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男女逆転から始まる異世界冒険譚  作者: ペンちゃん
74/76

74 勇者アルフレッド

 勇者アルフレッド。

 彼女は今とある人物を探す為、王都の2階層、商業施設が立ち並ぶ商業地区を歩き回っていた。

 

 街の人達はそんな勇者アルフレッドを見ると手を振ったり黄色い声援を送る。

 彼女はこのアレグリア王国で選出された悪を打ち滅ぼすとされる勇者。

 

 まだ実績は無いが彼女はこの国にとっては英雄。

 勇者とはそういう存在なのだ。

 

 そんな彼女は街を歩きながら数日前に出会った男性の事を考えていた。

 

 あの運命の日。

 

 アルフレッドはうっすらとおぼろげた記憶ではあったが確かに覚えていた。

 一日中酒に溺れていたせいかあの男の人に見惚れていると突如後頭部に強い衝撃を感じた事。

 

 そしてここからは少し記憶がおぼろげだがその男の人が介抱してくれたという記憶。

 

 ただもう一度あの人に会いたい。

 そしてこの想いを伝えなければならない。

 

 彼女の胸のうちはそんな想いでいっぱいだった。

 

 そんな中、勇者アルフレッドは街の中を歩き探す道中人々に囲まれたヘレナやユウキの姿を見つけた。

 

 …

 

 王都の2階層商業地区入口。

 ユウキ達は村の事をギルドとレジェンダリージュエルズに任せ一足先に王都へと帰還していた。

 

 王都に付き2階層目へと登ると街の住民…と言うより冒険者の一団にユウキ達は取り囲まれた。

 

 理由は魔王軍進行の噂が大きく広がっていたからに他ならない。

 あり得ない事ではあるが魔法のある世界、突如として軍勢が出現したとしても不思議では無いのだ。

 

 「あの村に一体何があった!?」

 「魔王軍が攻めて来たのか!?」

 

 皆心の底では恐れていたのだろう。そんな問を軽く無視しつつ人を近づけさせないようにユウキを中央に置き人混みをかき分け抜ける。

 

 「ユウキ様ご無事でしたか?」

 

 ヘレナが俺を気遣ってくれているらしくそう言い怪我が無いかなど色々と聞いてくる。

 カルブは息苦しそうにしながらも最後に抜け出し息を大きく吸い込む。

 そんな中コトミはどこか嬉しそうだった。

 

 「なんか私達今とっても人気者みたいっすね!!」

 「確かにそうだな…なんでも魔王軍がどうとか…」

 「魔王軍!

 いつでも準備オッケーすよー!

 かかってきやがれッス!」

 

 コトミはそう言いながらやる気満々といった表情で拳を何も無い空中へと突き出し殴る動作をしてみせる。

 

 まあ一応、旅の目的は魔王軍討伐の為向こうから来てくれるのならわざわざ行く手間がはぶけるというものだが…。

 

 こいつや他の面子は兎も角として俺はその前に強くならないと確実に死にそう…。

 

 しかし神も何故、魔王討伐をこんな奴に頼んだのやら。

 

 目の前ではしゃぎ笑うコトミを見てそんな事をつくづくと思う。

 俺はこいつをいや…彼女らを守ってやれるのかどうかと。

 

 まぁ、自分を守る事すら満足にもできない俺が何を言っているのやらという話だが…。

 

 「どうかされましたか?」

 「いや? 何でもない」

 

 ヘレナと二人ちょうど横歩きになった時に前方から声がかけられた。

 その声には覚えがある。

 勇者アルフレッドのものだ。

 

 「ああ…やっと貴方に出会えた」

 

 アルフレッドはスッと俺の前に来ると自然に手を取り手の甲に口づけをした。

 

 「ふぁっつ!?」

 

 あまりに自然に…それも慣れない事をされた為思わず変な声が出る。

 

 どこか苦手な人とは言えこんな綺麗な人にキスされるとは………。

 

 「先輩…?

 なに頬を赤くしてんすか…」

 「いっ…いや…別に…」

 

 頬を膨らませ睨むコトミから目をそらす。

 そしてヘレナを見ると笑ったまま固まっておりその手と顔には青筋が浮かばせ手元を見ると軽く鞘から剣を抜いていた。

 

 そんな状況だったのだが…。

 流石は勇者。

 勇気ある者と言ったところか…そのまま話を進める。

 そしてとある言葉を口にした。

 

 「私は気づいたのです。

 私にはあなたしかいないと…」

 

 一瞬の沈黙の後、時間はまた動き出す。

 

 「「はぁ?」」

 

 今現在アルフレッドは跪きユウキの手を握ったまま想いを伝えたのだ。

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