さっきまで耳があったのに!
川で手を洗ってきた私が戻ってくると悠柳君は、話を続けた。悠柳君の表情は暗くなかったし、手ももう震えてはいなかった。「それでね、僕今一人暮らしなんだ。」うん。知ってるよ。悠柳君の過去はめっちゃ残酷というか……とにかく現実的なんだよな……家庭のことは知らなかったけど、でも、私の前の世界の現実みたいに辛そう……
「それでね、僕ブラックビックマンを倒そうと考えてるんだ。」「え?」まさか……復讐?まぁ、そう来ると思ったよ
だから、悠柳君今剣を持って手袋してるんだ……ブラックビックマンに呪われちゃうよ……でも、悠柳君の覚悟見習うわ!
よし、決めた。私悠柳君について行く!たとえ断られたとしても!ていうか行くとこないし!!!!もし、今からどっかに行ってもさっきみたいにブラックビックマンに追われるだけだし!そんなことは分かってるんだよ!私だって……だから……
「私も連れてって!」「え?!?!」悠柳くんは焦った声で言った。「悠柳くんの力になりたいの。」だって、これは本当のことだから……「でも……」悠柳くんは辛そうな顔で言った。きっと辛かったんだろうな……身に染みる。そしてさっきから悠柳くんの頭の耳がふよふよ動いてる。
すごい。そういえば私にも耳があったな〜……あれ?あれ……ない
私にだけ耳がない?!?!?!さっきまであったのに消えた?!?!どゆこと?!
私が戸惑っている中、悠柳くんは決意をしたのか一瞬にして真剣な顔になって喋り始めた。悠柳君の表情ってコロコロ変わるなぁまぁ、そこが可愛いんだけど……そんなことを考えていると予想もしなかったことを悠柳君が言った。「分かった一緒に行こう。ことろで……菫ちゃんはなんの魔法が使えるの?」「え?」あれ、私魔法使え……たっけ?てか今前世の記憶戻って今までの記憶忘れちゃったのに、魔法使えるとかわかんないよ〜
「もしかして使えない系?」「んー、わかんない。使えるかも」「そっか、そうだよね。使えない人はこの世界にいないからね。びっくりした……」え?!いないのかよ!プレッシャーだなっ!「え、あ、うん。そうなんだ」半分戸惑いつつ、自分が魔法使えなかったら1人だけ特別って感じがするからいいんじゃない?と心の中で思った私なのだった。
「あの、ところで……」「ん?」「あの、私耳と尻尾がさっきまであったのにないんだよね。これっておかしいよね?」「うん、そんな人みたことないや。見せて」「ん」私は頭を悠柳くんに見せると……「んー、なんだろうね。僕にもよく分からない」おー。そっか私ってレアキャラだったのか。まぁ、いいや。人生こんなもんだよね。殺害されるキャラに転生するよりマシだし。あーあ、もうちょっとちゃんとMAGIC!アニマルのアニメ見てればよかったな〜とりあえず、私が考え事しすぎて喋んないから悠柳君が困ってる。とりあえず喋ろう「そっか……まぁ!それは置いといてまずはブラックビックマンを倒すことに専念しよ!」「そうだな!」悠柳は頷いた。
「とりあえず、薫ちゃんが魔法を生み出せるようになるまでブラックビックマン倒しは後にしよう」「分かった、頑張る」「うん。僕も手伝うから明日からがんばろう。」
悠柳君と魔法の練習〜楽しみだなぁ
こうして、私たちのブラックビックマン退治作戦が開始したのであった。




