38 結婚式当日
結婚式当日の朝、街は日が昇るに連れ賑やかさがまし 最終的には街中に祝の花火が打ち上がる程となった。
そんな街中を駆け抜ける二人の影。
ヘレナとシーフである。
二人は人混みを避け街の裏道をひたすらに隠れながらすばやく移動していた。
「おい…あの作戦本気でやんのかよ?」
シーフがどこか不安そうに、嫌そうにしながらヘレナを見据え呟く。
それに対しヘレナはシーフを見ることも無くあたりを警戒している。
「ああ、本気だ。
一夜で考えた単純な思い付だが…今はこれしかない。
いざというときの為にガルフ殿のレジスタンス部隊である獣騎士が戦う準備をしているとはいえ、正直ヴェルデスタがいる限り混戦は避けるべきだ。
ヴェルデスタ…さすがは魔王軍幹部と言った所か…」
…
この祭りごとには この街に住む奴隷住民達もまた参加しており大きな道を馬が引く戦車に乗り、進むヴェルデスタとその花婿ではあるユウキを全員で祝福の言葉を浴びせている。
「勘弁してくれ…」
ユウキはこっそりと戦車の中から外の様子を覗きそう愚痴をため息と共に呟く。
もちろん、ヴェルデスタには聞こえないように。
現在のユウキの姿は旗袍いわばチャイナドレス、を着せられ更には化粧も念入りに施された姿だ。
その姿は美姫と呼ぶにふさわしいらしく多くの女性達の視線を釘付けにさせた。
「やはり、お前は美しい」
外を小窓より覗き込むユウキを引き近くに寄せて腕を回すとヴェルデスタは酒を頬張る。
冗談じゃない…。
そう思いながらも逆らえずユウキは酒を注ぎ作り笑顔に徹した。
そのヴェルデスタが乗る屋根付きの戦車には護衛として道の一定感覚に兵が、そしてその周りには屋根のない戦車が前後に二台ずつで計4台。
その前と後ろには歩兵が数十人が足並みを揃え綺麗に行軍している。
それを目視した時、人々の歓声が渦めく中、ヘレナは剣を握りしめるとより一層に決意を硬く持つ。
この剣に彼を主と決め護ると誓った。
失敗は許されない。
一方でシーフは屋根に登り敵兵の数、それに武装。
それを目視し舌打ちする。
シーフが得意なのはあくまで盗みであって戦いでは無い。
ましてこんな明るく逃げ場も少ない大通りで戦うなんて事はできればしたくは無い…したくはないのだが、ヘレナに連れられここまで来てしまった。
「たく…あんの騎士、無茶苦茶言いやがって。
もし無事に事がすんだ時は何か盗んでやる」
…
ヴェルデスタが乗る戦車隊は街を一周し中華風に作られた城に向かい戦車を動かす。
そんな戦車の中でペネトラは剣を所持し目を閉じいつ敵が来ても問題がないよう警戒している。
そしてそんな彼女であったが城が近づいた時、目を開け口を開いた。
「ヴェルデスタ様…少し、聞きたいことがございます」
「なんだ?」
ヴェルデスタはユウキの頭を一撫でするとペネトラを見据える。
ペネトラは恐れながら…と頭を下げると少し目をそらし外に登る黒い一本の煙を見ながら話し始めた。
「ヴェルデスタ様、最近変わられました…」
ヴェルデスタはそれを聞きながらも黙って同じく外を見上げる。
「その…なんといいますか…。
あの奴らと対峙して以来、少し和やかになられた…と思うのです。
あの戦いに何を見られました?」
「ふっ和やか…か」
ヴェルデスタはそれを聞き笑った。
「確かに…あの戦いの最中不思議な物を見たが…そうか…」
ヴェルデスタは目を酒の注がれた赤い大盃に落とし、戦車の振動で波打つ様子を眺める。
「だからですか?
今日、こんな無防備な日を作った事も…その男も…」
「ふん…さあな、そんな事より…
昔からの知り合いも、もうお前だけとなったな。
ホープの奴もこの世をさり、他にも多くの友を犠牲にした。
そんな中、果たして…今の我らはかつて語り合った夢を叶えるために進めているのだろうか…」
「ヴェルデスタ様…一体なんのお話を…」
ペネトラがそう聞こうとした時。
急報がヴェルデスタの乗る戦車に届けられた。
「急報!! 今現在、この都の周囲におよそ数万の軍勢ありとの報告です!!
旗はおそらくですが…近年勢力を広げている反魔王勢力、ハルモニアの物とおもわれ 目的は、ここかと…」
「なっ!?」
ペネトラは一瞬、同様を見せたが落ち着き酒を呷るヴェルデスタを見て落ち着きをすぐに取り戻し外へと向かう。
「すぐさま兵を壁に回せ!
この都はヴェルデスタ様の居城であり不落の城でもある。
そう、やすやすと落とせはしない!
ハルモニア…遂に来たか…」
ハルモニア…計6つの師団で構成された王国や帝国また教国とも異なる勢力。
辺境の土地、魔国その国に新たな魔王が誕生し領土を拡大し初めたここ数十年。
そのあまりにも激しい進撃に多くの大小様々な国々が消えた。
それに対し国では無く民間で集い
人間、獣人、エルフ、ドワーフ、パルム この5種族で構成された組織。
彼らに国境は無く魔王軍が駐屯、または進軍する地に現れては大きな戦果を出していると聞く。
その旗には 5種族が円を組み中央で手を合わせている姿が刺繍されていた。
…
ヘレナとシーフ。
二人はその瞬間を狙っていた。
城や道を守る兵が消え、ユウキを乗せた戦車隊が無事に目的地の城に到着し戦車から兵達が降りる…そして。
最後にヴェルデスタ、ユウキが降りるその瞬間を。
レジスタンスの人と共にカルブ達を助けた際に使用した特製の煙玉。
それの残りを全て使いシーフは屋根の上から投げた。
煙玉は曲線を描きユウキ達のいる広場へと落ちていく…。
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