52 キャットテイル
一行は村を離れ王都、フィエリテを歩いて目指した。
その道中に変な馬車を見つけた。
「先輩!あれ見てくださいっす!
猫の顔した馬車!」
コトミが指差す場所を見ると確かに遠くに馬車が見える。
「よくあんな遠くの馬車を見つけられるな…」
目を細めてようやく砂埃が見える程度の距離…。
「あれは…ちょうどいい、載せてもらいましょう。
恐らくあの馬車に私の友人が乗っているはずです」
ヘレナはそう言うと立ち止まりその馬車が来るのを待つ。
時間が立つに連れ徐々に馬車は近づきそのおかしな…そしてどこか見た事のある形をした馬車がはっきりと見えるようになった。
それが近づくとヘレナは手を振る。
すると馬車は目の前まで来ると止まりこれまたどこかで聞いた事のある声が聞こえた。
「おおー!!誰かと思えばヘレにゃじゃにゃいか!?
久しぶりだにゃー」
猫耳が揺れ尻尾が振れる。
「ユリファさん?」
目の前にいる人物を俺は知っている。
あの始まりの街で武器や洋服を売っていた猫人の女性…。
だが…目の前にいる彼女は首をかしげ俺をジロジロと眺めぽんと手を叩いた。
「ああ!
もしかしてユリファが言ってたユウキちゃんかにゃ?
ニャーるほどー。
確かに美人さんだにゃ…。
ヘレにゃも隅におけないにゃねー。
こんな可愛い娘を捕まえるなんてさー…くぷぷ…。
どうりでユリファの奴が嫉妬するわけにゃ」
そう言うと馬車から飛び降り軽くふわりと着地するとユウキに近づき手を伸ばした。
「私はミファ…ユリファの姉だにゃ。
よろしくぅ!!」
差し伸ばされた手を握ると急にグイと引かれよろめくとミファはすかさず近づき首筋の匂いをクンクンと嗅ぐ。
「あ!!ユウキさんから離れてください!!」
慌てた様子でカルブが止めに入り間を離す。
「まあまあ…ちょっとぐらい良いじゃにゃい?」
「駄目です!」
カルブはまるでユウキを守っているかの様に手を広げ目の前でニヤニヤと笑っているミファを見ていた。
…
その後…俺達はミファの馬車に乗せて貰い王都に向かっていく。
この馬車は猫の頭に見えるように作られており…普通の馬車とは違い引いている車の部分は丸く屋根に形作られた耳と目に見せかけた窓がついている…。
その中には、干された草や。
緑色の水が入ったフラスコや試験管が多く箱に入れられカチャカチャと音を鳴らしていた。
「所で…ユリファの家もこんな感じだったけど…」
そう馬車の天井を見ながら話す。
「ああ…これにゃ?
これは私達、兄弟姉妹のマーク見たいなものにゃよ。
跡はひと目で分かる看板みたいなものかにゃ?」
「ふーん…」
確かにこれで商売をやれば遠くからでもひと目で分かるな…。
そんな話をしていると馬車が止まった。
「どうしたミファ!?」
ミファはそう聞くヘレナを見ずに首をかしげ前方を見据えている。
「んん?
たぶん魔物みたいにゃね。
ヘレにゃ行って倒してくるにゃ」
耳をピクピク動かしそうミファがそう言うと前方で火が立ち昇った。
サラマンダー。
B級ランクの魔物…。
ユウキはそれを知っていた。
何度か依頼を受付し処理した事がある…。
別名…初心者殺し 人食いトカゲ
など物騒な物が多い。
「ちょっと待って! あれと戦うの?
やめたほうが…危ないよ!」
そう忠告するとヘレナ…そしてカルブは立ち上がり笑った。
「ユウキさんはここで見てて下さい。
私達なら大丈夫ですから!」
「ええ…ユウキ様はそこでおくつろぎ下さい。
そう言えば私の剣技をしっかりと見せた事はありませんでしたね…今ご覧に入れましょう」
二人はすっと馬車から音も無く降り立ち堂々とした様子で剣を抜くと意気揚々と歩き魔物のもとへ向かう。
「本当にそいつやばいんだって!!
毎年、死亡事例がいっぱいあって…」
そう叫び止めようとすると肩に手が置かれた。
「先輩…心配症っすねー。
大丈夫っすよ〜」
そう言いコトミは親指を立て笑っている。
まあ…確かに彼らは魔物討伐のエキスパートだ。
コトミやシーフ、俺とは違って俺達がこの世界に来るよりも以前から魔物討伐を行ってきた。
これまで彼らが戦う姿を見ていた時の魔物は高くてもC級クラスの魔物。
はっきり言ってCとBでのレベルは天と地程の差がある。
それは死傷者表を見た事のある俺からすれば当然知っている常識…。
ヘレナは知らないが…カルブはC級冒険者だったはず。
まさかこんな所であの受付嬢時代の知識が生きるとは。
そう思い俺は二人を止めようと馬車を飛び降り走った。
ただ…二人を助けようと考え。
「ちょちょ…ユウキきゅん!?」
…
見た目は大きな赤色のトカゲだが
剣や槍を弾く程の硬い鱗。
口からは冒険者を燃やさんとする炎。
それはまさに悪夢…。
ユウキが慌てて駆けつけ、そこで見た光景は…。
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