第5話:特訓Ⅱ
要約すると主な勝利条件は、次の二つ。
1:相手チームのメンバー全てを戦闘不能にする。
2:制限時間30分が経過した場合のチーム人数の多いチームの勝利。
そして、今回の試験では《魔道具》を使用する。
魔道具とは、見た目は剣や指輪など多種多様だが、マナを注入することで自身の能力を応用したり、強化することが出来る。
「今回は訓練用の魔道具が支給されるが、能力や戦闘スタイルによって戦術の幅は大幅に広がる」
今回支給される魔道具の種類を大まかに分けると、太刀などの斬撃系と銃や弓などの射撃系、杖や指輪などその他の三系統に分類される。
「とりあえずお前らの異能と使用する魔道具を教えてくれ!まず赤神から」
「私の異能は、火炎で、使う魔道具は太刀よ」
「火炎で太刀…っと。次は万里花!」
「私の異能は氷結で使う魔道具は、指輪です!」
「フム、指輪で氷結ね。次は、誘拐未遂犯」
「だ〜れ〜が、誘拐未遂犯だっ!誰がっ!」
全員の視線がキムの体に突き刺さる。
「誰も、信用してくれないのね…」
まぁそれは自業自得だと思うが…。
「使う武器は、大剣!異能は身体強化!」
「へぇ〜…(低脳乙)それはそれは!」
すごく楽しそうに笑うな…。
「それで、アタル、お前は?」
「…ない」
「ん?もっと大きな声でハッキリと言え!」
「…わかんないって言ってんの!」
………。
場の空気が氷ついた…。
「だ、大丈夫よ、これから使えるようになるって…多分…」
「うっせ!どうせ俺は落ちこぼれだよ!!」
「それで?魔道具は何使うんだ?」
「太刀…だけど、異能使えないんだし…」
「基礎魔法なら使えんだろ?」
「それだけでどうにかなるわけないだろ!?」
基礎魔法だけでどうにかなるほど試験は甘くないし、現に異能を持ってないプロの魔道士なんて未だかつて存在しない。
「どうにかするんだよ、力の差は、努力と戦術でいくらでも埋め直せる。それに、お前は自分が思ってるほど落ちこぼれじゃねーぞ。俺の期待の秘密兵器だからな!」
優人がニヤッと笑う。
「俺が思うに、今回の試験、チーム戦で大事なのは、個々の役割だ!役割を決めることで、本番での行動を迷ったりすることも少なくなるだろう。それに、まだ俺達はEランクなんだ。全員がオールラウンダーなんてことはまずない。だからそれぞれが、ある分野のエキスパートになった方が安定するんだ」
「さすが優くん!言っていることが理にかなっています!」
確かにそう言われてみればそうだ。
「まずアタッカーだが、キムとアタルのツートップで行く!」
「おい!俺はいいがなんで能力が使えないアタルがアタッカーなんだ?」
くそっ!言い返せねぇ…。
「理由は二つだ。まず一つ目だが、赤神とマリーの二人がアタッカーだった場合お前達は、護衛及び支援できるか?」
多分無理だろうな。
この二人の力は、俺らとは次元が違う。モタモタしてる間に孤立した俺達が倒されるのがオチだろう。
どうやらキムも同じ考えに至ったらしく、反論もせずにムッとしてる。
「ご理解頂いて何よりだ。そして、二人の支援及び戦闘要員で赤神、出来るな?」
「わかった」
紗音が頷く。
「そして、マリー。護衛は任せた!」
「優くん、なんで私がアタッカーじゃないんですか!うぅ…」
万里花が頬を膨らませて拗ねている。
「わかってくれ。これは万里花にしかできないんだ!俺は、観覧席で見ているから、かっこいい所を見せてくれ!」
優人が笑って親指を突き立てる。
「優くんが見てくれる…私の戦いを…!」
万里花がなにやら一人で呟いている。
「フッフッフッ…、了解しました!この青山万里花!必ずや優くんの期待に答えて見せます!!」
そんなこんなで俺達の特訓は進んで行った…。