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舌戦!光の勇者VS魔王(後)

『何だかなぁ』

俺は頭を抱えてため息をつく。


今となっては緊張感など皆無だ。


「妾は魔族と人間との間に生まれた、ハーフ魔族なのだ」


そのフレーズには驚きを隠せない。


「妾の母君はな……優秀な魔道士で、とある王国の姫君でもあった。だが、政変に巻き込まれ、命からがら逃げてきたのが、この城がある都、ホルエルンじゃ。……心配せずとも300年も前の話じゃ。その王国ももはや存在していない。この度の侵攻とも無縁の話じゃ」


ルフェちゃんは淡々と語る。


「それは、それは大恋愛で、聞いてるこっちまで恥ずかしくなるようなモノじゃった。まあ、母君は妾の出産に耐えきれず生んだ直後に死んでしまったがな。所詮、魔族と人間とでは成長の過程が違うのでな。父君も最後まで手当てをしたらしいが無理じゃったらしい……父君からそう聞いた」


俺は少し涙ぐむ。

よく見ればココも涙を浮かべていた。

おっさんも、涙ぐんでいた。


「大元帥ホホロンに聞いたが、父君は本当に憔悴して性格が丸くなってしもうた。まあ、妾はそんな父君しか知らんからよくわからんが」


大元帥ホホロンとは魔王軍四天王の一人で、ブレイン的存在の悪魔だ。齢2万歳を超えていて、先代魔王が皇太子の時代から仕えていると言っていた。


先ほど俺たちは、この魔王城『二の間』で死闘を繰り広げ、何とか倒した相手だ。


「それでな……勇者よ。妾と夫婦になろうぞ」


「なんでそんな話になるのよ!!」

ココは盛大に噛みつく。


「わからぬ小娘じゃな。妾は父君と母君の甘い恋愛話を聞いたのじゃぞ?人間に興味を持つのは必然じゃろ?」


「うんうん。そうだろうねぇ。その気持ちはよーくわかるよ」

おっさんは目に涙を浮かべながら、うんうんと頷く。


「まったくもってカールである必然性がない話だわ。ねぇ?カール」


「ああ……なんで、俺なんだ?」


「より強い男性を求めるのは必然であろう?」

ルフェちゃんは小首を傾げる。


「俺より強い男なんて、いっぱいるような……」

俺は苦笑いを浮かべ答える。


「おらん。妾は魔族だぞ?今後の伸びしろや現在の歳、ルックスなど全て考慮に入れてはじき出した結果、勇者しかおらんのだ」

ルフェちゃんはハッキリ答える。


「俺ってそんなに伸びしろあるの?」


「伸びしろは余り重要でない。一番重要視したのは今後の余命と子孫繁栄じゃ。妾の見立てでは、最低でも150歳までは生きる。下半身も元気だから40人は子孫が作れるじゃろう」


「……」

そう断言されると恥ずかしい。

俺は思わず顔が火照る。

そして、なぜか股間を隠す。


「……変態勇者」

ココはそんな俺をジト目で見ながらそう呟いた。


「妾の勇者は何を躊躇しとるのだ?」

ルフェちゃんはおっさんに質問する。


「たぶん、ココちゃんに遠慮してるんじゃない?ココちゃんもカール君を狙ってるみたいだし」

おっさんはニヤニヤしながらそう呟いた。


「へ?」


「ちょっと!なに出鱈目言ってるのよ!!」


俺の間の抜けた返事とココの怒声がかぶさる。


しかし、知らなかった。ココが俺の事を……。


「あれー?おかしいな?さっきの発言といい間違いないと思うんだけど」


「ははは!そうか、妾の勇者もモテるのう!しかし、安心せい。妾を正妻に娶り、そのロリ魔導士も娶ればよい話じゃ」


「へ?」

なんだなんだ?俺の知らないところで勇者様が取り合いになってやがる。

ホント、勇者様ってのは大変だなぁ。まったく。


「なんで!私が好きなの前提で話が進んでるのよーーー!」


「うるさいヒステリック・ロリ魔導士。耳障りじゃ」


「私はココ!ココ・ラクエンド・フォン・フリューです!!」

ココが大声で自己紹介する。


正直、酒もだいぶ入っているせいかうるさい。


「ヒステリック・ロリ魔導士じゃからヒスロで十分じゃ。のう?妾の勇者様よ?」


「は…ははは…」

そんな返答しずらいことを言わないでほしい。

苦笑いしかできない。


「ムキーーー!否定しなさいよ!!この変態勇者!!」

ヒスロは地団駄を踏んで悔しがる。


おっと、間違えた。ココだった。


「まあまあ、折角の飲み会だからね?喧嘩はダメだよ!」

おっさんは冷静に仲裁する。


ありがとうおっさん。この場ではアンタしか頼りにできる人がいないよ。


「おっさん!余計なチャチャ入れないでくれる?これは、女と女の戦いなのよ?」


「ほほう。妾と戦うというのか?面白い……ククク」


ルフェちゃんとココの間に火花が走る。

まるでバチバチと火花が見えるような熱い視線だ。


おっさんは思わず俺まで近づいてくる。


「カール……結婚しても大変だね。おっさんは応援してるよ」


「……二人と結婚前提ですか!?」

俺は涙目で訴える。


「良いじゃないの。こんな美人二人から求婚なんて……男だったら嬉しい悲鳴じゃないの!」


「魔族の長とヒステリック魔導士の組み合わせですよぉ?」


「そこがいいんじゃない。萌えない?」


「萌えません!!」


「そこ!何話してるの(じゃ)!」

二人はハモリながら、怒りの視線をこっちに向けてくる。


というか、仲いいな……お前ら。

俺は悲しくなってくるよ。


俺は苦笑いを浮かべるしかできなかった。


「勝負か……避けて通れないの?」

おっさんは腕を組み考える。


「致し方なかろう?」

「望むところよ!」


二人は同時に語る。


「じゃあ、騎馬戦で決着つけたらいいよ!」

おっさんは閃いたように言う。


「キバセン?」

俺ら三人は目を丸くしてお互いを見合わせた。


「そう!プールでお互いの頭につけた鉢巻を取り合う平和的な競技」


「はぁ?」

俺らはおっさんの話を聞くしかなかった。



ルールはこうだ。水の張った湖で、魔族の騎馬を組み、ルフェちゃんとココが上に乗り、お互いの鉢巻を取るという平和的な物だ。


もちろん魔法など攻撃の類は禁止で、お互い濡れてもいいように水着に着替えた。



「ハハハ!ロリ魔導士よ!随分と胸を隠しておるな?何か問題でもあるのか!」


ルフェちゃんは魔族の騎馬の上に立ち、仁王立ちで腕を組み高笑いをしている。

正直、腕組をしているせいで反則なまでに胸が強調されている。


「なんで私がこんなカッコに……!?」


一方ココは、ビキニが恥ずかしいのか胸に手を当てながら隠している。


「いや~良い光景ですね。カールさん!どちらがリードしてますか?」

おっさんはノリノリだ。


「う~ん。ルフェちゃん一歩リードっていう感じですかね?」

俺も椅子に座り、ノリノリで実況する。


「何が一歩リードなのよ!?な・に・が!!」

俺らの実況にチャチャを入れるココ。


「ハハハ!妾の勇者よ!よく見ておくが良い。これが妾の実力じゃ!!」

ルフェちゃんの騎馬が勢いよくココの騎馬に近づく。


「ホリャ!!」

ルフェちゃんの手がココの胸のビキニをつかむ。


「ちょっと!どこ持ってるのよ!!」

ココは必至でビキニを支える。


「おっと、あまりにも寸胴なもので、鉢巻と見間違えたわ!」


「グニュニュニュ!言わせておけば~!ていっ!」

ココもルフェちゃんのビキニに手をかける。


「ふむ…妾の胸囲でまさか間違えたとはいうまい?」

「ワザとよ!ワザと!」


女同士の争いが繰り広げられている。


俺は直視できず、顔を手で覆う。


「うむ……100点」

「何の点数ですか!?何の!?」

おっさんは何を基準にしたかわからない点数を言った。


そうこうしていると、ルフェちゃんのビキニが外れる。


「オッ!?」

「へッ!?」


二人は勢いよく騎馬から落ちた。


「この勝負!引き分け!!」

おっさんは、鼻血を流しながら叫んだ。




しばらくして、俺たちは着替え、『玉座の間』に戻り、デザートを食べる。


「いや~楽しかった。良いものも拝めたことじゃしのう?妾の勇者よ?」


ルフェちゃんがニヤリと不敵に笑いながら同意を求める。


「変態!」

ココは開口一番そう叫ぶ。


もう、勇者でもないのね……俺は。そうですか。


「で……どうするのじゃ?妾の勇者よ。娶るのか?娶らんのか?」


「ちょっと!なんでその二択なのよ?」


ココの反論も無視して、ルフェちゃんは俺のそばまで来て、跪く。そして、俺の腕をつかんだ。


「妾の……勇者様よ。……妾は嫌いかえ?」

急に涙目かつ上目遣いで見つめられる。


『ヤバ!……可愛い!!』

俺は心臓が飛び出しそうなほどドキドキした。


その光景を見たココも反対側まで来て、腕をつかむ。


「バカ勇者!……誘惑になんて負けたら承知しないんだからね!」

こっちは涙目でツンデレっと言われる。


『なんだ!この胸の高鳴りは……!』

俺の心臓はさらにドキドキした。


「あの………それぐらいにしといた方が…」

おっさんがさすがに止めに入ってくれる。


二人は見た目とは裏腹に思いっきり俺の服を引っ張っている。

もうすぐ破れるんじゃないだろうか?


しかし、俺の願いも叶わず、平和的な解決はしてくれなさそうだ。


「うるさーーーい!」

「グハ!」

おっさんは、二人に思いっきり蹴られて宙を舞い、飛んでいった。

転移したのは言うまでもない。



「さあ!どうするのじゃ!妾の勇者よ!妾にこれ以上恥をかかせるつもりかえ!」


「アンタが優柔不断だからこうなるんでしょ!!この際だから好きっていう事にしといてあげるからハッキリ決めなさい!!」


俺は、思いっきり二人から腕を引っ張られる。


『俺は何しに此処に来たんだ?』


俺の脳裏には走馬灯が流れ始めていた。

これぐらいの描写なら大丈夫ですよね?(-_-;)

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