熊五郎と花ちゃん
「こ、こここここんにちは!わ、私の名前……は、花でずっ!」
めっちゃ舌噛んでるよ……大丈夫かな……
「ダイジョウブカ?ハナ。メッチャキンチョウシテルナ」
「だ、だだ、大丈夫ですっ!平気です!口から大量の血がでても私は回復魔法ができるので!」
「ところで、花ちゃんは何歳?」陽菜多ちゃんが早速聞いてきた。「12歳です!」「…………え?」
わっか……え?12歳で熊五郎を人間に戻した?まぁ、不完全ではあるけど人間に戻せるだけすごいと思うわ……
この子立派な大人になるわ……私が関心して頷いていると、突然悠柳君が喋り始めた。「この歳で……熊五郎を人間に……?嘘だろ……」なにかぶつぶつ言っている。
ビックリしすぎて言葉が止まらないようだ。でも、陽菜多ちゃんはそんなのは見なかったような顔をし、花ちゃんに言った。
「ねえ、花ちゃん。私たちの親友が記憶を失なっちゃったのよ。それで、治してほしいの。できる?花ちゃんなら回復魔法で海斗の記憶を取り戻せるかもしれない。」
「え、わ、分かりました。私でよければ。でも条件があります。私が魔法を成功するには貴方達に手伝ってもらいたいことがあります。」「何を手伝えばいい?」
「ご飯をつくってください。」「え?」みんなの驚いた声とともに花ちゃんのお腹がギュルルルルルルとなった。
「あ、お恥ずかしい……ごめんなさい。お腹がすいていて……」
「わ、分かったわ。今から私たちがご飯つくってあげる。いくよ。悠柳君、陽菜多ちゃん。」
こっそりこの場から逃げようとしていた2人を私は捕まえて家に戻った。
「んー、じゃあ、この玉ねぎは悠柳君が切ってくれる?」「うん。わかった。」
とりあえずゆうこと聞いてくれて良かった……
「陽菜多ちゃん、豚肉やき終わった?って……え、どうしたのそれ。」
焼き終わったのか、陽菜多ちゃんの料理を見るとぷすぷすに焦げていて、肉が残っていない……灰になっていた。
「陽菜多ちゃん?!どうした!」そういえば今まで料理させたことなかったな……陽菜多ちゃんは狩りに行く派だから……さっき真面目な陽菜多ちゃんが逃げようとしていた理由がわかったよ……
でも、こんなにも料理ができなかったとは思わなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
で、出来た!
「ふー、疲れた……」
さすがに悠柳君も疲れている。
そして陽菜多ちゃんはというと……元気にしている。
まぁ、いいや。それは置いといて、とりあえず花ちゃんに……
「花ちゃん。ご飯出来たよ。」「わーい!ありがとうございます。」
花ちゃんはスープに口をつける。あ、それ私がつくったスープだ。
「どう?」「美味しいです!」「それは良かった。」
「あの、その記憶失くした人ですが明日でもいいですか?」「う、うん。今日はもう、暗いからね。」「ありがとうございます!」「いえいえ」礼儀正しい女の子だな〜
「あ、そろそろ帰ります。」花ちゃんは食べ終わったようで帰る準備をしている。「うん。気をつけてね。またね!」「またね。薫ちゃん。」
「すっかり……仲良くなったね。何だか羨ましいよ、ヤキモチ妬いちゃうな……」悠柳君が後ろから現れた。
「ぎゃあ!び、びっくりした。」「なんだよ……人をお化けみたいに……酷いなぁ」「ご、ごめんね!悠柳君!」「ま、いいけど……薫ちゃんだし……許すよ……」「え?」悠柳君がなにかを言ったと同時に家の扉が思い切り開かれた。
「ここにいるんだな!薫という者は!」
そこには水色の髪の男の子が立っていた。
多分……16歳ぐらい。目は垂れ目だ。ど、どうしたんだろう……こんな夜中に……しかも私の名前だされたし……私こんな人知らないよ?!
まぁ、イケメンかもしれないけど!でも、個人情報が知られてるのはさすがに怖いわ……
そんなことはおかまい無しに彼は他人の家にズカズカと乗り込んだと思うと、私の手を掴んだ。「君だね……僕のプリンセス。共に城に行こう。」「はい?」どゆことー?!何この展開!少女マンガかよっ!デジャブ……
「おー、薫ちゃんがイケメンに口説かれてるー」
陽菜多ちゃんが棒読みで言った。そ、それより助けてよー!
「おい、お前、他人の家に乗り込んでおいてそれはないだろ。」
少し怒った声で悠柳君が言うが、男の子は無視している
「僕のプリンセス、こんな奴の言うことなんて無視して城に帰ろう。ほら、はやく。」「え……?な、なんで私が?」「あー、説明するのを忘れたね。僕がなぜ君を連れていくかというとね……」
「薫、話がある。」すると、悠柳君はその男の子の言葉を遮って、私の手を引っ張るかと思うと、私は上の階に連れてかれてしまった。「え??お、おい!」さすがに水色の髪の人も戸惑っているようだ。
そ、それにしても今薫って呼んだよね?悠柳君……今、どんな表情してるんだろう……気になったので悠柳君の顔を覗いた。
びっくりした。思った以上に怒っている顔だ……




