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王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第一章 アスター侯爵令嬢 ダイアナ
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パーティーへの準備(前)

ダイアナは3年生になっていた。4月にキャサリンも入学したので、姉妹で登下校している。

この2年間は、大きな事が起こることもなく平穏に過ぎた。ウッドウィル伯爵家のブリジットとはとても仲良くなり、頻繁にお互いの邸を行き来している。唯一の事件は、ステファニーが第3王子のフレデリックと婚約が決まり、彼女がアスター邸を訪れる機会が減ったことくらいだ。


今は、7月に行われる学園パーティーで着るドレスの試着中だ。

高等学校では4月から7月までは前期授業が行われる。8月と9月は夏季休暇で、10月から始まる後期は、2週間の年末年始休暇をはさんで2月半ばごろに終わる。その後は春季休暇で、4月に次の学年が始まる。


学園パーティーは、前期の最終日である7月末日に高等学校の講堂で行われる。学校で行われるので参加者は生徒のみだが、貴族社会で開かれる舞踏会に準じた形式で行われ、また、全学年が参加する唯一のイベントであるため、ドレスや宝石を新しくあつらえる事も多い。


特にダイアナの準備は念入り行う。ダイアナはギルバート王子の婚約者なので、彼のエスコートで入場し、ファーストダンスまで踊らなければならない。王子の婚約者として恥ずかしくない格好で、かつ学生として良識ある範囲で着飾るという絶妙なバランスが必要だ。特に今年は最終学年、卒業後の社交界入りを見据えた準備になる。

3着目のドレスを試着しているダイアナの横で、候爵夫人とデザイナーの熱い議論が繰り広げられている。


最初に着たドレスにしようと結論がでたところで、お茶休憩をすることになった。

お茶を飲みながらも、2人の議論は収まらない。テーマは、アクセサリーを新調するかリメイクするか、だ。


「ねえ、お姉様。」母たちの議論を横目に、キャサリンがダイアナに話しかけてきた。ちなみにキャサリンは、ドレスの試着は1着だけ、アクセサリーも家にある物を使うと早々に結論が出ていた。

「お姉様は、パーティーの日は学校まで普通に行って、向こうの控え室で殿下をお待ちするよのね? 私も一緒に行っても構わないかしら?」

「もちろん、構わないけど。あなたはエドワード様にエスコートされるのじゃないの?」


学園パーティーは舞踏会と同じ形式ということで、男女ペアで入場する者が多い。男性がエスコート相手の女性の邸へ迎えに行き、責任を持って帰りも邸まで送る。婚約者が生徒でない者やそもそも婚約していない者も多いので、その場合は今回限りのパートナーを探したり1人で参加したりする。


ダイアナはギルバートの婚約者であるが、王族が迎えに行くのは警備の都合上難しいのか、ダイアナは学校の控え室でギルバート王子を待つことになっている。去年も一昨年もそうだったし、王弟殿下の時も同じだったと聞いた。


キャサリンには婚約者はいない。アスター侯爵の子どもはダイアナとキャサリンの2人のみ。ダイアナは王家に(とつ)ぐので、キャサリンが婿を迎えて侯爵家を継ぐことになる。婚約の話はいくつか来ているようだが、キャサリンが成人するまでは本人の好きにさせたいと侯爵が考えているようで、まだ婚約は結ばれていない。


そんなわけで、パートナーが必要な集まりに出席する時は、ステファニーの兄であるエドワードにエスコートを頼んでいるようだ。エドワードなら、幼馴染みだからという言い訳もでき、後腐れ(あとくされ)がない。


だから、キャサリンは今回もエドワードにパートナーをお願いしたと思ったのだが、違うのだろうか?






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