人生最高
「薫ちゃん……」「ひゃいっ!!!!な、なんでしょうか?」
悠柳くんがいきなり喋ったのでびっくりして変な声が出てしまった。
「ごめんね。さっきは強引に手引っ張っちゃって……」
悠柳君は自分が私の手を引っ張ったことについてよっぽど後悔しているのか、私に何度も謝ってくる。
「だ、大丈夫だよ!悠柳君!それより話って何??」
「え?話?あー、あれは嘘だよ。」
へ?嘘?
「薫ちゃんをあいつに渡したくなかったから……」「え?」「いや、なんでもない。」
「とりあえず薫ちゃんはここで待ってて、僕があいつを追い払ってくるから。」「う、うん?分かった。」
悠柳君は僕に任せてと言うと、階段を下りて行ってしまった。
しばらくすると、悠柳君が戻ってきた。
「薫ちゃん。あの人……この国の王子だった……しかも、なんかよくわからないけど今回王様と手を組んでる……」「え?!そうなの?!私もよくかわらないけど、そんな凄い人がなんでここに?!」「僕にも分からない。でも薫ちゃんに用があるらしい。」
なるほど……私に用事……いやっどんな用事だよっ!え、まさか……王様に奴隷にされる用事とかっ?!ま、まさか……いや、ありそう。
前世のドラマでよく見た事がある。
脅されて、奴隷にされるやつ……
「無理無理無理無理!!!」私はいつの間にか過剰反応をしていたようだ。無意識に……
「えー、そんな事言われてももう来ちゃったよ。」悠柳君が言った……と、思いきや一人の男の人がいきなり現れていきなり喋った。もう、訳が分からない。
しかも聞き覚えのある声だ。どこかで聞いたことがある。この声は確か……アレだ。アレ。えーっと叶出さんの彼……
「さっきぶり。薫ちゃん」またまた、聞き覚えのある声が聞こえてきた。その正体は叶出さんだ。
「え!叶出さんの彼氏って王様……え?!」
「ち!違うわよ!彼氏じゃないわ!友達よ!」めっちゃ否定してくるよ、叶出さん……
そして王様は悲しい顔しないで……なんか私が悪いみたいじゃん……
てか、私わかった。きっとこの王様は叶出さんの事が好きなんだ。でも叶出さんは友達?だと思っている。そんな感じだ。よく分かった。理解理解。
すると叶出さんが話を切り替えた。
「薫ちゃん、私達と城に住んでほしいの。」
「え??な、なんでですか?」「それは……」
「えー!薫ちゃんお城に住むのー?!私悲しい!行かなで!!」
陽菜多ちゃんが叶出さんの言葉を遮るかのように言った。
叶出さん、目が……目が人を殺す目になってるよ
「僕も反対です。」今まで黙っていた悠柳君が口を開いた。「僕は薫とお城で一緒に住みたい〜!」王子が悠柳君の言葉を反対するかのように言った。「ぶるぅお前が薫ちゃんと住むわけじゃないからな。」王様が王子に言った。
そして、王子は許可せずに私の名前を呼び捨てで……
まぁいいけど……
「え〜一緒に住んだっていいじゃん〜あ!正室に迎えいれるっていうのはどう?」「ぶ、ぶるぅ……お前本気か……?」「うんっ!!!」
なんか勝手に話進めてるよ……
「じゃあ、本気なら正室に迎えいれ……」
「駄目です!」
悠柳君が王様の言葉を遮った……
王様の……言葉を……この国で1番偉くて強い……王様の言葉を……
「薫ちゃんは僕と結婚します!」
悠柳君……
よ、よろこんで!!!!ん?結婚??ん?
え、私たち未成年……え?まって……ん?
どゆこと??未成年とか関係なくどういうこと???え?
駄目だ……頭が混乱してきた……
「そうか……薫ちゃんにはお相手がいるということで……ぶるぅ、残念だな。ドンマイ」
「う、うぅぅぅ……」王子が泣いてるよ。これはどうすれば……あ!そうだ!
「王子」「ん?」「はい。あげるハンカチ。」
「ありがどう……やっばりぎみはやざじいで……僕はそういうところに惹かれたんだ……」ずびーっ
王子が鼻かんでる……ちょっと面白いかも……しかもなんかよく分からないことを仰る……
でも、それより私は悠柳君に対して聞きたいことがある。
「悠柳君、さっきなんで私と結婚するって行ったの?」「え……そ、それは……す、好きだから。」「え……」「だから結婚はまだかもしれないけど……付き合って……くれない?」「え、うん。」
それはそれは驚く程にあっけない返事で……
「え?!まじ!?」悠柳君は瞳を輝かせるとバンザイと手を上げた。
「あーあ、カップル出来ちゃった。私もはやく恋していい男と付き合わないとなー」
陽菜多ちゃんが羨ましそうに言っている。
ぎゅっ
そんな音がなったと同時に悠柳君に抱きしめられた。「ふぇっ?!」驚きと恥ずかしさにまた変な声がでた。もう、今すぐ穴を掘って埋まりたいぐらい幸せです。「大好きだよ」はい。私も大好きです。そして私今、人生幸せです……
「ぶるぅ、ドンマイ!」「ひでぇぇぇぇ、僕泣く!!!!絶対にお前から薫ちゃんを奪ってやるからな!!!」なんか宣言してるよ……




