村人、説明したあと祝福する
「俺たち婚約してないよね?」
ガロンの発言に先ほどまで饒舌に語っていたエミルは凍りつく。
ついでに後ろにいたリオネスも何故か凍りつく。
そして周りの村人達は面白いものを見る目で話を聞いていた。
ガロンの衝撃の告白に対して思考が停止し、動かなくなったエミルを他所にガロンは続けて質問するように二人に向かって続けた。
「まずなんで俺がお前の婚約者だと思ったんだよ?」
それに対して思考停止からなんとか意識を戻したエミルはというと。
「だって、昔将来を誓い合ったじゃ」
「それ、俺たちが2歳か3歳の頃の話だよね?しかもエミル発案の貴族令嬢令息風おままごとの台詞で言わされたやつじゃね?」
「違う5歳の頃」
「あれって確かエミルが『将来あんたに貰い手がいなかったら私が貰ってあげる。・・・・・ペットとしてね』て言ったやつだろ。婚約じゃなくて犯罪予告だろあれって。」
「間違った9さ」
「『あなたを私の奴隷にしてあげる』って言葉だったが。」
「・・・」
「言っとくが、お前から俺に言われた言葉は一言一句、全部覚えてるぞ。」
ガロンのその言葉に周りの村人達はちょっと引いたような表情をしたがガロンの次の言葉に、村人達は一斉にエミルとリオネスから距離を取った。
「家畜の首輪と鎖一式と焼印を持って『ちょっとこっちきなさい』って言われたときは俺は一瞬死を覚悟したぞ。あと一歩俺の足が遅かったら俺の体には一生消えない傷跡が残ったかと思うとな。その代わりそれ以降トラウマでお前の言葉が全部頭に焼き付いてしまったがな。ハハッ」
坦々と言いながらもどこか哀しそうな笑いを付け加えたガロンの告白に周りにいた村人達は全員距離を取る。ついでにエミルの隣にいたリオネスもゆっくりとエミルから離れようとするが
「だからね勇者くん」
一瞬で詰め寄ったガロンに肩をガッチリと掴まれリオネスはその場に縫い止められた。
リオネスはガロンの手を振り解こうともがこうとするがガッチリと掴まれたリオネスの体はピクリとも動かない。
そのことに気づくも勇者と呼ばれるが故の意地で引きつりながらも笑顔を見せるリオネスにガロンは
「エミルと結婚してくれてありがとう」
万面の笑みで祝福をした。




