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王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第三章 アスター侯爵令嬢 キャサリン
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特技2(後)

フレデリック王子が窓から外を覗くと、こちらに向かって走って来るキャサリンの姿を見つけた。

勢いよく窓を開け「キャサリン、こっちだ!」と大きな声で呼ぶ。

キャサリンはフレデリック王子の声に気がついて、窓のそばへやって来た。


キャサリンは窓まで来ると、窓枠に手をついて、えいっと体を持ち上げた。

フレデリック王子はキャサリンが窓から入る気満々なことに驚き、急いでキャサリンの体を支える。そして、そのままキャサリンを中へと引き入れた。


「殿下、お手をお貸しくださり、ありがとうございます。」

キャサリンが優雅にお礼を言う。フレデリック王子は驚きのあまり、手をキャサリンの身体に回したままだ。周りにいる王族の面々も、キャサリンの全く淑女とは言えない行動に、みんな目を丸くしている。


「お姉さん、速いね。」

素直な子供の声に、大人たちが我に帰る。フレデリック王子は、ニッコリと微笑んで「ありがとう」とお礼を言っているキャサリンの身体から手を離し、キャサリンを問い詰めた。

「一体、何があったんだ?」


「控え室で殿下をお待ちしていたのですが、どなたからも連絡がないし、急いでこちらへと来ました。」

キャサリンの口調は、のんびりとしていて、何事でもないような感じだ。

「なんで外を走っていた?」

一方、フレデリック王子の口調は詰問しているように、鋭い。


「扉が閉まっていまして、回り道をしたら間に合わないと思いましたから。このドレスは動きやすく軽かったので、思い切り走れました。あと、全体的にスラリとしているので、窓も簡単に通れて良かったです。」


フレデリック王子はキャサリンの言葉を聞いて、以前ステファニーに「ドレスで全力疾走する人はいない」というような事を言ったのを思い出した。まさかその場面に遭遇するとは、あの時は思いもしなかった。


「その走りもステファニーに教わったのか?」

フレデリック王子の口調が詰問から呆れ(あきれ)へと変わった。

「そうですよ。服を汚すとブランドン伯爵夫人にお叱りを受けるので、服を汚さない走り方を練習しました。」

一見大人しそうなキャサリンだけど、相当なじゃじゃ馬かもしれない。キャサリンの言葉を聞いた皆は、そう思った。




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