45 怒り憎しみ糧にして
大きな斧が振るわれカルブを襲う。
しかしその斧は空を切り地面にぶつかって火花を散らす。
カルブはそのスキを見逃さずヴェルデスタに詰め寄ると母が残した形見の剣で傷を与えていく。
ヴェルデスタはそんな戦闘を繰り広げながらも目の前の少女を見て考えを巡らせていた。
憎しみを消し私に挑んできた初めての敵。
なぜ…どうして私に怨み憎しみを向けない?
この者の母と父、そして街や生活を破壊した張本人だと言うのに…。
避け続けていたカルブだがヴェルデスタはこれまでの戦闘経験を活かし追い詰めていく。
徐々に斧の一撃はカルブに近づき最後には…。
ガキン!
剣と斧を交り合わせるまでとなった。
「っっつう」
カルブの顔が焦りに変わる。
自分は両手で斧を受け止めているのに対し相手は片手で斧を振るっている、もし両手で振るわれたなら…。
ガンガンガキン………。
連打、ヴェルデスタは遂にカルブを捉えるとその重く響く一撃一撃が繰り出され小さな体の少女を襲う。
カルブは受け流す事で耐え続けるものの手は痺れ始め腕には激痛が走った。
だが…そんな中…カルブは押され一歩ずつ下がり続けていると足が何かに当たった。
それはユウキの腕…。
これ以上、さがればユウキさんを巻き込み傷つけることになる…。
そう気づいたとき…カルブの胸に熱く燃盛る闘志が灯った。
ヴェルデスタの攻撃と攻撃の空白を利用し反撃に転じる。
そして…。
バキン!!
金属がぶつかる音が大きく響きヴェルデスタの攻撃を止めた。
カルブはそれに終わらず攻撃を今度は逆にカルブが一歩また一歩と踏み出しヴェルデスタをユウキから遠ざけ攻勢に回る。
カルブの剣が攻撃を仕掛けそれをヴェルデスタの斧が防ぐ。
そんなカルブの攻撃を防ぎ続けるヴェルデスタは徐々に焦り冷や汗を流した。
カルブ…彼女が徐々に化け始めている。
ヴェルデスタの受け止める一撃が重く今では先程とは逆転しカルブの攻撃を両手で受け止めなければ辛いものとなっていく。
まだ…成長するのか…。
守りたいと想う気持ち…そう思うだけでこれ程までに強くなるとは…。
ヴェルデスタとカルブ、その斬り合いが数度続いた時、ヴェルデスタが動いた。
ヴェルデスタはカルブに一撃を加え距離を離すと斧を置き。
外の景色をちらりと見た。
燃える街、人の喧騒、煙と血の匂い。
「闘争の匂い…」
ヴェルデスタはカルブと戦う最中、街が戦火に飲まれ戦場になった事をその肌身に感じ、把握していた。
今やこの街は憎しみや怒りが渦巻いている…。
「子狼…最後に聞いてやる。
お前は私を殺し復讐を成し遂げたいと思わないのか?」
その問にカルブは攻撃の手を止め自らの剣を見やる。
そしてヴェルデスタを迷い無きその眼で見た。
「復讐はしないよ…。
例え貴方に復讐しても、もう父さんや母さんは帰って来ない。
それは…ただ…虚しいだけだ…。
だから…私はこの力を今いる。
まだ守る事の出来る人の為に使うと決めた!!
前に進むって…そう心に決めたから…」
それを聞き不思議とヴェルデスタは満足げに頷きそれどころか今殺し合いをしている間柄とは思えぬ程に落ち着き微笑んで見せた。
「そうか…なら、私をその力で越えてみろ」
ヴェルデスタはそう言い終わると同時に黒い霧をその体に纏わせ取り込み苦しみ始めた。
ヴェルデスタが誇る最強にして最悪の魔法。
「ヘイト『増悪』」
そう唱えた瞬間、街中至る所より生じた黒い霧の様な何かをヴェルデスタが中心となり集め己の体に取り込む。
黒い霧が集まり消えた時…そこには
赤目で瘴気を放つ黒い牛の獣人がカルブを睨みつけていた。
一瞬にして膨れ上がる恐怖、カルブは自分の中にそれを感じ剣を構える。
黒牛、ヴェルデスタは斧を再び持つと消えた。
カルブの目には確かにそう見えた…だが…それは違った…。
次の瞬間体に衝撃が走り浮遊感と痛み、そして疾走感を覚え一瞬にして壁が近づき衝突する。
バキバキ……。
木が折れる音が聞こえ壁にめり込んでいる事を知った。
ブルルルルル…
「がぁ…」
カルブは全身に痛みを感じながらも下を向く、そこにはヴェルデスタがおり横腹からはその角が刺さったらしく血が滲み出していた。
目に見えぬ程の速さでの突進。
明らかに先程の力とは比べ物にならない程に強い…。
そして…ヴェルデスタは突進が止まると壁から頭を抜き頭を振るう事で角に刺さったカルブを振り落とした。
地面にぶつかり倒れる。
カルブはすぐさま立ち上がろうとするが全身に強烈な痛みが走り力が入らない。
動こうとすると角に刺された傷口から血が溢れている様な気がする。
だが…よく見るとどうやら刺さった方の角はユウキが魔法で消した方の物だったらしく傷は意外と浅い事に気づいた。
まだ…戦える…。
カルブは拒絶する自らの体に鞭を打ち立ち上がる。
服はボロボロ、体も同じ…。
もう駄目かもしれない…。
もう負けないってそう決めたのに…。
そう思い悔し涙をこらえ体をチラリと見るとポケットが破れ中からカードが落ちそうになっている事に気づく。
それを取り見るとそれはスキルカードで有ることに気づきそしてカルブはその内容に驚きそして…笑った。
まだ…私は護れる…
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