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男女逆転から始まる異世界冒険譚  作者: ペンちゃん
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浮上

 カルブは今日も屋敷を見て回る。

 どこか穴が無いか、侵入できる場所は無いかと探しているのだ。

 

 「うわー、何これ?

 耳っすか?

 可愛いっすね」 

 「ふわっ!! 何するんですか!?

 頭を撫でるなんて!?」

 

 カルブは怒り、振り返った。

 するとそこには見知らぬ女性がニコニコとこちらを見て笑っている。

 その時…ピクリとカルブの鼻が反応しスンスンと匂いを嗅いだ。

 かすかに…ほんのかすかにだが、ユウキさんの匂いがついている。

 

 「あなたは…ユウキさんを知っていますか?」

 

 カルブはきっとここの騎士だろうと思い睨んで言った。

 

 「ユウキ…あー、先輩すか?

 いやー、何でもない関係なんすけどね…。

 しいて言うなら…将来結婚を前提に付き合ってる私の彼氏っす」

 

 カルブはそれを聞き口を大きく開け目を白目に、まるで雷が落ちたかのように絶句した。

 

 …

 

 屋敷の中、ヘレナは親友のはずだったアミラを見て話し違和感を覚えていた。

 確かに外観はアミラだが、中身が全くの別人だ。

 

 「誰だ、貴様はと聞いている」

 

 そこで少し、鎌をかけてみる事にした。

 

 「なんだ!? 忘れたのか?

 お前の姉を…」

 

 そう言うと少しではあるが動揺が見えた。

 

 「わ…私に姉などおらん…」

 

 そのまま、続けて様子を見る事にする。

 

 「なに? 貴様…誰だ?

 腹違いの姉の事も忘れたのか」

 「腹違い………」

 

 しばらく黙り込むと命令した。

 

 「もう、話は終わりだ出ていってもらえ…」

 「はい!! アミラ様!」

 

 そう言われてユウキが動いた。

 名残り惜しそうにアミラから目を離しメイド姿のユウキは歩いて通り過ぎ扉を開けた。

 

 「どうぞ お帰り下さい」

 「そうか…いいだろ。

 腹違いの姉は家族では無いと言うことか」

 

 うまいこと話をつけ、切り上げる。

 どういう事かこのアミラは本当に違うらしい。

 扉を閉めユウキがついてくる。

 どうやら最後まで見送って行ったかどうか確かめるつもりだろう。

 だが…好都合。

 ヘレナは誰もいない場所に出るとすぐさまユウキを手刀で一撃を入れて沈めた。

 

 「許せ…」

 「むがっ」

 

 ユウキを気絶させるとヘレナは誰もいない部屋に行きユウキを寝かせる。

 

 「多少…私も魔術の心得はある。

 今目を覚まさせてやる」

 

 ヘレナは息を吐き吸うと力強く言った。

 

 「エヴェイユ『覚醒せよ』」

 

 …

 

 ヘレナは気づくと異界にいた。

 そこはおかしな場所で、男女が逆転しているかのように服が…振る舞いが異なっている。

 

 『ここは?』

 

 とある教室の中…ユウキはいた。

 子供の頃のユウキ…。

 これ程騒がしいのに一人、机に耳を押さえて下を向いている。

 その隣には、赤髪の少女。

 幼き頃のアミラの姿だとすぐに気づいた。

 少女はこちらに気づきヘレナを睨みつけてくる。

 

 『出ていけ!!』

 

 しかしヘレナは何とも無い様子で近づき剣を振るう。

 

 『邪魔だ…』

 

 剣の切っ先を向けると少女はまるで霧のように霧散し消えた。

 どれだけ強い魔法をかけたのかは知らないが、今直接入っているこちらに分がある。

 

 『ユウキ…起きろ…』

 

 しかし、ユウキは耳を塞いで外界に触れないようにしているようだった。

 ヘレナは微笑みユウキの手を取る。

 

 『聞こえるか?

 私が分かるか?』

 『やめろ!!』

 

 ヘレナの手を振りほどきユウキが叫んだ。

 ユウキは胸を押さえ…泣いていた。

 

 『僕に関わらないで!

 一人にして…』

 『それは…ユウキ…貴方が望む本当の意思か?

 私は…貴方の事をあまり知らない。

 だが、街の皆に聞いた。

 ユウキ…貴方は強い心を持った男性だ。

 たった一人でお金も無くし、眠る場所も無くし…それでも街中を歩き回り仕事を探して断られても探し続けて……時にはプライドも捨ててでも必死に生き抜いた。

 私にはできそうも無い、凄い事だ』

 

 ヘレナは目を見つめ話を続ける。

 

 『そう、卑屈になるな。

 世界はこんな狭い部屋には収まりきら無い。

 世界を見ろ。

 少なくとも私はお前を受け入れてやれるぞ』

 

 ヘレナがそう言い笑顔で手を差し伸べる。

 ユウキは震えながらも…恐れ怯えながらも立ち上がりヘレナの手を掴んだ。

 その世界はまるで早送りされているかの様に動き出しユウキも消えた。

 

 『ヘレナさん…ありがとう』

 

 救いの手なんてものは無かった…。

 死ぬのも怖い…。

 コイツラの為に…死ぬのも…馬鹿馬鹿しい…。

 どうせ人は死ぬ 遅いか早いかだけだ。

 

 どうせ死ぬのだから最後まで地べたを這いずり必死にもがいて生きるか?

 

 ユウキはその考えの末。

 全力で生き 地べたに這いずり泥水を啜ってでも生きようともがき。

 どうしようも無く手の打ちようがなくなるまで全力を出し死ぬ事に決めた。

 なんでも利用できるものは利用する。

 

 答えは苦しみの中、得た。


 少しの幸せ 小さな幸せ

 それに気づき かき集め明日へと繋いでいく

 

 これが正しいのかは分からない。

 答えを知らない。


 だが…今こうして僕は立ち生きている。


 ユウキは大人になった姿でヘレナの隣に立ち成り行きを過去をまるで他人事かのように傍観していた。


 『全く、嫌な物を見せてくれる…』

 『ようやく、気づきましたか?

 ユウキ』

 

 目の前で成長していく自分を見ながらユウキは頷く。

 頭の中で昔の思考が堰を切ったかのようになだれ込みバラバラに入ってくる。

 

 虐めは大人の世界でも普通にあるのだから…。

 

 いじめとは 食欲や睡眠欲、性欲と同じものかもしれない


 昔から続いている。

 集団 が少数を叩く構図。


 人だけではない…群れをなす生物は同じ様な行動を起こす。


 これはいじめが 集団に取ってプラスになるからでは無いだろうか。

 少数を切り捨て叩きその代わりに団結、協調を作り出す。

 

 群れをなす生命が作り出した戦略なのではないだろうか。


 いじめる側が悪い訳ではない。

 状況が違えばいじめられた側もいじめる側になっていた可能性は否定できず。

 

 そして、今の親 いじめられた経験があって今、自分の人格が構築されている。

 虐めを受けたことにより痛みを知り

辛さを知り。

 

 他者を思う心を持つ事ができる。

 

 今思えば あの時の地獄も感謝すべきなのかも知れないと思う自分もどこかにいる。

 少なくとも彼らのようになる事は無いだろう。

 

 つい無意識に誰かを傷つけ 自らが酔いしれてしまう行為…。

 

 出来る事ならば…このままこの思いが薄れず。

 それに気づけるようになり…続けばいいのだが…。

 しかし…それはとても難しすぎる事だ…。

 

 世界は都合よく変わりはしない。自分で変えるか自分が変わるしかない…。


 幸せになったもん勝ちだ…。

 

 …

 

 今まで考えて来た合ってるかどうかも分からないバラバラの思考が組み合わさり。

 ユウキの意識が形作られ…浮上していく。

 目の前の現実へと…。

【ブックマーク】や【評価】をしていただけると幸いです。


 少しでも面白い、続きが見たい!と思ってくださいましたら。

  

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