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灰色魔道士の世界消失(ロストレガリア)  作者: GACKT
第一章、神守学園編
28/34

第28話:同じステージ

パーン!

パーン!


ハンドガンの軽い銃声が森に鳴り響く。


「くっ!」


紗音がシールドで全ての弾を防ぐ。


「隙だらけだよっ!!」


俊哉が紗音に接近、両刃剣で突きを繰り出す。


ガキッ!


しかし、突き出されたその刃は万里花が作り出した氷壁によってガードされる。


「フロストアロー!!」


3本の氷の矢が俊哉に向けて飛んでいく。


キィン!キィン!


1つ目の矢を斜め上からの斬撃で切り落とし、返す刃で2本目の矢も防ぐ。


しかし3本目の矢には反応できずに、自分の前方にシールドを張る。


「ただのシールドなんて私のフロストアローの前では紙も同然です!!」


氷の矢が俊哉との距離を縮める。


「爆ぜろ!榴弾(マグナム)!!」


ドォォォン!!


圭太の撃った弾が氷の矢を爆発で粉々にする。


「痛った〜。ねぇ圭太、僕仲間なんだけど…」

「助かったんだから感謝しろ」


さっきからずっとこうだ。


あと少しでどちらかを倒せるって時に味方のフォローで窮地を脱する。


これではキリがない。


「紗音さん、守備は私がなんとかしますからどちらか一方をどうにかできませんか?」


「うん…」


(1回戦からずっとこうだ。私は守られてばっかで、それなのに大した結果も出せていない)


「方法は、無いことはないけど…」

「じゃあ、それでお願いしますわ!」


(万里花ちゃんは真っ直ぐだ。私なんかと違って、凄く輝いてる)


「万里花ちゃん、私の周りは危なくなるからできるだけ離れて…」

「紗音…さん?」


(足でまといになんてなりたくない!みんなと同じステージに立って戦いたい!)


「もっと強くならなきゃ…」


紗音がスニークで上昇していく。


「ん?なんだ?死にに来たのか?」

「死ぬ気なんて無いわ」


「言動と行動が合ってないぜ!!」


パーン!パーン!

圭太が発砲。


「赤神火焔流零ノ型、火焔陽炎(ひえんかげろう)!」


紗音の身体が揺らめく。

弾丸が身体をすり抜ける。


「はぁっ!」


俊哉が剣を横に振る。


紗音はしゃがんで斬撃を躱す。

「俊哉、跳べ!!」

「っ!」


圭太の声に反応して俊哉が上に跳躍。


「くらえ!榴弾(マグナム)!!」


「紗音さん危ない!」


万里花が叫ぶが、その思いは届かない。


放たれた弾丸が紗音目掛けて飛んでゆく。


「くっ!!」


両手でシールドを2重にして張り、くるべき衝撃に備える。


ドォォォン!!


「きゃぁぁぁぁ!!」


紗音が爆発の衝撃で吹き飛ばされる。


ガサガサッ!


運良く木の上に転落。

枝のクッションで衝撃を和らげる。


「はぁ…、はぁ…」


(アタルは、私を信じてここを任せてくれた。万里花ちゃんは、私を信じて見守っててくれてる)


太刀を握る手に力がこもる。


(みんなの期待に応えたい!!)


「はぁぁぁぁぁっ!!!!」


全てのマナを燃やせ。

1滴残らず燃やしつくせ。


「我が魔力を糧とし、燃え盛る業火よ。荒れ狂え!!もっと強く、熱く!!」


残っているマナを全て炎に変換する。


「はぁぁぁぁぁ!!!!!!」


ゴォォォォォォ!!


真紅の炎が辺り1面を火の海にする。


自分の周囲の空間に炎を纏った紗音が、再度2人の前に現れる。


「赤神火焔流零ノ型弐式、絶炎圏(ぜつえんけん)!!」


紗音が炎を纏った剣を構える。


「おい、怒らせちまったぞ!」

「普通怒るでしょ。あんなノリノリで『死にに来たのか?』とか言ってたし」


「でも、俺達のやる事は変わんねーだろ!」

「まぁそーだけどさ」



圭太が銃にマナを込める。


「行くぜ!」榴弾(マグナム)!!」


圭太の異能(レガリア)を纏った弾丸が飛んでいく。


「はぁっ!!」


紗音の剣の振りに連動して周りの炎が動き、弾を迎撃する。


「くっそ!!」

「まだだっ!!」


炎が弾丸を迎撃しているうちに俊哉は炎の内側、剣の間合いに入った。


「ここなら、あの炎を気にせずに戦える!僕の異能(レガリア)洞察眼(インサイト)なら1対1の勝負で負けはない!!」


キィィィン!!


俊哉の斬撃を紗音の太刀が受ける。

斬撃を放った瞬間、紗音の動きから防がれると悟った俊哉は、斬撃をあえて軽く放ち、防がれた後瞬時に横に移動した。


「はぁぁぁ!!」


何度も放った横からの突きを再度放つ。


(さっきの斬撃を防いだタイムラグでこっちの動きについてこれないはず!僕の勝ちだ!!)


自らが得意とする攻撃を完璧なタイミングで放ち、勝利を確信する。


剣先が紗音の身体に触れ貫通。

(勝った!!)


紗音の身体が炎の塵となり、消える。


「残念だけど、私の勝ちは譲れない」


背後から紗音の声がする。


「赤神火焔流一の型……」


紗音の刃が炎を纏う。


虚空斬(こくうざん)囮火(おとりび)!!」


炎の太刀が俊哉を真っ二つにする。


『仮想戦闘体損傷、致命傷により行動不能、イジェクトします』


俊哉の身体が爆散。


「そんな…、俊哉…」


「背中がお留守ですわよ♪」

突如背後から敵の声が聞こえる。


「っ!!」

振り向きながらバックステップで距離をとり、すかさず銃を構える。

パァン!



「…振り向きざまにヘッドショットですか…。物騒ですわね」


「なっ!!」


万里花の頭を狙って放たれた弾丸は、彼女が頭に張った氷の皮膚で防がれていた。


「くそっ!!」

「悔しがるのもいいですけど…」


背後から、熱気が伝わってくる。


「そこは、紗音さんの間合いですよ♪」


「はぁぁぁぁぁ!!」


紗音が太刀を振り、その動きに合わせ炎が斬撃の軌道を描く。


「うぐぁぁぁぁぁ!!」


『仮想戦闘体損傷、致命傷により行動不能、イジェクトします』


燃えている身体がそのまま光となって散っていった。

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