51 一文なし
早朝…。
「んん…」
眩しい朝日で目を覚ますとそこはベッドの上だった。
まだ眠り足りない…。
そう思い目を瞑ろうとする時。
何か柔らかい感触が手に触れている事に気づいた。
おまけに金縛りにあったのだろうか…体も重い。
いったい何が…? そう思い寝ぼけ眼で布団の中を探る…すると…。
「もう食べられないっすよ先輩…へへへ…」
それはヨダレを垂らし胸の上で幸せそうに寝ているコトミだった。
「んな!?」
ユウキは驚きベッドから抜け出そうと試みるがコトミが抱きつき離れてくれない。
「んぁああ…駄目っすよ先輩、私のデザート食べちゃ…」
コトミを力ずくで離そうとした時、胸と足にじわじわと圧迫感が強くなっていくのを感じた。
「先輩のいじわるぅ…」
「が…か…息が…」
馬鹿力…。
コトミは力強く抱きつきこのままだと圧死するのではないかと思うほどに力を入れてくる…。
まさに死の抱擁……。
謝礼にならない…。
「おい…起きろ…コトミ…死ぬ…」
そう最後の力を振り絞りコトミの背中をタップするとようやく目を擦り起きた。
「ふわぁぁ…おはようございます…せんぱぃ…今日はよく眠れましたか?」
「ああ…永遠に眠る所だった…。
てか、なんでお前がこの部屋に…」
まだ体の上に乗っているコトミを横に倒して退かしベッドから出ようとした時…。
ふと…コトミの首にネックレスがついている事に気づいた。
「先輩?どうしたっすか?
私をじーと見つめて…。
はっ! もしかして私を押し倒そうと!?
来てください先輩!!
先輩となら私…本望っす!
…いたっ!!」
そんな事を話すコトミの額にデコピンをし首につけられたチェーンを指差し聞く。
「それなんだ?
そんなのお前付けてたか?」
理由は分からないが…なぜかコトミがネックレスをつけている事に違和感を感じた。
それほどコトミはこういう普段着を着ているとかなどしら無いのに。
妙に違和感を感じる…。
コトミはユウキの目をじっと見ると首からネックレスを外しチェーンを握ると目の前にぶら下げた。
「私の大切な一番の宝物っす」
先端についているのはキラキラと光る透明で綺麗な宝石が埋め込まれた指輪だ…。
それに引かれ良く見ようとした時…バタン!! と大きな音を立て扉が空き開かれた。
「ああ! やっぱりここにいた!!
コトミさん!ユウキさんの部屋に勝手に入るのは駄目って言ったじゃないですか!」
現れたのはカルブだ。
カルブは少し怒っているようでベッドの近くまで歩いてくると俺に挨拶をしコトミの手を引いて部屋の外へと連れ出していった。
カルブはコトミと同じ部屋に泊まる様にと昨日、鍵を渡したので恐らくはもとの部屋に連れて行ったのだろう。
「一体何だったんだ…?」
これが今朝起きた出来事だ。
…
この宿は昨日の夜に食事をした女王蜂の根城と呼ばれる店の二階。
お腹が空いたので階段を降りると食堂が見え…そこにはもうすでにヘレナ達と勇者アルフレッド以外のメンバーが揃って食事を取っている。
「あっ!先輩!先輩!
早くしないと先輩の分も食べちゃいますよ!!」
そこに加わり食事を終え会計を済ませようとした時…ある事に気づいた…。
金が無い…。
現在この一行のお金を管理しているのは自分…なのに金が無い…。
会計を待つ男はまだかと空のポケットを探る俺を見ている。
はっ!! そうか捕まったときに…。
そう気づいた時…皆は荷物を持ち各々この店から出ようとしている所だった。
「ちょっ…皆待って!!」
呼び止めお金が無い事を説明する。
「お金…以前攫われちゃった時にその…取られちゃったみたいで…。
…ごめん…」
「ユウキ様…そんな謝らないで下さい!」
「そうです!それは取った人が悪いんですから!」
「先輩?…あれぇ〜お金先輩が管理するって言ってたのに無くしちゃったんスカ?」
「盗んだ奴?……いや…盗まれた奴が悪い」
「使えない人間だな…全く、私の食費はこれからどうするつもりだ!?」
少し落ち込んだ状態のユウキ…。
それを見た一行は何故か狼狽え全力でフォローを開始してくれる。
なんていい奴らなんだ…。
二人だけだったけれど…。
「あの…取り敢えず私が払っときますね」
カルブがそう言うと店の中に戻っていく。
どうしよう…。
そう思っているとカルブが戻りヘレナが何か考えるかのように手を顎につけ話し始めた。
「この場はいいとして…お金が無いのは困りましたね…。
これでは教国へ行くのは無理そうです…ここは何処かでお金を貯めないと…」
そう独り言の様にぶつぶつと話した時…。
それを聞き逃さず多くのメンバーがその言葉に反応を示した。
「これは…そういう事だな…」
「確定…ですね!」
「ん?…なんだお前ら…何を話してる!? 私も混ぜろ!!」
全員が王都に行きたい組の面子。
それを見てヘレナは折れうなずいた。
「仕方がないな…教国を後回しにしてまずは王都に向かうしかないか…」
取り敢えずお金が無い為…王都でお金を稼ごう。
そう皆で話し、目的地を決定した。
目的地はアレグリア王国の王都…喜びと誇りの都市。
その名をフィエリテ。
そこにはヘレナも通い卒業を果たした、多くの優秀な騎士を育成し排出して来た名門の騎士学校があり。
そして都市として一番の特徴はなんといっても階級分けされ区画が6階層に別れ、段々とした見た目だろう。
中央にそびえる城は大きくそびえ立ち人々の暮らしをその高所から見守る。
次に貴族、騎士、上流庶民、商店街、下流庶民。
この6階層で分けられており地位の高い者ほど高くに住める仕組。
また、この都市は純白の大理石で作られており美しい事で有名だ。
騎士が護る純白の都市フィエリテ…それは人々を守る盾の役割をも果たす要塞であり、毎日祭りごとがあるかの様に騒ぎ夜も眠らない活気に満ちた都市の名である。
…
ユウキ達が王都に向かったそんな頃…。
「うう…頭が…」
アルフレッドは頭を抑えながら目覚めた。
「一体何が…そう言えば…ヘレナ…いや…ユウキさんは何処へ…」
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