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村人、嫌な再会をする

 ガロンが五人組を気絶させている頃。


 ツリーデッキの上に残っているルールリアとリリスティアはというと


「しっかしガロンくん遅いねー」

「そうですねー、どこまで食べにいってるんでしょうか」


 双眼鏡を覗き、『ケルベロス』の観察を続けながら、未だ帰ってこないガロンのことをのんびりと話していた。


 たわいもない話を続けながらも二人は一度も双眼鏡から目を離さず『ケルベロス』達を、正確にいえばその幼体達の姿をずっと見ていた。


 双眼鏡の向いている先では現在巣穴の前で元気に戯れあっている二匹のケルベロスとグデーッと寝そべっている一匹の姿があり、時折体勢を崩しコテンッ、と転けてしまう愛らしい『ケルベロス』の幼体に二人は同じように表情を崩しながら温かい目で見守るように観察を続けていた。


 



 そしてしばらくの間、夢中で観察を続ける二人の後ろに一つの影が降り立った。


 その影はゆっくりと未だ気づかぬ二人の後ろまでくると


「順調ですか?」


 腰を落として双眼鏡を覗いていた二人の視線に合わせるように屈み、そう声をかけた。


「「え? おわ?!ガ、ガロンくん?!いつのまに?!!」」

「おお、見事なハモリ」


 声をかけた人物、ガロンは同時に双眼鏡を覗いたままこちらを向き、同じように驚く二人を見て「すごいものを見た」ような声を出した。

 そんなガロンを他所になんとか驚きから帰った二人は、先ほどの女子同士の会話のこともあるのか、ダークサキュバスであるリリスティアですら顔を逸らしながら上擦った声でガロンに話しかけた。


「おおお、お帰りガロンくん、おおお、遅かったね」


 ルールリアがなんとかガロンの顔を見ながら話そうとしたが、心の整理がついていないのかややおかしな感じにお帰りと言いすぐに顔を下に向けてしまった。


 そんな二人を見ながらガロンはというと


「(ああーーーーーー〜!!もうなんなのこの人たちは?!!なんだか俺もすっごい恥ずかしいんだけど!!!)」


 仮面の下で見えないことをいいことに、赤面しながら心の中で悶えたような声を叫び続けていた。


 しかしそんな精神状態でもガロンはなんとか表面上に出さないようにとりあえず


「二人とも、今日の監視はここら辺で切り上げましょう。少々厄介な用ができたので」


 そう言って、なんとか神妙な表情をしながらガロンは二人に言う。

 二人はそんなガロンの言葉に未だ赤面しそうな感情をなんとか抑え込んで、代表するかのようにルールリアが聞き返した。


「や、厄介な用・・って?」


 未だ頬が赤く見えるが、なんとか神妙な表情をしたルールリアにガロンは腰に手をてながら「んっ」っと言いながら親指で、ある方向を指差した。

 指差した方向に目を向ければガロンんだけに目が行っていて二人は気づかなかったが、ツリーデッキの上にいつのまにか巨大な背負いカゴが鎮座していた。

 よく見ればその背負い籠からは人の足のようなものがはみ出しておりルールリアとリリスティアはそろって息を呑んだ。


「あ、別に死んでいないからね?気絶させているだけだから」


 「まさか・・」と、言わんばかりの目でこちらを見てくる二人にガロンは慌ててそう否定する。


「でもあれ?この人達ってどかで見たような・・・」

「ああ、バカ五人組ですよ」

「いや、ガロンくん一応この人たち『強欲の爪』ていうパーティー名があるんだけれど・・」

「『強欲の爪』?『愚者の深爪』でしょうこの人たちは」


 リリスティアがカゴに入った五人組を見てそう呟くとガロンがそう答え、それに対してルールリアが捕捉をしまたもやガロンが訂正した。

 どうやらガロンはまだ五人組のことを許してないようで五人組の入ったカゴを足でゴンゴンと蹴りながらルールリアの言葉を訂正していた。

 

 そんなガロンにルールリアは苦笑しながらもしばらくして違う解釈、「自分を襲おうとした五人組に対してガロンが怒っている」という謎の解釈が一瞬頭をよぎりルールリアは毛を逆立てながら歯に噛むように俯いた。  

 そしてそんなルールリアを横からニヤニヤとした表情でリリスティアが小声で何か言うと、ルールリアは今度は両手で顔を覆ってイヤイヤと首を横に振りながらガロンから目を逸らすように体ごと横を向いた。


 そしてそんな可愛らしいリアクションをするルールリアにガロンはというと


「(だからどうしてそんな可愛らしいアクションを一々するかなあーーー?!!!)」


 そこらへんの木に頭をぶつけたい衝動に駆られたくなるが、なんとか抑え込んでルールリアが再起動するまで腹いせのように五人組の入っているカゴをゲシゲシと蹴り続けていた。


 その後数十分の悶絶から立ち直ったルールリアを横目に、ガロン達はすぐにその場を後にしエルドラへの帰路を急いだのであった。





















 冒険者ギルド辺境都市エルドラ支部 エントランス


「なるほど、事情はよく分かったわ」


 ギルドマスターであるリリスアーナが腕を組みながら、カゴからだされ猿轡をされた状態で転がされている五人組を見下ろしながらそう言う。


 そして転がされている五人組はと言うと、猿轡をされながらも力強くなぜかガロンを睨んでいた。


 しかし当のガロンはと言うと、そんな五人組に視線を合わせようとせず、まるでいないかのように扱い、それよりも気になったことをリリスアーナに聞いていた。


「・・・ところでギルドマスター。なんで俺たちが帰ってくることを知っていたかようにここにいるんですか?」


 ガロンがそう言うとエントランスにいる冒険者達が一斉に「うんうん」とうなずいた。

 そんな冒険者達にリリスアーナは一つ笑みを浮かべると


「それは、ひ・み・つ♡」


 可愛らしくウインクをしながら人差し指を口の前に立ててそう言った。


 その瞬間ギルドにいた他の冒険者は男女問わず、その顔を赤くして顔を背けるがガロンは「もういいや」と言う諦めの顔を仮面に下に出しながら一つため息を吐いた。


 そんなんことをしているうちにリリスアーナはとりあえず猿轡をしている五人組のうち、リーダー格であるオークの冒険者の猿轡を外すとその場で質問をした。


「ねえ、あなた達。ギルドの依頼がないのに一体あの場所で何をしようとしたの?」


 優しく諭すように聞くリリスアーナに対してオークの冒険者はニヤリと顔を歪ませると


「言わねえ・・と言うところだがいいぜ言ってやる。ただし・・そこにいる仮面やろう!!」


 そう言って仮面やろうと言われたガロンに向かってそう言うと


「俺たちともう一度かけ勝負しろ!!お前が勝ったら全部喋ってやる!!」


 そう言ってガロンと戦うことを取引に持ってきた。

申し訳ありません。明日更新お休みします

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