パーティーへの準備(後)
「エスコートはエディ様よ。でも、ステフを連れて行くことになったから、迎えに来られなくなったのよ。」
キャサリンはお茶を一口飲むと、話し始めた。
「この日は、なんとか流星群が見えるそうなの。でね、ステフはその流星群を観察したいって言うのよ。」
「ほら、星の落ちた先に精霊の住む村があるって言うじゃない? だから、星がどこに流れるかを調べたいんですって。」
キャサリンはお茶を飲み飲み、淡々と説明を続ける。
「先週の、え〜っと、なんだったかしら??? なんとかって流星群が雨で見えなかったから、次はどうにかしたいって考えているみたい。」
「あぁ、、、なんとなく状況は分かったわ。妹がパーティーを欠席しないように、兄であるエドワード様がステファニーを学校まで連れてくることになったのね。」
ダイアナはエドワードの大変さ思うと苦笑がこぼれた。「エドワード様も大仕事ね。」
パーティーを欠席したらフレデリック殿下にもご迷惑をおかけするし、いくらステファニーでも出席するしかないと思うのだが、、、とここまで考えたダイアナは、1つ疑問が浮かんだ。
「ステファニーが殿下を嫌っているという事は、ないわよね?」
「それはないわよ。ステフだって、それなりに良く思っているはずよ。精霊へ憧れと天秤にかけて迷うぐらいは、殿下をお慕いしているわ。」
キャサリンはやはり淡々と話すが、ダイアナにとっては、婚約者とのパーティーの出欠を迷うなんて事そのものが仰天ものだ。
まだ納得のいかないダイアナだったが、侯爵夫人とデザイナーとの議論が決着を見たようで、試着会はお開きとなった。来月に、仮縫いが終わったドレスと新調したイヤリングと母の首飾りとを合わせてから、髪飾りをどうするか再検討することになり、ダイアナは母に隠れてうんざりしたため息をつくのだった。