33 絶望と希望の狭間
コトミ、ヘレナ、シーフが駆けつけヴェルデスタとの戦闘は優勢となった。
そんな戦況を見てヴェルデスタは苦虫を潰した様な顔を見せる。
部下が倒れていく中、自分は目の前の敵に手を焼かされ、援護に回れない。
コトミの攻撃は強力かつ無慈悲に次々と繰り出されてくる。
正直、限界が近い。
なんとか、復讐心を煽らねば。
勝機は無い…。
激しい拳と斧の攻防を行ないながらチラチと女騎士を見るとある事に気づいた。
あいつは復讐心を持っている…。
怒涛の剣戟を浴びせユウキを背に守るヘレナはコトミとヴェルデスタの戦闘には手を出さず、周りの有象無象を相手どっていた。
だが、そうやって戦い続けていると一人…異様な気を放つ女が兵を下がらせ前に出る。
「下がれ、貴様らでは無駄死にするだけだ…」
ユニコーンの獣人、が悠々と近づきスルリと頭を下げて見せた。
「貴方の剣技、見事なものです。
代々受け継がれる究極の剣と名高いウルティム家、一子相伝の技。
それを見て察するに……。
貴方はヘレナ・ウルティムさんですね?」
そう問い、笑う。
「おっと…これは失礼を。
私はペネトラ、ヴェルデスタ様の右腕…と言えば伝わるでしょうか?」
「なぜ? この剣技の事を知っている?」
ヘレナは少し嫌そうな顔をしていたが、それを言い終えたと同時に剣を構え走り出した。
相手に近づき懐に容易く入ると剣を横に薙ぐ。
答えはすぐに現れた。
相手も同じ剣技を扱い防いだ。
この技術は一家以外の者は知らないはず…。
つまりそれが指すところ…。
ヘレナがそう思考しているのを見抜いたのかペネトラはため息をつく。
「あ…バレちゃいました?
はい、貴方の思うとおりです。
私は剣をある方に教えて貰いました」
ヘレナはポツリと一人の名を呟く。
「イラ…」
ペネトラはその言葉を聞き再び笑って見せる。
「はい、イラ様には大変お世話になりました。
それと、もし貴方にあったらと伝言がございます。
ヘレナ…お前を待つ…。
だそうです」
一通りまた離し終えるとペネトラは笑みをスッと消しヘレナを見る。
「では…死んで下さい」
…
カルブは、ガルフを守りつつシーフの援護に出た。
まだ、ユウキを保護できていない。
ヘレナが守っているとは言え戦いのど真ん中に寝転がっていて無事で済むはずが無かった。
カルブは混乱の中を斬り開きユウキの姿を何度も確認し、チャンスを伺う。
しかし、その前にコトミの猛攻を掻い潜りヴェルデスタが動いた。
戦闘を放棄しユウキが倒れている場所まで向かう。
その行動には4人全員が反応した。
近くでは、妨害しようと拳を振り上げ背中を狙うコトミ。
セシルも向かおうと試みたがペネトラとの戦闘により足止めされた。
「どけぇ!!」
ペネトラは急いで決着をつけようとするヘレナを見ながら、余裕を持ち、冷静に事の成り行きを見守る。
…
ヴェルデスタは走りそのままユウキの身体を持ち上げるとコトミの目の前で斧で頬に傷をつけた。
ヴェルデスタに躊躇は無い、その効果は十分に発揮する。
「っう、先輩!! お前!!」
「くっユウキ様!!」
まずそれを目撃したコトミ、ヘレナにヴェルデスタの能力により力を奪われた。
コトミは飛びかかる途中、片腕で防がれ。
ヘレナはペネトラとの戦いの中、その場で崩れ落ちた。
「ふふふ、これ程の力は私も初めてだ」
「あれ…なんで…力が…」
ヴェルデスタはユウキを片腕に抱えた状態でコトミの拳を掴む。
まるで人形にでもなったかのようにぶら下がるコトミの手を離すと足で蹴り飛ばす。
「がはっ!!」
ヴェルデスタの力は先程の物とは比べ物にならずコトミはゴロゴロと地面に叩きつけられ転がると動かなくなった。
「っう、あああああ!!」
ヘレナの方を見るとペネトラが笑い、ヘレナの肩に剣を突き刺し持ち上げている所だ。
「ペネトラ!
それぐらいにしろ。
子狼を仕留めた後で私が殺す。
全兵を引かせろ、もう十分だ」
「承知しました」
ペネトラは剣を引き抜きヘレナを蹴り倒すと全兵を引かせた。
その結果、カルブとシーフがヴェルデスタの前に対峙する形となる。
ヴェルデスタは一人、それもユウキを抱えているため片手で斧を拾い構えた。
「すまなかったな、子狼。
邪魔者はまだ残っているが…」
そう言いヴェルデスタはシーフを見て微笑する。
「まあいいだろう、纏めてで構わん」
ヴェルデスタから放たれる闘気は凄まじく、シーフの心を揺らした。
「まずいな、カルブ逃げるぞ」
カルブはそれを聞きながらも一歩も引かずヴェルデスタを見据える。
「おい!聞いてるのか!?」
「シーフさん、お姉ちゃんを逃してください。
私はコトミさんとヘレナさん。
そしてユウキさんを助けます」
「馬鹿か!無駄死にだ!
お前だって分かるだろ、勝ち目は無
い。
そもそも魔王軍と戦うのが間違いだったんだよ!!」
しかしカルブはそれでも首を縦に振らず頑なに剣を手に戦う意思を見せつけた。
「これは、私が招いた事。
私がけじめをつける。
それに…もう後悔はしたくないから…。
いいから、急いで行ってください!!」
「ちっ、どうなっても知らねぇぞ!」
シーフはガルフの肩を持つとすぐさまその場を走り、離れていった。
カルブは一人ヴェルデスタを見据える。
私が、護るんだ…
混濁とする意識の中ガルフはカルブの小さな背を見てそこに母の背を見た。
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