第4話:特訓Ⅰ
セミの鳴き声と暑さに苦しむ呻き声が絶妙な旋律を奏でる7月。
俺達は、期末試験に向けて特訓をしていた。
メンバーは、俺と紗音とロリコン(キム)と万里花と臨時コーチの優人だ。
今回の期末試験の課題は、【チーム戦】
4人1組でチームを作り、トーナメント方式で勝ち残った、上位5チーム、計20人がDランクに昇格、通常時での能力の使用を許可される。この高校は、三学期制なので、最終的には、60人がDランクに昇格、残った生徒は、筆記試験で上位20人がDランクに昇格できる。
それでも昇格できない生徒は、留年するか、退学してしまうらしいが、大抵の場合後者である。
普通に生活する分には基本魔法さえ使えれば、あまり不自由はしないだろう。
そう考えれば、わざわざ留年して自分より1つ年下の奴らと和気あいあい…なんて馬鹿馬鹿しいだろう。
「それじゃあ特訓始めるぞ〜」
優人が特訓開始の合図をすると、
「お、お〜〜〜!」
大きな声を出すこと慣れていない紗音の少し恥ずかしがった声、
「おーー……」
いかにもやる気のなさそうな棒読みで返事をするキム。
「お、おぉ……ぅ…」
既に夏の暑さにKO寸前の俺と、
「おぉー!」
優人の前では、元気100倍、万里花。
チームワークのチの字すら見受けられない有様に優人は額に手を当てた。
「はぁ〜っ、まぁいい!じゃあ今回のチーム戦についてのルールを説明するぞ!」
「ルール説明なんて馬鹿馬鹿しい、俺は小学生と戯れてくる!」
「黙れロリコン、あと死ね」
「ルール説明なんて別にいいよー優人!勝てばいんだよルール知らなくても!!」
「じゃあアタル、どうすれば勝ちかわかるか?」
こいつは、俺を舐めてんのか?
「そんなの相手を全員倒せばいいんだよ」
「じゃあ、倒すの定義ってなんだ?」
「え?」
「はい!」
万里花が勢いよく手を上げる。
「じゃあ万里花」
「相手を戦闘不能にすることです!」
「万里花の言う通り、戦闘不能にすれば勝ちだ。戦闘不能の定義はわかるよな、赤神?」
今度は、紗音に問いかける。
「仮想戦闘体を構成するマナを60%削るか、頭・首・心臓などに致命傷を負わせるか、でしょ?」
「仮想戦闘体?」
「アタル…、まさか知らないのか?」
優人が冗談だろ!っと目で問いかけてくる。
「青山さんは知ってる…の?」
「はい、もちろんです!」
万里花は、知ってて当たり前という感じで返事をする。
「キム…、お前のことは信じてるぜ!」
「俺は、つ、常に脳内の仮想世界で昼夜を問わず戦ってるぜ!!」
「黙れ馬鹿なロリコン、あと死ね!とりあえず死ね!」
「さっきから俺の扱いだけ酷すぎじゃね!?」
俺の思った通り、キムは上位に入り筆記試験のパスを狙っている真性の馬鹿だった。
「いいか、仮想戦闘体ってのはまぁ簡単に言えば、ト〇ガー・オンした状態だ!!」
「雑だけどわかりやすっ!!」
キムが目を輝かせて質問する。
「緊急脱出はできるか!?」
「大きな声で、{ベイ〇・アウト〜}って言えばできる」
「できんのかよ!?」
「べ〇ル・アウト〜の時にエコーってかかるのか!?」
「残念ながら、エコーはかからない…」
何故か優人が悲しそうに言う。
さすがにそこまで機能をパクってる訳じゃなさそうだな。
「変わりに、エコーではなく、ビブラートがかかる」
「だからなんでだよーーーー!!」
俺のツッコミとセミの鳴き声が交差するなか、俺達のDランク昇格を目指す特訓は、始まるのだった。




