第31話:デレている!?
屋上、全国の高校生活を夢見る中学生が昼食を食べたいスポットNo.1のこの場所が開放されている学校は少ないが、ここ神守学園はその希少なうちのひとつだ。
「はい、優〜くん♡あ〜ん♪」
「あ〜ん♡もぐもぐ…。うっ!!」
万里花の手料理を食べた途端優人からうめき声のような声が聞こえる。
「ゆ、優くん!?大丈夫ですか!?」
「う、うっまーい!!!!!!!!」
優人の目と口から黄金の光が飛び出す。
「いっぱいありますから安心してください!!」
そう言うと、手馴れた箸さばきで次々と優人の口に料理が運ばれていく。
「美味い、美味すぎる!!この濃すぎず、かといって薄くもない絶妙な味付け。さらに、緑黄色野菜をベースにしたサラダは彩り鮮やか!コンソメスープは透き通るような琥珀色をしていて、具材の甘さが滲み出ている。完璧だ…!!」
「ありがとうございます!優くんの笑顔を見るために始めた花嫁修業の成果です!!」
「それじゃ、俺もご相伴に預かって…」
キムが重箱に手を伸ばす。
バシッ!!
「痛って!!」
万里花に伸ばした手を叩かれ、思わず怯む。
「豚は校庭の芝でも食べてればいいじゃないですか」
笑顔の万里花からなにやらゴゴゴゴゴッという効果音が聞こえてくる。
「万里花の愛はお前にひとつまみもやるつもりはない」
ガチャ…。
「お、来たか」
ドアを開けて紗音とアタルが出てきた。
「紗音ちゃん聞いてくれよ!万里花ちゃんがさ〜…。ってグハッ!!」
キムの顔面にリクエストしたコーラがクリンヒットした。
「くそ、あの淫乱眼鏡め…!!」
「なぁアタル、なんで紗音ちゃんはあんなに怒ってるんだ?」
「まぁいろいろあって…」
てかこいつ復活早いな…。
「お前が何かやったのか?」
「いや、俺はなにもやってない…はず…」
キッ!!
「いや、めっちゃお前のこと睨んでるんだけど」
「アタル、ちょっとここに座りなさい」
「は、はい!!」
怖ぇ〜〜…。
「アタル、お腹減ったでしょ…?」
「えっと、あんまり…」
「でしょ?」「はいっ!!」
「だから〜っ、はい!あ〜ん♡」
「え?あ、うん」
(((デ、デレている!?)))
「美味しい?」
「うん、美味しいよ!」
(良かった〜…。どうやら機嫌は直ったみたいだな)
「ところでアタル…、私の胸、どう思う?」
「悪い、聞き間違えたみたいだからもう1回言ってくれ」
「私の胸、どう思う?」
(聞き間違いであって欲しかった…)
「どうって言われても…」
(考えろ、考えるんだ紫藤アタル!!紗音の機嫌を損ねない程度の真実を!!!)
「すごく…、キレイだ…」
「正直に言いなさい」
「紗音の胸小さいね」
ブスッ!!
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!目がァァァァァ!!!」
「もう知らない!!」
なんだ、いつも通りか。
『昼休み終了まで残り5分です。1年生は至急モニタールームへ戻ってください』




