガンはホルモン受容体陰性HER2(ハーツー)陽性乳ガンという種類で、HER2陽性乳ガンはもともと悪性の強い乳ガンだったけど、2年前からいい薬が使えるようになって、結果がものすごくよくなったそうです。そのHER2が陽性でなく陰性かもしれないというまさかの事態です。
これももう祈るしかない。「絶対HER2陽性!」と書いて、ことあるごとに唱えて、夫にも言いまくる。
結果、陽性でした。よかった。
で、今です。
「抗がん剤が劇的に効いて、みるみるガンが小さくなる!」
「副作用が意外に少なくて、元気にすごせる!」
「ガン細胞が私の体からひとつ残らずなくなる!」
「二度とガンにならない体になる!」
一つ目はすでに叶っていて、昨日先生からしこりがなくなっているとお墨付きをいただきました。
二つ目も今のところは叶っている。
あの強烈で太陽みたいな熱量をもって、夢を叶えたい。
抗がん剤点滴した夜はなぜか興奮して、目が冴えて、こんな風に2話連続で書いてしまいます。