60 ブラックハウンド
シーフの話しを聞きながら村に向かう事、数時間。
その間に聞いた話は昔の話…それも3000年も昔の話だった。
今の王国がまだ魔導国と呼ばれ恐れられていた頃の時代。
魔導国…国王の名は魔導王アンドレイア。
歴代最強の魔女で今では魔術の母とも呼ばれている。
かなり謎の多い人物で現在では魔導王と呼ばれてはいるが事実かは不明…ただし王族であった事は確からしい。
シーフが購入した魔導書の原著者であり。
様々な魔導書や魔術研究を後世に残した人物。
あのスキルカードもまた彼女の制作物でありそれだけで無く現在使用されている魔道具や魔導書、魔法、全てに至るまで。
あるたいていの魔道具、魔法技術の殆どは魔導王が発見、制作した物を応用し作られている。
当時の資料は紛失や風化、火事で消失し少なくそれ以上は不明。
しかし王国は確かに魔導国と呼ばれるほどに優れていた事は今に至るまで代々に物語として伝わっている。
そこから聞くにかつての魔導国と今の王国の魔術レベルを比べると徐々にそれも衰退し今ではただの国 魔法使いはいるにはいるが当時と比べると人数も少なく技術も多く失われてしまった。
…
シーフが大まかに話し、そこにヘレナが歴史や知識などを付け加え分かりやすくしてくれた。
「……魔導王に3000年の歴史ねぇ…」
なかなか壮大で面白い話ではあるが…それにしてもヘレナが知識人なのは分かるがシーフがここまで歴史なんかに詳しいとは…。
読書が趣味と言うのはあながち嘘じゃ無いらしい。
「それにしてもヘレナ。
お前…詳しいんだな、どこで学んだ?
騎士学校か?」
シーフが前を歩くヘレナに対しそうどこか冷えた視線を向け聞く。
ヘレナはそんなシーフに肩をすぼめ口を開いた。
「まあ確かに騎士学校でも習うが…家が家だからな…。
私の家はウルティム家。
さっき話してた初代国王である魔導王の頃から仕え支えて来た家系だ。
だからか…自然とそんな歴史は家にいる執事やメイド、家庭教師から子供の頃に教え込まれるのさ」
その話を聞きシーフとカルブは歩くのをやめ驚く。
「どうした?」
固まる二人に対しそう聞くと更に驚いた様子だった。
そして信じられ無いとばかりに二人は話し始める。
「ユウキさん!
知らないんですか!?
あのウルティム家ですよ?
物語にも出てくる…」
カルブはそう言いながら歩きヘレナを見る。
シーフは…。
「そこまでのお偉いお嬢様だとは思って無かった…」
呆れている様な驚いている様な様子だ。
「そんなお偉い家系に産まれて…今は冒険者で魔王退治か…」
ヘレナはその言葉を無視し歩き続けシーフはそんな事は気にせずと言った様子で話を続ける。
確かに冒険者をやっているのには何かあるのだろう。
冒険者は下級層の人々が行う危険な職業であり本来騎士である者がわざわざなろうとする事は無い。
強い冒険者はまるでおとぎ話の英雄かの様に讃えられ皆から称賛される為
その影響もあってか人気ではある。
危険な仕事の為、稼げるお金は大きい。
お金のない人達からすれば夢のある仕事なのだ。
「理由は聞かないでおいてやるよ…。
お互いにいろいろあるだろうしな…」
「それは助かるよ…」
シーフとヘレナの二人はそう会話をしながらもどこかピリピリとした空気を漂わせる。
そんな険悪な空気を感じカルブはキョロキョロと二人を見ていたので頭に手を乗せて撫でてやる。
「いつものことさ…それにほら喧嘩するほど仲がいいって言うだろ?」
するとカルブは嬉しそうにそして安心したかのように微笑み頷く。
「そうですよね!」
しかしとうの二人はそれを聞きお互い顔を見ないようにと顔をそむけたが…。
…
道を歩きようやく村が見える距離まで来た時…前方の林道より馬の嘶きが聞こえた。
どうやら目的の村に住む村人が馬に乗り日没前にと王都に向かっているのか慌てているらしい。
馬を走らせるにしてはあまりに騒々しいのだ。
どうやら全速力らしい。
草が擦れる音も多い…。
何より…この獣の様な息遣い…。
森の中の曲がり角の為よく見えず分からないが俺の感は正常に働いているらしい。
そう嫌な予感が頭を過った時…前方よりそれは現れた。
「冒険者の方!?助けてください!!」
馬に乗り走らせていたのは女装をした男…最もこの世界では普通の事だが…。
のんきにもそんな事を思ったがどうやらそれどころでは無いらしい。
男性が俺達の間を駆け抜けるとそれを追い黒く大きな獣の群れが姿を表した。
まるで鉄砲玉の様に飛び出し一目散に噛み付こうと飛び掛かってくる。
「やべっ!!」
すぐさま後ろへ逃げようとするもその前に鋭い牙が目の前に現れ食いつこうとしている。
キャイン!
バキ!
ドサッ…。
ゴキ!
ズサァァァ…
怯え、目を瞑り頭を抱えてしゃがむーみ死を悟った俺であったがそれは杞憂で終わったらしい。
「さぁ…もう大丈夫ですよユウキ様…」
目をゆっくり開けるともうすでに黒い獣は目の前におらず代わりにヘレナが手を差し伸ばしていた…。
その手を取り立ち上がると俺は状況を理解する。
どうやら各々が暴れたらしい。
辺りに死骸と思われる先程の獣が数頭寝転がっている。
開幕シーフが矢で射抜きヘレナとカルブが剣で首を跳ねコトミは力任せに殴るかしたらしい一匹無残な姿になっている…。
そしてどうやら俺の目の前にいた獣はヘレナが蹴りを入れ横道にとばしてくれたようだった。
「先輩!大丈夫っすか?」
「助かった…」
胸を抑えるとまだ心臓がバクバクとしているのが分かる。
「一匹逃がしちゃいましたけどどうします?」
シーフは弓を構え辺りを見渡しカルブは耳と鼻をピクつかせまだ警戒し危険が無いか調べてくれている様だ。
「さて…あの逃げたやつは戻ってくる気配もないしあたりにも、もういないな…。
おい!もうこっちに来て大丈夫だ!」
シーフがそう叫び呼んだのは先程の村人。
村人の男は慌てて駆け寄るなり言い放つ。
「大変なんです!!村が先程の魔物に襲われて!」
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