悠柳君の手が握れない……
目の前に推しがいる。推しがいる!!推しが!!!!いる!!!!!!!!!!!!
「あ、おはよう。ごめんね、脅かして……」悠柳が頭を下げた。私はというと……推しが目の前にいるので興奮のあまり「か、かわ……じゃなくて…………あ、え、らあ、えっと、あ!助けて頂きありがとうございましゅ」言葉がおかしくなりさらに頭がおかしくなったわ。
「いえいえ。困っている人を助けるのは当たり前のことなので。」え!当たり前って言った!かっこよ!てか、よく見るとアニメにでてくる悠柳くんってこんなじゃなかったような気がする……よく見ると、少し幼いような……
「あ!自己紹介を忘れていましたね。僕、波羅田 悠柳って言います。」あ、私も自己紹介忘れてたわ……名前……「あ、私の名前は……あ、」私の名前って何……
んー、これって……あっちの世界の名前を言うべきなのかな……ふと私が持っているバックに目がいった。これあさらぎ かおり?って書いてある?……えぇい!もうこれでいいや!言っちゃえぃ!思いきってこの名前を言うことにした。「私の名前は朝良木 菫です。」「なるほど、そうなんだ〜よろしくね薫ちゃん!」
「ところで、薫ちゃんは何歳?」「私は14ですそちらは?」「僕は16だよ。僕の方が2歳上だね」
あ、だからか。アニメにでてきた悠柳君はあの時18歳だった。なるほど……
「あの、」「ん?」「少しの間、私をここに住まわせてくれませんか?家事でもなんでもやるので。」「あぁ、別に構わないよ。それにまだ怪我してる人を帰らせるのは危ないし……それに、狼人間に狙われてたでしょ?」見ず知らずの他人を家にいれてくれるなんて……なんて優しい人なんだ……って、それは置いといて……
「え?狙われてるとなにかなるんですか?」私が質問すると、悠柳君は、少し暗い顔になった。どうしたんだろう……?「あぁ、ブラックビックマンはまさに獣でほんとに強いんだよ。あいつに呪いをかけられると毒が全身に回っていき日に日に弱くなっていくという症状がでるんだ。それで僕のお母さんもお父さんも亡くなったんだ……」
そんなことがあったんだ……え、もしかしてアニメで言ってた、家庭の事情ってこういうこと?てかアニメのMAGIC!アニマルはこんな、戦闘系のアニメじゃなかったよ……もっとほのぼのとしていたのにどうしてだろう?とりあえず悠柳君に何か一言、言おう……「じゃ、じゃあ悠柳くんも気をつけないとね。」「うん……」悲しそう……この子の手を握ってあげたい……でも私にはそうすることはできない……
なぜなら……私!手が汚れてるから!!!!!!
「あれ、薫ちゃん手が汚れてるよ?泥がついてるね。さっきブラックビックマンに追われた時に泥がついちゃった?」ギクッ……気づかれた……悠柳君鋭いなぁ「あ、えっとこれはちょっとね……」「あそこに川あるから、洗ってきなよ?」「あ、うん。ありがとう!教えてくれて」きゃー恥ずかしい!こんな、みっともない私を悠柳君に見せてしまった……!
そんなことを思いながら私は手を洗いに行った。




