50 女王蜂の根城
コトミがアルフレッドを蹴り飛ばした後。
コトミはユウキの手を変わりに握り笑っていた。
「先輩、大丈夫でしたか?」
「ん? えっと…俺は大丈夫だ…でも今お前が蹴った人は…」
そう言いアルフレッドを見るとよろよろと蹴られた場所を抑え立ち上がる所だった。
「おのれ…不意打ちとは卑怯な真似を…」
アルフレッドは立ち上がり手の平をコトミに向ける。
だが…。
ガサガサガサッ!
「おい、アルフレッド大丈夫か?
村の方の山賊共は全員縛り上げたぞ…」
林から現れたのは戦士のアイザだ。
アイザはアルフレッドとコトミを見るとすぐ様コトミに剣を向けアルフレッドに近づく。
「手を貸してやろうか?」
「いや…私一人で十分だ…っう」
アルフレッドは脇腹を抑え顔を歪める。
「無理をするなアル…今かなりダメージを受けてるだろ…?」
「大丈夫だ…。
少し不意を付かれたまでの事…」
「ん?…なるほど…男か。
通りでお前が無茶をする訳だな」
そうユウキを見てアイザは笑う。
「う…うるさいぞアイザ!」
「それにしてもあいつ何者だ?
お前にこれ程のダメージを与えるなんて…」
「なんすか? まだやるんすか?
いいっすよ…いつでもかかってこいッス!」
コトミがそう言い拳を握り構える。
そんな会話を聞き俺は慌てて飛び掛かろうとしたコトミを羽交い締めにして止めた。
「ちょっ!ちょっと待て!」
「なっ!わわわ…セッ先輩!何するんスカ!?
大胆なプロポーズっすか!?
嬉しいっすけど今は後にしてくださいっす!!」
コトミはそう頬を染め何処か嬉しそうにしながらジタバタと暴れ振りほどこうとする。
そして…そんな事をしている内にヘレナ達もまた…到着した。
「ユウキ様!!
お怪我はありませんか!?」
カルブとヘレナがヤブの中から慌てた表情で現れユウキが…コトミを後ろから抱きしめている姿に驚愕した。
更に驚いているのは二人だけで無くアルフレッドもヘレナを見るや声を上げ驚いていた。
「なっ……また賊が増えたかと思ったがもしかして…。
ヘレナじゃないか!?」
「「へ?」」
………
「いやーごめんっすー。
てっきり先輩を襲ってるのかと思っちゃったんすよねー」
太陽が沈みかけ綺麗な夕日の光が村を照らし窓の外から入る光が机をオレンジ色に照らす…。
コトミはそう悪びれた素振りも見せず俺の隣で謝っている。
今いる村の名はパラダイスハニー。
俺達がもともと旅の中継地として目指していた村だ。
そしてヘレナとアルフレッドは古い間柄だったらしく、なんでも騎士学校なる場所の同期生だったとか…。
そんな事もあり、二人の誤解は溶け今ではこうしてお互いの仲間と合流し食事をしている。
今座っている机は俺の横にヘレナとコトミが座りその対面にはアルフレッドとアイザが。
そして離れた机にシーフとカルブ、アンジュと勇者の仲間であるソフィーとシグレが座っていた。
シーフとシグレは笑いながらこの店名物のロイヤルハニー酒をのみ交わし。
魔法使いのソフィーは子供が好きらしくアンジュを膝の上にちょこんと乗せカルブを隣に座らせるとこれ程の幸せはこの世に無いとばかりに頭を撫でたり抱きしめたりして愛でている様子…。
それに比べ…こっちは…。
ちょっとギスギスとしている様子だった…。
「いやーお互い変わったなー?
今じゃ私は勇者。
そしてあの…騎士学校でも随一の成績を持ってたヘレナ…あんたが王直属の騎士でも無くただの冒険者をやってるなんてね…。
世の中分からないものだ。
なぜ冒険者を選んだ?」
そう今の身の上を語るアルフレッド。
それに対しヘレナは至って冷ややかに落ち着きを見せコップに注がれた水を飲む。
「お前には関係のない事さ…。
それよりアル…お前の話を聞かせてくれ。
卒業した後から勇者になるまでの話を」
そうヘレナは話をアルフレッドに続けさせる。
この会話は俺も少し気になる所があるが…。
今はそれよりもあの騒ぎの内に消えた仮面女性の事が気になって仕方が無かった…。
『ケイオスファミリーが黙ってないぞ!!』
ケイオスファミリー…。
確かに彼女はそう言っていた。
どこか…で…そう確かギルドの受付嬢をやっていた時に…。
ユウキはそう思い出し記憶を手繰っていく。
…
この世界にはギルドと言う組織が存在する。
ギルドは依頼を受注したり発注をできる施設…システムでそれは世界各地に存在し独立している。
そんな複数存在するギルドを共通化し利用しやすくする為に束ね作られたのが今のギルド協会。
そしてそこで働く冒険者や商業…運搬に農業…様々な職業を持つ人達の中でもユニオン【同盟】と呼ばれる組織が存在している。
その中に…確かケイオスファミリーの名があった…。
ダークユニオンと呼ばれる非正規同盟…盗み誘拐、闇取引、殺しなんでもござれ。
その中でも3本の指に入る3大闇同盟の一つだった様な…。
そこまでの考えにたどり着いた時…背中に寒気を感じ体を震わせた。
「…ユウキ様? どうかなさいましたか?」
何も起こらなければいいけど…。
「いや…なんでも…」
…
ユウキが窓の外を眺める中…。
離れた席ではこんな会話が行われていた…。
「なあ、本当にあいつ勇者なのか?
仮面勇者が本物なんじゃ…」
「しー…。
アンジュちゃん、その話はしない方がいいですよ。
アルフレッドお姉さんは今その話に敏感ですから」
ソフィーはそうアンジュの頭を撫で。
アンジュの伸ばす手がロイヤルハニー酒に届くより前に机の端へ追いやった。
「なっ…何をする!」
「駄目ですっ!…お酒は大人になってから!」
その気迫にアンジュは押され致し方なくお酒は諦めた。
だが…それならとアンジュはソフィーの膝から飛び降り彼女の杖を両手でヨロヨロとしながら持ち上げるとニヤリと笑う。
「なら、この杖を貸せ」
「それで何するつもりです?
それはおもちゃじゃありませんよ?」
ソフィーは首を傾げどうするのかとアンジュを見る。
「本物の勇者かどうか確かめる」
「……どうやって…?」
ソフィーはそう聞きながらも少し興味を持ったようでアンジュが何をするのかと観察を始めた。
「なーにちょっと後ろからぽカットやるんだよポカっと」
そう言うとアンジュはよろめきながらも着々と勇者アルフレッドに回り込み…頭に向かって杖を振り下ろした。
「それでなヘレナ聞いてくれ…女王様から直接、剣を受け取ってな…。
そのときに確かに見たんだ、チラッとだったがあの噂で絶世の美男って言われてる王子様をさ…。
後ろ姿だけだったが私の目に狂いは無いあれは噂通りの美っ……」
「スキあり!!!」
ゴン!! ドシャ…
そんな鈍い音を店の中で響き勇者倒れた。
会心の一撃……。
勇者はアンジュの一撃により気絶した。
「なんだ…やっぱ偽物じゃんか」
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