乳ガンがわかって1ヶ月ですが、里山歴は13年です
里山を語る前に、スウェーデンのことを書きます。
忘れもしない小学5年生の頃、NHKの衛星第2チャンネルで、衛星アニメ劇場「ニルスのふしぎな旅」をやっていました。
舞台はスウェーデン。
いたずらをしすぎた少年ニルスが魔法で小人にされ、いじめていた家禽のガチョウ・モルテンの背中に乗り、スウェーデン中を旅するお話です。
とってもおもしろかった。スウェーデンが大好きになりました。
スウェーデンのことを調べて自由研究にまとめたり、スウェーデン大使館に手紙を送ってスウェーデン語を勉強できるところを尋ねたり、スウェーデン語を学べるO大学に入るために、そこに合格者を出している高校を受験したり。目的があるので勉強もがんばれました。
O大学に入った年の夏には1ヶ月スウェーデンを旅してニルスの足跡をたどり、その後は短期留学、長期留学、スウェーデンづくし。
卒業が近づき、一つの問題が発生します。
就活です。
はっきりいって私の語学力はネイティブには遠く及ばない。スウェーデン人は英語が流暢なので、スウェーデン語を使う仕事はそもそもごく少ない。
児童文学に興味があり(本が友達)、訳者を目指そうかと迷走した時期もありましたが、現役スウェーデン児童文学訳者が先生の授業を取っていたこともあり、先生と張り合うのはよそうと断念しました。
いきづまっていると、運よく「まだ就職が決まっていない生徒に、一時的な仕事ではあるけれど」と紹介されたのが、万博です。
2025年の愛知万博・愛地球博、スウェーデンを含む北欧5カ国による「北欧共同館」。運よく受かって、ガイドとして半年働くことができました。充実していました。
次の仕事はもう見つかりませんでした。
地元滋賀で郵便局の短期アルバイトをして、地元はあかんと大阪に飛び出て派遣社員です。スウェーデン語がダメならせめて英語と特許事務所を選びましたが、1年で退社。
ニートです。
したいことがない。
できそうなこともない。
なにもできない人間だ。
なにもしてないのに息して酸素使っててすみません。
……。
……。
酸素。
酸素増やせばいいのか?
酸素増やせば、息していいのか?
酸素増やすしかない。
酸素といえば、植物、木、森。
放置されてる森の木を切って、森を若返らせて、たくさん酸素出せるようにしたらいいんじゃない?
図書館に通いはじめました。木や森、林、片っ端から本を読み、これだと思ったのが森林ボランティアです。
たまたま大阪には「NPO法人日本森林ボランティア協会」があり、森林大学という講座を開いていました。たまたま4月からの新規受講生募集中で、定員にすべり込みセーフ。ニートに嬉しい自転車で通える距離!
受講中に、念願の森林ボランティアデビュー!
私、酸素増やしてる!
生きてていい!
よかった!
よかったー!
しかも森林ボランティアって、酸素増やすだけじゃないんですよ。
はじめ人間ゴン的な世界といいますか、協力して大きな木を倒すと地響きがします。まるで今日の食料となる恐竜をみんなでしとめたような感動、一体感、達成感がすごい。原始的なところが満たされるような、他では味わえない快感です。
接点のなかった世代、年齢、職業の方と、同じ土俵でつきあえるのもいい経験でした。そんなにしゃべらなくても、一段落ついてから同じヘルメットをかぶって斜面に並んでお茶を飲んでいるだけで、気持ちが通じあいます。
ニート→森林ボランティア→就活する元気が出る→森関係の仕事がたまたま見つかる(実は森ボラ関係者の勤務先だった)→職場で里山活動をしている別の人と仲良くなる→その人の活動のお手伝いをする→里山系の講座を受ける→ミスター里山と知り合う→ミスター里山の里山活動ボランティアをする→里山フォーラム実行委員会に入る→理想の里山に住むだんなと結婚して移住→1年ほど里山関係の仕事を4つかけもちする→里山BL小説が出版される→Twitterで里山発信→古民家に引っ越す→スウェーデン人が遊びに来てくれた!
スウェーデンを諦めたけど、その結果、里山に目覚め、スウェーデン人が里山の我が家に来てくれるというまさにめぐりあわせです。
色んなことすべてに意味があるんですよね。
だから今日の抗がん剤治療もがんばります。
次回は
順番が逆になっちゃった
「乳ガンがわかって1ヶ月ですが、BL執筆歴は25年です」
をお送りします。