59 道中
ブラックハウンド…それは群れで活動し夜の静寂にまぎれ…獲物を狩るハンター。
B級と指定されているだけあり、凶暴性が高くその顎の力に至っては一匹一匹が馬の首をひと噛みで噛みちぎってしまうほどだと恐れられている。
更にはその群れのリーダーは体が大きく成長し知力も高い。
あのサラマンダーですらこの群れに囲まれる事になれば一方的とは言わずとも必ず駆られる事になるだろう。
時に…その群れが繁殖、もしくは群れ同士で合体した場合。
大きく膨れ上がった群れは人々を襲い過去には街から人が一夜で消える程の獣害があった事もあるとか。
そんな情報を無駄に知っている俺の足取り重い。
「やっぱ…王都に残っとけば良かったかな…」
皆が強い事は知っているのだがそれでも不安はある。
もし…俺のいない所で…。
なんて考えてしまい付いてきてしまった。
「大丈夫ですよ!ユウキさん!
私がいるじゃないですか!」
そうカルブが励まし言ってくれる。
「ありがとうカルブ」
確かにカルブは俺なんかよりも数十倍は強いだろう。
頼りになる筈…なのだがその背丈で言われると不安になる。
「そういえば…コトミ、アンジュはどうした?
朝見なかったけど?
いや…お前もいなかったな。
昨夜どこで寝てたんだ?」
「へ?
いやぁーそうっすねー。
この魔物退治が終わったら案内するっすよ!
私達は昨日、とても良い宿を見つけたんす!
それもタダの!」
ん? そんなうまい話があるわけが無い…。
おおかた誰かに騙されてるとかそんなとこだろうか?
きっと…宿を出るときに支払わされるパターンだろう。
「はあ…稼がないとな…」
そう考え今度はシーフを見た。
そういえばシーフは一人で王都にいたな…。
「シーフさんは昨日何をしてたんですか?」
そう聞くとシーフは荷物の中から本を取り出しユウキに投げた。
「っとと…」
その本は魔法陣が書かれた表紙で何か書いてある。
「もしかして魔導書ってやつ?
古代の一般家庭魔術一覧とその主な使用方…?
原著者 魔導王アンドレイア…」
なんか、いかした名前の奴だな…。
それに魔導王?ふーん…。
その本の内容は食器を綺麗にする魔法や火をつける魔法などが乗っており。
他にも温風で洗濯物や食器の乾燥。
桶の中の水を混ぜる洗濯機の様な魔法など様々な魔法と使い方が書かれていた。
シーフは本をじっと見つめる俺を見ながら話す。
「本を読むのが趣味だからな…。
昨日は魔導書店で本を見ていたな。
特に魔導書店はあの王都にしかない…故に買う本をどれにしようかと選んでいる内に日が沈んでしまったよ」
しかし…。
「にしても以外だなぁ。
シーフの趣味はてっきりスリとか盗みかと」
「なっ!?」
そう思っていた事を言うとヘレナが珍しく、ククク…と手で口を抑え笑っていた。
それに対しシーフは頬を赤らめ俺に近づき本を取り上げ大切そうに荷物の中にしまう。
「あれは生きるためで別に好きで始めたわけじゃあない。
私にはその選択肢しかなくそれが今も続いてるだけだ…。
何処ぞの騎士様とは違ってあいにく庶民の出なものでね」
シーフはそこまで話すと途中で咳払いし話を終わらせた。
話が終わったので俺はシーフに歩きながら寄り先程の本について聞く。
少し気になることがあったからだ。
「そういえばさ…。
さっきの本に魔法の使い方とかあったけど魔法ってスキルカードで手に入れるものじゃないのか?」
その問にシーフはポカンとした驚いてるのか呆れているのかそれとも両方か…。
そんな顔をして俺を見てくる。
ヘレナはそんな俺を見て頭を抱えていた。
「まだ…記憶障害が…ああ…私のせいで…」
どうやら、何か勘違いをしているらしい。
シーフはと言うとヘレナとは逆で何だか嬉しそうに話を聞かせてくれた。
スキルカードについて…。
話は簡単に、スキルカードの魔法と魔導書の魔法は同じ物らしい。
ただ違う事は本来の魔法やスキルと呼ばれる剣技などの技。
それは本来、魔力操作や魔法陣などを学ぶ魔術学を覚える必要がある。
そしてそれはスキルも同様だ。
スキルもまた魔力操作による筋力コントロールやその動作を鍛錬する必要があり魔法もスキルも共通して会得するには数年〜数十年の時間が必要になる。
それもその者の能力…つまり才能次第の為それで覚えられるとは限らない。
しかしそれに対しスキルカードは一瞬にしてそれを可能とする事ができる。
故に本来の方法ではなくスキルカードが楽でオマケに時間がかからない為スキルカードが一般的で普及しているとの事だ。
スキルカードはかなり万能でその者をカードが魔力を検出し査定。
その結果その者にあった役職を提示しその後はその役職に応じた魔法やスキルを表示しその中の好きな魔法を選択させる。
スキルポイントはその者の魔力量に比例し出現…または消滅するシステム。
そして、スキルカードはなんでも先程の原作者である魔導王アンドレイアが誰でも簡単に強くなれる様にと設計し制作した物らしい。
カードに埋め込まれたデータをもとに体が勝手に動かされ魔力操作も自動
そのため素人でも使用可能。
スキルカードにはどう動きどのような魔法陣の知識が必要かなど。
どう魔力を操作すれば技や魔法が使えると言った事がプログラムされているのだ。
…
「へー…このカードにそんな機能があっただなんて…」
ユウキが感心しカードを見つめる中でもシーフは夢中に話を続ける。
どうやら変なスイッチが入ったらしい。
「しかし…所詮はプログラムで手に入れた力。
動作が一パターンしかなくそれに魔力調整も効かない。
確かに中には普通なら扱えない様な上位魔法なんかもあるが、ある一定以上の者には通用しなくなる。
次にどんな攻撃が来るか予想がつくから対処ができてしまう。
だからできる事ならカードには頼らず自分自身の力で手に入れた方が良い。
それに何よりも技や魔法の使える量の差は歴然だからな。
やっぱり魔法は多く使えたほうが良いってユウキも思うだろ!?」
「う…うん。
そう思うよ…」
そう言ったのがいけなかったのかシーフは更に機嫌を良くし話を続けた。
どうやら話はまだまだ続くらしい。
まあ村につくまでは暇だからいいけれども…。
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