再就職先?
「おかえりなさいませご主人様!!」
ユウキはこの街一番大きな館で働いていた。
城の様な外観の場所だ。
街の中心に立つそれは丘上にあり崖に囲まれている。
湧き水が泉と滝を作り出す。
行っているメイドの仕事は様々 掃除、洗濯などの家事全般。
そして中には秘書などと言った変わった仕事もある。
ユウキは見習い、奴隷の首輪をつけメイド服姿で他のメイド達と一緒に並ばされていた。
「声が小さい!!」
「お帰りなさいませ!ご主人様!!」
そして今見習いの訓練を受けている。
「ちょっと貴方…確か新入りのユウキさんね。
スカート…なぜミニスカートを履いていないの?」
「はい!! 嫌いだからであります軍曹!!」
「誰が軍曹ですか!? ペナルティにしますよ!?」
まったく…冗談も通じないオネエだ。
顔は青髭つけて冗談そのものなのに。
「いいですか!? ユウキさん。
あなたは明日からアミラ様のお付きに選ばれたんですからしっかりなさい!!」
メイドの指導官の男は再びメイド達の前を歩いて叫ぶ。
「今度は可愛らしく言いなさい!」
「お帰りなさいませ…ご主人様…」
…
あー、しんどい。
精神をすり減らされる訓練だった。
ユウキは仕事へと取り掛かる。
この馬鹿広い廊下のモップ掛けだ。
ゆっくりと綺麗にそして綺麗な所作で…習ったとおりに拭き続ける。
走ってやった方が早いと思うけどな…
ユウキはそう思いながら仕事をこなしていく。
廊下を拭き終わる頃、同僚のメイドが手で招き自分を見ている事に気づいた。
「なんでしょうか?」
「ユウキちゃん、お願いがあるの。
これ…地下牢の囚人に届けろって言われてるんだけど…代わりにやってくれない?
暗い所は怖くて…」
ユウキはまだ拭き残された廊下を見て閃いた。
「いいよ。
代わりにこれやっといてね」
ユウキはそう言うとトレーに載った食べ物を取るとモップを押し付けた。
こっちの方が圧倒的に楽だ。
地下牢の場所は知らないが他のメイドに聞けばいいだけの話。
ユウキは場所を聞くとその場に行きトコトコと下へ下へと降りていった。
地下だからだろうか? 急に冷え込んで来た。
徐々に進むに連れ明かりは減り手元にあるロウソクの火だけが頼りだ。
ロウソクの明かりは弱々しくも足元を照らしてくれている。
あれ…これ、ミスったかも…。
怖い…。
あまりの暗さにユウキは恐怖を感じた。
よくこの暗さの中で生きていられる物だ。
ここにいる囚人とやらはすごい。
一人分の食事。
しかし一番下に降りると沢山の牢屋が並んでいた。
いったいどこの牢屋に?
ユウキが一つ一つ調べていると一番奥の特殊な牢屋を見つけた。
下に差し出し口があり空の食器が無造作に置かれている。
ここだ…とユウキは思い空の食器を取り食べ物が載ったトレーを地面に置くと、足にガバッと電流が走った。
手だ!! 手がユウキの足を掴んでいる。
「い……い……いやああああああああああああああああああ!!」
ユウキは逃げようとしたが、手が放してくれない。
「ま……て……ま…て」
「ひいぃ」
ユウキは恐怖で気を失いそうになるのをこらえ足を掴んでいる手の指一本一本をこじ開け離した。
「このっ!…このっ!…放せ!」
「話しを…聞いてくれ…」
牢屋の中から声が聞こえる。
どうやら、お化けでは無いらしい。
話を聞こうとしたが、ユウキの叫び声を聞いたメイドが数人降りてきたらしく明かりが階段を照らした。
牢屋の中にいる女性と思われるしわがれた声は急いでユウキに言った。
「あいつはっ!!偽物だっ!私が…」
「ちょっと、大丈夫!?
悲鳴が聞こえたけど?」
あの、メイド教官だった。
「いっいえ、少し足の小指をぶつけてしまったもので」
ユウキは空の食器を持ち教官に続いて地下牢を出た。
少し、あの牢屋にいた人物の言葉は気になるが、もう戻りたくはない。
屋敷に出て廊下に戻るとユウキは絶句した。
掃除したはずの廊下が逆に水が撒かれ汚されていたのだ。
「あの子…アミラ様に好かれたらしいわよ…」
「まあ…どうせ可愛子ぶってるんでしょ…」
「これから、あの子とは話をしちゃだめよ?」
メイド仲間からの虐め。
ユウキにとっては知るか!! と言いたいところではあったのだが。
ご主人様のお気に入り、と言うきっかけでユウキはこの日、孤立し虐めの対象になった。
…
ユウキが気を取り直して掃除をしているとコンコンっと音がした。
ふと振り向くとカルブが柵越しでユウキを見ている。
カルブは包帯をグルグルに巻いており怪我をしているようだった。
ユウキはモップを投げ捨て庭に出るとカルブの手に触れようと手を伸ばす。
しかしその手は見えない壁に阻まれた。
魔法壁…屋敷一帯を取り囲み侵入や奴隷が逃げられ無いように張られている。
ユウキとカルブはそれでも手を伸ばし手のひらをガラス越しの様に合わせた。
「カルブ…もう諦めてここから離れて。
もしまた見つかったら何されるか…」
その言葉をカルブが遮った。
「ユウキさん…きっと僕が…絶対にユウキさんを助けますから。
そう…そう僕が決めました。
それと………ユウキさん。
一つお願いがあるんです。
ユウキさんのこと…。
勝手に大好きになっても、いいですか?」
ガルブはそう言いユウキを見て微笑んだ。
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