47 旅立ち
ヴェルデスタが消えた王宮、それでもなお戦闘は続いており外ではコトミとヘレナが死にものぐるいで魔族軍の軍勢と戦い。
南の砦と城門ではガルフ率いる本隊と別働隊率いるファングが奮闘していた。
苛烈になっていく戦闘…それはヴェルデスタの思いとは裏腹に加速して行く。
だが…そんな中一つの黒い翼がこの戦場に舞い降りた。
「レイジー『怠惰たれ』」
街に響いたその呪文は驚く程に凄まじい効力を発しこの争いを終結させた。
魔族達は武器を続々と捨てめんどくさいとばかりにその場に寝転び始める。
これを見たハルモニアの人達もまた呪文の影響を受けたのか怒りを沈めガルフとファング、ハルモニア騎士団の指示に従い無抵抗の魔族を拘束していく事となった。
アンジュは王宮を旋回しコトミを見つけるとその前に降り立つ。
「おい、私のご飯はどうした!?
これでは餓死してしまうじゃないか…全く…世話が焼ける人間め」
…
戦いは終戦し王宮内は静寂に包まれていた。
「んん…」
なんだか暖かい、それに頭を撫でられている感覚。
ここは一体…。
ユウキは目を開ける。
するとそこには見知らぬ美しい女性が自分に膝枕をしているところだった。
「誰!?」
カルブだ。
カルブはそんな驚き顔を赤らめるユウキに微笑み頭を撫で続ける。
「僕です…カルブです…。
ユウキさん」
「な!?…一体何が…」
驚くユウキを見てクスクスと口を抑えながらカルブはふとある事を思い出したらしく薔薇の柄が入った髪につけるアクセサリーを取り出す。
「ユウキさん、あの…これ…受け取ってください。
僕からのプレゼントです」
これは…本音を言えばいらない…。
だが…カルブの期待に満ちた目…これを裏切れる程俺の神経は図太くは無かった。
「ありがとうカルブ…大切にするよ…」
髪にきれいな薔薇の柄が入ったヘアアクセサリーが自分の頭に付けられる。
複雑で変な気持ち…。
ありがたいんだけどな…物が…ちょっと…。
…
そうして…この戦いは終わり、ユウキ、ヘレナ、カルブ、シーフ、コトミ、アンジュの6人は数日しばらくの間は街で休息を取り豪華な食事を取り踊り騒ぎぐっすりと眠った。
戦果はこの地域一帯のもと王国領土の奪還、魔王軍の鎮圧と捕獲の成功。
だが…ハルモニア騎士団は今回の目標であった魔王軍幹部ヴェルデスタそしてその副官であるペネトラを終戦後にも幾度と捜索したが見つける事はできなかった…。
そして魔王軍幹部 十二星龍ヴェルデスタを倒したと言う情報は他の3人の幹部も含めて仮面勇者が倒した…と。
新聞や吟遊詩人の歌を通し遠く広くまで、またたく間に広がりそれはやがて全世界にまで広がった。
…
「本当に来ないのか?カルブ…」
天気がよく気持ちのいい晴れた快晴の朝、ガルフがカルブに向かいそう聞いている。
二人は家族、二人共に尻尾と耳がヘタれている事からどうやらこの別れは寂しいものらしい。
「うん、お姉ちゃんごめん。
でも…私が自分で決めた事だから…」
「そうか…」
今のカルブは王宮でみた姿では無く縮みいつも通りの姿をしている。
どうやらそう長くはあの状態を維持し続けられないようだ。
カルブとガルフ二人は抱き締め合い別れを告げた。
「もし、私が力に慣れる事があれば言ってくれ。
ハルモニアの者に伝えれば連絡は届く」
「うん、分かった」
「それと…カルブ…気をつけてな…」
そうカルブに告げ今度はこっちにガルフが歩み寄ってくる。
「皆さん、いろいろと迷惑をおかけするかも知れませんが…。
私の妹をこれからもよろしくお願いします」
そうしてガルフ達と別れ一行は次の街へと旅を始めた。
…
「所で先輩…その頭につけてるのどうしたんすか?」
道行くなかばそうコトミがそう聞いてくる。
「これか?カルブに貰ったんだよ」
頭につけているヘアアクセサリー。
カルブに悪いのでつけるようにしているのだ。
しかし…これには本当に困り果てている。
コトミが事あるごとにイジろうとして来るのも厄介だが…自分的に恥ずかしい。
周りは全く気にしてはおらずそれどころかシーフやヘレナは似合っていると称賛していた。
本当に似合っているのだろうか?
それはそれでショックなのだが…。
まあ、それはそれと置いとき…。
「そういえば…次はどこに行くんだ?」
それにはヘレナが答えてくれる。
この旅、魔王討伐の中心人物でありこの一行のまとめ役。
「はい、今向かっているのは教国ですね…聞いた話によればそこに大きな竜が住んでいるとか…。
きっと魔王に関係ある情報に違いありません」
「教国…?
それより王都の方が近いだろ?
先にそっちに行って情報とか集めた方がいいんじゃないか?」
ヘレナの言葉を聞きシーフがそう提案を出す。
どうやらシーフもまたここらの地理に詳しいらしい。
「なっ…それは…必要ないですね」
そう言いヘレナは目をそらした。
何だかいつものヘレナの反応と違う気がする…。
「王都!?私行ってみたいです」
「教国はやめとけ…それより王都で休みたい疲れた…」
カルブは王都という言葉に反応しアンジュはコトミの背に背負われているくせにそう愚痴を呟く。
これでヘレナは劣勢となる。
ヘレナはそんな状況を変えようとしたのかアンジュを見ている自分に気づくと。
「ユウキ様…疲れているようでしたら私が背負いますよ?
前でも構いませんが」
そう言いお姫様抱っこを考えているのか前に手を伸ばした。
俺も魔力を持っているのに今までと変わらずの筋力で変化は無い。
役職が魔法少女のせいだろうか…。
もっとも、少女でも無ければ女性でも無いのだが。
「いや、まだ大丈夫」
「そうですか…」
しかし…疲れてるのは確か。
「馬にでも乗れたらな…」
「それならこの先に村があります。
そこまで…」
そうヘレナはどうかと両手を差し出しユウキを見た。
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