表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第一章 アスター侯爵令嬢 ダイアナ
4/72

高等部へ入学

ギルバート王子と婚約した次の年、ダイアナは15歳になった。

週に2回のお妃教育とギルバート王子との木曜のお茶は、まだ続いている。しかし次の春からは、毎週のお茶会はなくなるだろう。

なぜなら、ダイアナは4月から学校へ通い始めるからだ。


リエヴォード王国では、6歳から6年間の初等教育、その後に3年間の中等教育、さらに3年間の高等教育が行われている。

初等教育は義務教育であり、庶民の子のほとんどは初等学校へ通う。しかし貴族の子は大抵の場合、家で家庭教師を雇って教わる。

中等教育は義務教育ではないので、受けられる子供は少ない。男爵などの下位貴族の子、爵位を継げずに騎士を目指す子爵家の次男三男、裕福な庶民の家の子などが、中等学校へ通う。高位貴族は、引き続き家庭教師から学ぶことが多い。


そして高等学校では、貴族社会にデビューするために必要なことを学ぶ。交友を広めたり、自国のみならず他国の言葉やマナーを習ったり、国の中心となれる人材の育成を目的に、様々なことを行う。

高等学校は王都にしかないため、学校には寮も併設されており、家から通う者より入寮する者のほうが多い。


アスター侯爵家は王都の中心部に(やしき)を持っているため、ダイアナは家から通うことにした。同学年であるギルバート王子も高等学校へ入学する。彼は、王族の慣例通り入寮することになっている。



入学を半月後控え、ダイアナは母と一緒に学校の準備物を確認していた。

「ディー、制服の大きさはちょうどいいみたいね」

母である侯爵夫人が、制服を着たダイアナを見てにっこり微笑んだ。


高等学校の制服はシンプルな紺のワンピース。夏服は涼しげな水色で爽やかな印象だ。

首元結ぶリボンは何色でもよく、令嬢がささやかに個性を主張するポイントになっている。

ダイアナ首に結ばれた臙脂色(えんじいろ)リボンを見て、公爵夫人は困ったような表情を浮かべた。

「もう少し明るい色にしたら? 朱色なんかはどう?」

母の提案に、ダイアナは静かに首を横に振った。


そんな2人のやりとりを見ていた妹のキャサリンが口を開いた。

「お母様の頃は、どんな服でした?」

「制服は今昔も同じ、紺のワンピースだったわ。私の頃は夏も紺だったけど。」侯爵夫人は、2人の娘を交互に見ながら話し始めた。

「リボンは季節に合わせて替えたわね。4月の桜色から始まって、躑躅色(つつじいろ)の赤紫色。夏の始めになると青紫の桔梗色で、それから空色や露草色(つゆくさいろ)にして、、、。」

そこで一息つくと、ダイアナを見て微笑んだ。「ディーが入学だなんて、月日が経つのは本当に早いわ。」


「学校での3年は、とても貴重な時間よ。あなたは、卒業するとすぐにギルバート殿下と結婚することになるでしょうから、この3年は、いろいろな方と交流を深めて最後の自由な時間を楽しんでね。たまには羽目を外して、私を怒らせてちょうだい。」

侯爵夫人は、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、最後の一文を言った。

明日、日曜日の投稿はお休みします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ