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村人、遭遇する

「待たせたな!!嬢ちゃん!!」


 そう言って店の奥から戻ってきたおっさんの手には折れた短剣よりも分厚く大きな二振り短剣が握られていた。

 おっさん手に持っていた二振りの短剣をカウンターに置き

 

「俺の店で一番硬く、強い短剣だ!材料がねえからここまでのものしかできねえが・・・・・・どうだ、嬢ちゃん?」


 そう言っておっさんはルールリアに短剣を持たせる。

 ルールリアは最初、短剣の重さに驚き危うく落としそうになるが直ぐに持ち直しその場で角度を変えたり掲げてみたり使い心地を確認した後もう一つを手に取り軽く素振りをする。


「ふ!  ん!  ふ!!」


 しばらく降ると何かしっくりきたのかルールリアは何か決めたように頷くと


「おじさん、これ頂戴!」


 そう言って短剣を購入することを決めた。


「手に合ったか、そりゃあ良かった。それじゃあ代金はちと高いが銀貨二十枚だ。払えるか?」

「大丈夫昨日、臨時収入があったから手持ちはあるよ。」

「そりゃあよかった。俺も商売だからな、ツケは効かないようにしてあるからな・・・・ところでそこの兄ちゃんは何か買うのか?」


 おっさんはルールリアから視線を外し未だ商品を物色しているガロンに目をむける。

 おっさんの視線に気づいたガロンは物色するのをやめ


「今日はよしておきます、俺の使う武器は特殊なんでここには類似品もなさそうなので。でも武器は全部高品質みたいなのでまた別の日に何か欲しいものがあったらその時買いますよ」


 そう言って買わないと言ったガロンにおっさんは職人のプライドなのか、ムッとした表情になり

 

「俺の作品を褒めてくれるのは嬉しいが、兄ちゃんの得物はなんなんだ?自慢じゃねえが俺の店じゃあ結構幅広い武器を取り扱ってんだが」

「はははは、まあ、見てもらったほうが早いですよね。俺の武器はこれですよ」


 ガロンは自分の武器である二振りの鎌を取り出しおっさん見せた。

 

 おっさんはガロンの鎌を見ると


「ほおー・・鎌か、確かにそれは俺の店には置いていないな。・・・・・失礼だが兄ちゃん、それちょっと見せてくれないか?」

「いいですよ」


 おっさんがそう言うとガロンは特に反論することなく鎌を店のカウンターの上に置いた。おっさんはカウンターに置かれたガロンの鎌を手に取り調べるように隅々まで見ると


「こいつは〜ー・・全部金属じゃねえな・・・何か別の生き物の素材も混じってるな・・」


 そう言って軽く見ただけで鎌に『何か』が混じっているのを感じたおっさんに、ガロンは驚きの声を上げた。


「へーー・・すごいですね。触れて見ただけでわかるもんなんですか?」

「馬鹿野郎!こう見えても俺あー自慢じゃねえがエルドラ指折りの鍛治氏だぞ!!大体の武器を触ったらそれに何が使われているのかわからあ!!だが・・・こいつは」


 そう言って言い淀むおっさんにガロンがおっさんの言葉を代弁するかのように


「『何の素材かわからない』ですか?」

「・・・ああ、悔しいが俺でも(これ)に使われている素材が分からねえ。兄ちゃん一体全体、どんな生き物の素材なんだ?」

「さあーー?」

「「え?知らないの?」」


 おっさんが鎌に使われている素材についてガロンに聞くが、ガロンは首を傾げ本当に知らないと言った感じで答えた。そんなガロンにおっさんとルールリアから呆れたようなツッコミが来たがガロンはそんな二人を横目に続けた。


「結構昔に、たまたま襲われて、返り討ちにした強いモンスターの爪と牙を使っているんですけど。当時からそのモンスターが何なのか分からなくて・・・・・同一の個体を探してみても見つからなかったので、どこか違う場所から流れてきた珍しいハグレのモンスターじゃないのかと思うんですけどね」


 そう言いながらガロンはカウンターに置いていた鎌を回収しながら鎌に使われている素材にについて少し語る。

 おっさんはガロンの話を聞きながら手に持っていたガロンの鎌を返しながら今度は防具を見て口を開いた。


「そうか・・・分からないなら仕方がねえな。それによくみたら兄ちゃん、その来ている防具にもそのモンスターの素材使っているだろ?」

「ええ、そうですけど?」

「そうか、なら気をつけておけ。」

「え?何を?」

「お前さんの武器や防具に使われているモンスター、そいつはまだ完全に死んじゃいねえ。気を抜いたら喰われるぞ(・・・・・)


 そう言って真剣な表情をするおっさんにガロンは


わかって(・・・・)ますよ。よーくね・・・」


 そう言ってガロンはおっさんに背を向けて店の入り口の方へ歩いていく。

 そんなガロンの背中におっさんが腕を組みながら声をかけた


「・・・・俺の名前はダダンだ。何か異変を感じたら直ぐに俺のところに来い兄ちゃん。その装備を作ったやつほどじゃねえがなんとかしてやる」

「・・・ああ、そんな時があれば頼む。まあ、その時は多分調整(・・)だと思うけどな。」

「ふっ・・・言うじゃねえか」


 二人だけわかるような会話をしながらガロンは店のドアを開き外に出る。そんな中会話に入り込めれていなかったルールリアがガロンが店の外に出たところで我に帰り素早く懐から銀貨二十枚をカウンターの上に置くと


「ちょっと待ってガロンくん!!」


 ガロンを追いかけ、店の外に出ていった


 店の中一人残されたおっさん、ダダンは店の奥に続く工房に向かいながら、先程のガロンの武器と防具を見て自然と口角を上げた。


「あの兄ちゃんの装備を使ったやつ・・かなりいい腕をしているな。こりゃ久々に燃えるわ!」


 そう言いながら火のついたダダンは工房の炉の火をあげ槌を古い、新たな武器を作り始めたのだった。














 ガロン達がダダンの店を出て数十分後、現在ガロン達は


「お、ここにもあった!結構生えてますね」

「そうだね、あ!こんなところに大量に!」


 樹海の奥にて薬草採取に精を出していた。







「しっかし、こんなに大量にとっても問題ないなんて・・・この樹海どうなってるんですか?」

 

 ガロンがそう言いながら山のように大量の薬草が入った魔法袋を叩きながら呆れたようにそう呟く。

 そんなガロンにルールリアは、腕輪を外したモフモフのコボルト状態で薬草を両手に握りしめながら小さく笑い


「ふふふふふ、アルモニア樹海は植物の成長がすごく早いの。だからこの樹海の薬草なんかを根こそぎ取ることは不可能だし、一週間もしたらまた大量に生えてくるから問題ないのよ。

 樹海は危険だけどそのおかげでポーションとかそういった傷薬が大量に作られるから安くなるし、薬草は常に売れるし、住民にも十分に行き渡るし、まさに一挙両得なのよね」


 そう言いながら薬草を次々と採取しては自分の魔法袋に入れていった。


 ガロンはそんなルールリアの説明に


「へーえ、まあ確かに」


 何か納得したかのような声をだし黙々と薬草を採取していった。

 しばらくすると近辺の薬草をはとんど取り終えた二人は、長い間背中を曲げて作業していたため固まってしまった筋肉をほぐすため同じように伸びをし体の力を抜く


「それじゃあかなり大量に取れたしそろそろ帰ろうか?」

「そうです・・・」

「?ガロンくん?」


 ルールリアが帰ることをガロンに提案し、ガロンが返事をしたかと思うと途中で無言になった。

 ルールリアはそんなガロンを不審に思いそっと近づくと


「ルーさんちょっとごめん」

「へ?きゃっ?!」


 ガロンは突如ルールリアの手を引っ張り抱きしめると木の根本に勢い良く座り込んだ


「へ?!ちょ?!ガロ・・・」

「静かに!ルーさん!」


 そう言って真剣な声でルールリアを更にギュッと抱きしめるガロンその視線は座り込んでいる気の向こう側に向かっているのだがルールリアはマジかで聞こえ感じるガロンの心臓の鼓動と体温でそれどころではなかった


「(あああああああ!!ちょっ近い!!心臓が!!心臓の音が!!)」


 声にならない叫びを上げるルールリアに対してガロンは隠れるように静かに息を殺す。


 すると


「来た!」


 ガロンがそう呟くと何か大きな足音が聞こえガロン達の直ぐそばを通過していく。

 ガロンはその存在を木の影から覗き見るようにして慎重に見る。それは


「『ケルベロス』・・・しかも白の『希少種』」


 純白の毛皮を纏ったミツ首の巨獣『ケルベロス』悠々と歩いていた

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